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7-26 金に魅入られた者たち

「ま、赤字だな。

 かといって、黒字にするのは論外だけど」


 全部終わって、今回の件を振り返ってみる。


 もともと俺は静かに生きていられればそれで構わなかったのだが、外から手を出してくる奴らがいたので、その手を振り払った。

 ただ、こちらがやらかした分で、振り払おうとしたけど失敗したわけだ。



 犯人らは問答無用で処刑したのでもう本当のところは分からないが、あいつらが動いた理由は「金」だろうと言われている。

 金に目が眩んで、あんなことをしでかしたというのが、事件発端の最有力候補。

 で、町の人ごと仲間が連れ去られ多大な被害を出し、こちらがカウンターで拘置所と警察署を破壊した。

 あとは、しばらく薬を納品することになったが、無罪放免と。





 結果として大垣にある2つの勢力のうち、警察側とはちょっとした縁を結んでしまった。

 あの署長を始め、実際に話をしてみれば会話ができるのが残り、外道が減ったことに意義はある。

 ただ、薬の納品という仕事が付いて回ったのは大きな失策だ。


 外に出せる(・・・・・)限界ギリギリまで引き渡し数を絞っておいたが、だからと言って余計な仕事が増えたのは大きなマイナスだ。

 薬はカード化して保管すれば使用期限などあってないものなので、在庫はあるんだけどね。在庫が無くなればまたストックする手間がかかるわけで、本当に面倒くさい。

 材料を調達するところから生産まで、莉奈には負担をかける。今度何か我が儘を聞くとしよう。



 大垣にいるもう片方の勢力、署長とは別の勧誘者に関しては、署長が抑えてくれるらしい。

 手に入った薬を上手く使い、俺への干渉をさせないと言っていた。

 それでも俺の薬が金になるから馬鹿な事を言い出すのは出てくるだろうが、そういうのはチクってしまえば対処してもらえるから、俺が何かするよりは手間がかからない。

 この点に関しては良かったと言える、数少ない話だ。


 面倒な話だけど、為政者って奴は自分たちにとって都合の良い法律を作るからね。そして法を武器に人に服従を強いる。まるで神様みたいに。

 法治国家に住んでいれば法律には確実に関わることになる。俺のような根無し草でも、ニノマエみたいに多少の根を張ってしまえばそこが付け入る隙になる。

 情報収集その他で始めた事だけど、こっちの行動に対し、相手もリアクションをしてくるから本当に面倒くさい。


 あれだ。“深淵をのぞき込むとき、深淵もまた、こちらをのぞき込んでいるのだ”だったか。

 基本的に、こちらが一方的に何かして相手が無反応という事はあり得ないんだ。何かすれば反応があるんだ。相手の見えるところでやった話だから。





 金が動く話であれば、今後も似たような事件は起きかねないし、警察署の署長という法律を使う人間に伝手ができたのは、有意義だけど。

 それでも思ってしまう訳だ。


「面倒」


 金という名の誘蛾灯に誘われた馬鹿はどうにかした。

 だけど俺を勧誘してきた組織はあと3つ。


 せめてそちらは、もう少し穏当に話ができればいいんだけど。


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