1-3 ゴブリンの集落①
森の中を2時間も歩けば、ゴブリンの集落の方に出る。
木々の密集度合いはそこまででもない。太陽から方角を割り出しつつ西に動けば、道に迷う事もないだろう。
途中に道しるべなんて無くても、意外となんとかなるものだ。今の俺は森の中の道をなんとなく覚えられるようになっている。
ゴブリンの集落は森の途中にある。森の外ではない。
森の途中にゴブリンの集落があるので、さらに西に進むということはしていない。
もしかすると、この先に人の集落、村や町があるかもしれないけど、まだ確かめられずにいる。先に進むよりもゴブリンの集落をどうにかするのが先だ。じゃないと安心して森を歩けない。
ゴブリンの集落に着いたので、集落を観察しようと思う。
まずは、ゴブリンがどれぐらい居るかの確認だ。
「家らしき建物の数は10、かな? 家一軒当たりのゴブリンは5~10ってところかな。
んー。意外と戦えるゴブリンの数は少ない?」
ゴブリンの集落には、柵も何もない。
そういった事をする文化が無いのか、木に登らなくても集落の中はよく見える。
火を使う程度の知性はあるようで、ゴブリンが何かの肉を焼いている様子が見えた。
この集落に最初に気が付いたのも、この何かを焼くときに出た煙に気が付いたからなんだよね。たまに太陽で方角を確認していたので、偶然だけど気が付けたんだよ。
……俺も気を付けた方がいいのかな? ゴブリンたちに家の場所がばれると厄介だ。
俺の炊事の煙をどうするかは横に置き、家の大きさと出入りするゴブリンの数を比較すると、一軒当たりのゴブリン数は5~10匹だと予測できた。
家は縄文時代の三角錐みたいな丸太と草の家で、そこまで大きくないが、ゴブリンは人間よりも小さいようなので大体それぐらいは詰め込めるだろうと予測してみたのだ。
敵戦力を見誤らないためにも、数は少し多めに考えている。多く見間違う事はあるかもしれないけど、慎重すぎるぐらいでちょうど良い。
この集落、できてから結構古いと思う。
家を見ると、そのうちいくつかは使われている木材が古いようにも見えるんだ。
もしかしたら古木を使って最近作った家かもしれないが、そうでないなら何年か前にこのゴブリンの集落ができたと考えられる。
ゴブリンは弱い生き物なので、多産だろうからもっと数が増えていても不思議は無いはず。
なのに、こいつらはこの数でとどまっている。
おそらくだけど、農耕なしで維持できる集落の大きさがこれぐらいなんだろうね。
これ以上は集落の周囲から食料を集めきれないので、大きくしようが無いんだと思う。
俺の方も、そんな理由でモンスター数を増やせないでいるからね。
ただ、俺の方はカードの能力込みで1人と3匹+アルファなんだが……。それでも、わりといっぱいいっぱいだったりする。
こいつらはどうやって農耕なしという縛りの中50~100匹ものゴブリンを食わせているんだろう?
狩猟の効率化だけでそこまで賄える物なのか。