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7-1 金属製品の普及

 人間の文明って言うのは、火を使うところから始まると言っても過言では無い。

 その「火」の使い方がラックアップしたことで、村の生活環境がずいぶん様変わりした。


 簡単に言えば、金属製品が増えた。



 畑を見れば、鉄の農具を持った連中がいる。

 これはわりと初期の段階で用意したので、見慣れた光景だ。

 むしろ、非金属の農具っていう物に対するイメージが湧かないので、金属の農具を揃えるのは当たり前だった。

 木で出来た農具とか、数回作ったら壊れる様な物、カードの合成素材以外に作る価値を感じないのだ。


 村の家を見ると、釘が使われているのが分かる。

 釘は町で購入していたけど、一回の購入で家一件分の釘を買うことは出来なかったため、それまでは何度も買い物に行って、ようやく家に使う分を賄っていたんだよね。俺が作るのも増やすのも大変だし。

 でも、村で釘が作れるようになったこと、その生産量が増えたことで、どの家も鉄の釘を使った木造建築になった。

 釘を使わない建築も研究させていたんだけどね。そっちはそっちで引き続き頑張らせるけど、使える物は使っていった方が生活が豊かになる。


 鍋やフライパンなどの調理器具も金属製になった。

 これは鉄だけではなく銅や金を使っていたりする。テフロン加工の様な、高度な技術が使われた調理器具はないけど、これまでの陶器の調理器具から金属製になったわけだ。

 思い出すのは「南部鉄」「銅製」といったフライパンや鍋の話。あと、「金」は熱伝導や焦げ付きがどうとかいう、金メッキ製の鍋のネタ。それを再現してみた。

 鉄製の包丁なんかは作らせていたけどね。それですら数が足りなかったりしたわけだよ。これで一般に出回ったという事だ。



 他にも色々と、ちょっとした物までが鉄など金属に置き換わっていった。

 これは、スミス系のジョブを得た連中の能力による恩恵だ。


 鉱石なんだけど、俺がわざわざ作らなくても、彼らが勝手に探して持ってくる様になったのだ。

 俺という金属供給源により生産能力を制限されていた彼らは、自力で鉱石を探し当てる能力を得たことで、その制限を取り払った。

 それにより、村に安価な金属製品が出回りだしたのだ。



 どうして鉱石があるのかは疑問が残るところではあるが、手に入るのは便利なので、そこを追求しても旨みはない。

 鉱石入手の手順を解析して普及させられるなら頑張ってもいいけど、ジョブ能力頼りの現状では、そこまで上手くいくとは思えない。

 なので、細かいことは考えないことにした。

 時間が経って分かる様になることもあるだろう。それまでは様子見だ。



 ただ、村一つで使われる金属製品などたかが知れている。

 増えすぎた金属製品は、ニノマエ商隊を通じて神戸町に売却している。


 産地・生産者については言わない、教えない。その方が双方にとって都合が良い。

 行商中に購入した物だと言い、どこで買ったかについては口を噤ませている。

 教えない理由は、売り手の事情であり、自分たちの儲け話の種だからと言わせている。


 今のところ、聞く側も弁えて聞き出そうとはしないので助かっている様子。

 ただ「そこそこ以上の質の金属製品が安定して出回る様になると、探りを入れてくる者が現れるかもしれない」とは、地元の人の言葉だ。


 ニノマエと俺が繋がっていることは公にはなっていないけど、公然の秘密なので、そこに気が付いた余所者が出ないとは限らない。十分に注意する様に。

 そんなありがたいお言葉も貰ったよ。伝聞だけど。





 神戸町に足を向ければ厄介事になるかもしれないからと、もう3ヶ月ほどあちらには行っていない。

 でも、久しぶりに顔を出したい気持ちがある。


 こっそり行ったらバレずに済むかな?

 いや、まだしばらくは我慢しておこうかな。



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