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7-15 嫌な予感

 魔法的な力による誤魔化しにより、家と村に電気が通る事になった。

 まずは電球と室内灯を作り「屋内作業でも暗くない」という環境を作り出す。


 電球は中が真空のガラス玉に竹炭で作ったフィラメントを入れ、電気が通るようにするだけ。

 それだけで雨の日や夕暮れ時に「部屋の中が暗い」と言って困る事が無くなった。明かりを灯すのがが勿体ないからと、何も出来ないと諦めなくても良くなったのだ。

 文明の灯火は、村の生活を一変させるだけのインパクトがあった。





 無線通信はまだ先の話なので、有線通信で我慢する。

 ブザーとか、昔の黒電話に使われるような技術があれば、そのうち電話も作れるようになるかもしれない。

 そこはまだ先の話なので、どんな仕組みだったか、必死に記憶を思い起こそうとしている。


 ただ、その前に片付けるべき仕事がある。

 黒電話よりも、1ヶ月経ったので、神戸町に行って化粧水を納めないといけないのだ。

 みんなと約束をしたので、待っている人のためにも俺は神戸町に行かなくてはならない。


「創様。言って頂ければ、化粧水の運搬ぐらい他の者にやらせますよ」

「俺が行きたいっていうのもあるんだ。止めるな、夏鈴」

「はい、勿論分かっています」


 それは人任せにしてはいけない事なのだ。

 俺の気分的に、だけどね。





 神戸町に行くからと、髪の色を金色に染め直し、準備は万端。

 行く度に染め直さないと、生え際が黒くなってプリン頭になるからね。チェックは大事だから夏鈴にお願いして、しっかり染める。


 そうして森を抜け、川を越え、神戸町に行こうとしたところで。



「んー。夏鈴、終。偵察よろしく。

 なんか、嫌な感じがする」


 町の近くに行ったところで、俺の背筋に何かが反応した。

 今は神戸町に行くなと、直感が囁いている。


 そういう訳だから、俺は前回と同じく2人に偵察をお願いした。



「嫌な予感、ですか。

 ……創様。オーディンとトールをお借りできませんか? 勘ですけど、連れていった方が良さそうな気がします」


 夏鈴は何かを探るように神戸町の方を見た。

 偵察用の魔法は村を守るために常時展開中なので五感を使った通常の観察になるが、それでも索敵能力の高い夏鈴は俺と同じく、何かを感じ取ったようだ。草原大狼の2頭を連れていきたいと言い出した。


「うーん。あいつらを連れて行ったら、それはそれで騒ぎになりそうな気もするんだけどな。タイラントボアの記憶もそんなにすぐ、消えて無くなるわけでも無いし」


 夏鈴は草原大狼を借りたいと言うが、タイラントボアにより町が被害を受けてからまだ半年しか経っていないのだ。大型の獣を連れていくのは躊躇われる。



 夏鈴が何かを感じて必要と言うのだから、きっと本当に2頭は必要なのだろう。

 ただ、町の人を怯えさせるような事はしたくないし。


 根っこにあるのは俺と夏鈴の勘。

 何を優先すべきか、まずそこをハッキリさせるか。

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