6-26 スミス
『ゴブニュート』 + 『火口箱』 = 『ゴブニュート・スミス』
『ゴブニュート・スミス』:モンスター:☆☆☆:小:10日
ゴブニュート・スミスを1体召喚する。この魔物はゴブリンであり、人間である。人と魔の、両方の特性を併せ持つ。
スミスは火の力を使い金属を加工する者である。火の扱いに長けるスミスは、文明の礎となるだろう。
結論。
鍛冶師に必要なのは『火口箱』だった。
『火口箱』は、火を熾すための道具一式で、俺がこの世界に来た時に持っていた20枚のカードの1枚だ。
『リトルファイア』の魔法を手に入れてから出番が全く無かったため、記憶の彼方に忘れ去られていた不遇カードでもある。
テキストにもあるが、「火」がスミスに必要な、一番大事なアイテムだったという事だ。
言われてしまえば納得できる話で、ハンマーとか金床とか、そんな物があったところで金属を加熱できなきゃ意味が無い。溶鉱炉がニアミスだけど、溶鉱炉だって火を入れなきゃ使えないしね。
答えは最初から自分の中にあったんだ。
『ファイア+3』 → 『コンテニュティティ・ファイア』
『ゴブニュート・スミス』 + 『ファイア』 = 『ゴブニュート・マジックスミス』
『ゴブニュート・マジックスミス』 + 『コンテニュティティ・ファイア』 = 『ゴブニュート・ルーンスミス』
『コンテニュティティ・ファイア』:スペル:☆☆☆☆:小+α:10日
『燃えよ、燃えよ、燃えよ。永遠に尽きぬ炎よ、赤き煌めきよ。魔の法によりて顕現せよ』
魔力により、長時間消えない炎を生み出す。持続時間は消費した魔力に比例する。
『ゴブニュート・マジックスミス』:モンスター:☆☆☆☆:小:1ヶ月
ゴブニュート・マジックスミスを1体召喚する。この魔物はゴブリンであり、人間である。人と魔の、両方の特性を併せ持つ。
マジックスミスは火の魔法を使い金属を加工する者である。魔法により火を熾すマジックスミスは、金属を支配する事も可能となる。
『ゴブニュート・ルーンスミス』:モンスター:☆☆☆☆:中:1ヶ月
ゴブニュート・ルーンスミスを1体召喚する。この魔物はゴブリンであり、人間である。人と魔の、両方の特性を併せ持つ。
ルーンスミスは永遠の炎の力を使い金属を加工する者である。永遠の炎を用いるルーンスミスは、金属の可能性を引き出すことも可能となる。
そして1月ほど頑張って色々試した結果が、これ。
ひたすら名前の長いカードがたくさん出来たが、色々と前に進んだので俺も大満足だ。
『コンテニュティティ・ファイア』については、『コンテニュティティ・リトルファイア』と同じように簡単に消えない様にした『ファイア』からの進化で作成。
そのままでは足せなかったけど、一回『ファイア』を合成してからだと『コンテニュティティ・ファイア』も合成できて、マジックスミスを経て、鍛冶師はルーンスミスという謎の鍛冶師となった。
鍛冶師としての能力は、最初はふいごが要らなかったり炉にくべる炭の量が減らせる程度かと思った。
燃料はやっぱり必要で、鉄を作るのも加工するのも、炭の消費がちょっと減ったぐらいだったんだよね。
ただ、扱える金属のレベルが変わった。
低品質の鉄は高品質の鉄に。
さらには魔力の付与も行える様で、タイラントボアの骨粉は必要だけど、魔法鉄を自力で生産できる様になった。
俺が考えていた以上の結果が出せる様になったのである。
「創様。その分、他のお仕事が溜まってしまったのですが……」
「反省はするけど、後悔はしていない」
なお、試すために必要なのは、俺の魔力である。
他に回す分まで魔力を突っ込んでしまった結果、その仕事を早くこなして欲しいと、周囲から苦情が来た。珍しく、夏鈴が俺を叱りに来たよ。
集中しすぎて約束を破ってしまったのだから、しょうがないね。
いや、反省はしているんだよ。
同じ事はもうしないよ。
しばらくは、俺のスケジュール管理に夏鈴がべったりと付き添う様になった。
信用されなくなっちゃったかな?