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7-24 横暴な法治⑨

 やるべき事をやり終えた俺は一回家に戻り、精神的な疲れもあって、その翌日から3日ほど静養をした。


 これがもし、悪い連中とその部下だけを殺して回ったのなら俺もそこまで気にしなかったかもしれない。

 事実、俺は堀井組との抗争でもかなり人を殺していたが、そっちは「そういうもの」という感想しか思い浮かばないからだ。


 人を殺したかどうかは、俺の中では優先順位が低い。

 こういう事を言うと、あの岐阜の女性店長さんは怒るかもしれないが、人の命そのものにそこまで価値はない。生き方、生き様に価値があるんだ。


 「誰かにとって悪人でも、誰かにとっては良き隣人であったかもしれない」というのも、そこまで大切ではない。大切な事は自身とその周りにとって悪であったかどうかだ。

 顔も知らない誰かなど、この場合、どうでもいい。

 もしも誰かにとって良き隣人である事が手を止める理由になるなら、どこかで誰かに優しくしているだけで悪事が許容されてしまう。

 そのあたりはきっちりしないと拙い。



 なので、俺も自分を例外にするつもりはない。

 “警察署で暴れた分に関しては”ちゃんと裁かれるべきだろう。


 俺は大垣市と「戦争」しているという認識でいたし、戦時下における殺人行為は裁かれる性質のものではないが、そこは自分の気持ちの問題だ。

 区切りを付けるためにも、俺は大垣市の警察署へと向かった。





 あれからまだ3日しか経っていないため、俺の顔を覚えている人間というのはそれなりにいる。

 全体で見れば知らない人の方が多いのだが、俺を見て、自分の連れに俺の事を教えるという場面を何度も見かけた。

 中には顔色を変えて逃げ出す者もおり、ここで俺への印象がどんなものかがよく分かる。


 全部自分がやったことの結果だ。

 否定する気にはならない。



「ほ、本日はどのようなご用件でしょうか?」


 アポなど取らずやって来たにもかかわらず、署長は俺をすぐに署長室へと連れ込んだ。

 人目につけたくないのか、それ以外の理由でもあるのか。迅速な対応である。


 なお、以前の警察署は俺が解体したので、新しい警察署は他の建物を接収して作った仮の警察署である。



 俺は怯える署長の頭部に毛が生え始めたのを確認すると、早々に本題を切り出すことにした。


「前回暴れた分の補償をしに来た。怪我人を治せる分量の薬その他は置いていったけどね。それだけでは足りないだろう。

 こちらで俺がやったことがどのように処理されているかの確認も兼ねてる」


 補償には、償うという文字がある。

 まずは法に照らし合わせ、どのような判断がされるかを確認しよう。

 かなり暴れたが、情状酌量とか考えてどんな判決になるかな?




 ただ、判決が死刑だったら逃げるけど。

 それは綺麗事でごまかせる話ではなく、ぶっちゃけ死ぬのは怖いので、どうにかする。

 ちょっとは布石を打ったので、そうはならないと思っているが、どうなるかは分からない。

 この世界に控訴とか、そういう制度はあるのかな?

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