7-20 横暴な法治⑤
俺は自由に動いて良いという事で、モヒカン2人が捕まっていた、大垣の拘置所にやってきた。
以前、俺が自作した金の騒動で捕まった、あの場所である。
あの時と同じように、柵は未だに健在だ。
用意したのは、3人娘と終に加えて、いつもの魔剣、魔槍、魔術、癒術の4部隊。そこに草原大狼6頭を加えたほぼ最大戦力。あとは支援のために2パーティを加えた。
タイラントボアは切り札なので、すぐには使わない。あれから半年経ってリキャストタイムは終わっているが、ギリギリまで使用を控えるよ。
「脱出方法を幾ら考えても、この柵が邪魔って事に間違いは無いよな」
近くに民家は無い。
全力を出して暴れ回っても、人的被害は最小限に抑えられるだろう。
俺は柵を“解体”する事に決めた。
前回、ちょっと場を混乱させて逃げたのは、人的被害を最小限にするためだ。
ちょっとムカついたぐらいで人を殺して回るほど短絡的な性格をしているつもりはないが、今回のように明らかな敵対行為をなぁなぁで済ませるほど、俺の頭は緩くない。
徹底的に叩き、大垣の警察機構が機能しなくなるまでねじ伏せるのが「最低限の目標」なのだ。
そうしないと、逃げる時に困るからね。
仲間と友人の安全を最優先し、それ以外の命や幸せは、それよりもかなり下に置く。
そこまで行動方針を固めて俺は動き出した。
「壊せ、壊せぇぇーーっ!!」
「建物の壁も壊せ!」
「油も使い切っておけよ! 焼く時に困らないようになぁ!」
「大将はどこだぁっ! ここの責任者を出せーー!!」
「武器を持っている奴は殺せ! 死にたくなければ武器を捨てろ!!」
「死にたくなければ何も持たず両手を上に! そうでなければ戦う意思ありだ! 死ね!!」
全員、大声を出して暴れさせた。
どうせ施設一つ分の戦力が相手である。職員は100人もいないだろうし、戦力はその半分以下だろう。
だったら場を混乱させ、武器を持った戦闘要員は殺し、戦えなさそうな連中を拘束していく方針である。
今回、派手に拘置所を破壊していく。
最後には全部焼き払う気でいるので、油を撒いたりする事も忘れない。
施設を破壊しつつ、何かを持っている誰かを殺しつつ、まずは敵対勢力の排除を優先する。
ときどき降参するのが出てくるので、ロープを使って縛り上げ目隠しと猿ぐつわもして無力化する。
あと、そこまでしてから首から下を穴に埋め、バケツをかぶせる。
可能ならばコンクリで固めてやりたいところだが、手持ちがないので妥協する。
傷つけず殺さないのは慈悲だけど、それを理由に仲間が傷付けば俺は俺を許せないだろう。
だから、出来る事をやる。
仲間が捕まった人たちを助け出したのは、それから1時間後の事だった。