7-5 本気の美容
身内にはあんまり意味が無かった変装だけど、知り合い以外なら誤魔化せそうだ。
そういう結論を出して、町を散策して知り合いと直接話をしたいけど、今回は我慢。すでに数人と話をできたので、それで満足しておこう。
顔を見せなかった相手からは何か言われるかも知れないが、全員に会おうとすればリスクがかなり大きくなるから、怒られても今は駄目だ。
俺の知り合いに会いに行く謎の金髪ロン毛。怪しいなんてもんじゃない。変装の意味がなくなる。
次回はもっと完成度を高くするとはいえ、油断などできないのだ。
会えない人がいるのは悲しいが、化粧の練習の時に顔を出したた人に伝言を頼み、一回帰宅。
次の予定は未定だが、もう会えないということもないから、楽しみにしていよう。
神戸町から帰ってきても、いきなり仕事が溜まっているという事は無かった。
定常の仕事を片付け、化粧品開発に乗り出す。
「莉菜。ヘチマベースで肌にいい薬を作ってもらいたい。何種類か試して貰うよ」
「はーい!」
俺1人で何かする必要も無いので、まずは莉菜に声をかける。
ヘチマの化粧水は子供でも知っているメジャーな化粧品だ。これをベースに、何か品種改良をして貰う。
俺たちの品種改良はイメージ先行でも効果が後から付いてくるので、こういう時はとても便利だ。
莉菜だけに任せず、俺は俺で何か作ろう。
俺が思い付いたのは、中国の「医食同源」という言葉だ。
あと、他の健康な生き物を食べる事で、食った部位と同じ部分が良くなるという考え、だったか。こっちはなんと言うかは覚えてない。
まぁ、髪の毛を良くするために他の生き物の髪の毛を食うとかはさすがに勘弁して欲しいので、もう少し考えを変えるけどね。
顔に何か塗りたくるよりは、肌そのものを綺麗にする方が俺の性に合っている。
用意するのは鶏の皮。
これをベースに、肌を綺麗にする薬膳を作ろうと思う。
とは言え、やる事はいつものカード化からの強化なんだけどね。
『美の鶏皮串(醤油タレ)+2』:アイテム:☆☆☆:小:12時間
醤油ベースのタレを塗った、こってり系の鶏皮串。この鶏皮に含まれる栄養素が肌の調子を整える。
この串による美容効果は、おおよそ1ヶ月維持される。
リキャストタイムの短縮と、効果時間の延長で2段階強化。
なかなかいい鶏皮串ができあがった。
これ一本で何人もの仲間をフォローする事が出来るので、一緒に行くメンバーにも使える。
食材になる鶏を繁殖させればリキャストタイムとか関係なく生産できるので、これを神戸町に持ち込んで特産品にして貰うというのもアリだろう。
更に目立つ事になるけど、それを言ったら今更だ。どれだけ目立とうが、もう気にしない。
こういう時は、吹っ切れた方が強いのだ。