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7-14 遠距離通信、開通

 発電機が発電所になったけど、足りない物はカードの力を借りて、何とか完成に漕ぎ付けた。

 大きな被害を出しつつの完成なので、喜びも一入だ。



 発電機が熱でやられたり、タービンから発電機への回転が上手く伝わらず発電できなかったのはまだ良い方だ。

 水蒸気を通す配管が爆発すること3回。配管近くで小火騒ぎが起きること2回。建物が倒壊すること4回。何度も大きな被害を出している。


 特に配管は接合部分とか曲げの部分が脆くなりやすく、最終的には配管の厚みは10㎝、素材がタングステン合金で作られるなど聞く人が聞けば馬鹿じゃないかと言われるほどの対策をした。

 圧力が均一でなくなると、そこから破裂する。知識でそれが分かっていても対応するのは難しいんだよね。



 出来上がった発電所は、『コンテニュティティ・ファイア』が燃え盛る溶鉱炉の熱を利用しつつ発電する方式だ。

 おかげで高さ4m、横幅3m、奥行き10mと、間違っても小規模とは思えないサイズになった。その大半が水蒸気を通す配管だが、それを冷やす部分はタービン近くだと問題があるなど、何度も作り直しをしている。

 冷やす方法も、最初は冷却水を使う予定だったが、それでは奥行10mなどという短い距離では対応しきれず、『コンテニュティティ・ファイア』の対になる『千年氷河』という、魔法的な力で絶対に溶けない氷で対応している。

 魔法で燃え続ける炎があるように、魔法で冷え続ける氷もあるわけだ。





「これでもう……配管を作らなくてもいいんですね。もう、配管が爆発する事も無いんですよね?」

「ああ。あとは≪リセットワークス(カードの再使用)≫でどうにかする。お疲れ様、だな」

「はい!!」


 発電所が完成して一番喜んでいるのは、俺に命令されて頑張った鍛冶師たちだ。


 自主的にではなく俺に言われてやっているというのに、何か問題が起きるのは自分たちのミスではないか、自分たちの技術力が足りていないのだとか、そうやって俺を恨まず自分を責めるのだ。

 責任者は俺なので、責められるべきは俺なのだと言っても聞きやしない。

 依頼を受けた後の責任は自分たちにあるからと、必死に頑張っていた。


 その努力が実ったのだから、涙ぐんでいる鍛冶師もいる。

 今日ぐらいは肉をたらふく食い、酒を飲んで我を忘れたとしても見ない振りをしておくよ。





 電気の利用方法だけど、遠距離通信だけではもったいないから、村に電灯を設置することにした。

 あと、発電機を逆に使うアイテム『モーター』で扇風機なども作らせようと考えている。


 初期の家電ですら用意するには足りない物も多いので、できない事は多いが、できる事が増えたのは間違いない。

 家と村がモールス通信で繋がったし、ここから出来る事を増やしていけばいい。

 労力と対価が見合わないという事を言う人間も出てきそうだが、10年20年と使っていれば元は取れる。技術の発展も考えれば大儲けだ。頑張った甲斐はあるのだ。



 何より、『リトルファイア』と同じように、量産可能な魔法の幅が広がった。


 発電所を作ったからか、『ボルトショック(電撃)』という電撃魔法が素で作れるようになった。

 『千年氷河』からは『フリーズブリーズ(凍てつくそよ風)』という冷却魔法だ。


 どちらも☆2つのスペルカードだが、これはかなり大きい。

 発電所を作ったことは、俺にとって大きな意味があったのである。


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― 新着の感想 ―
[一言] 電気系統の魔法を進化させたら永遠に発電しないかな。
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