6-24 溶鉱
前に草原狼と足してライダーを作ろうとしたときは、ゴブリンと足そうとした時だっけ?
駄目だったのはゴブリンだから、ゴブニュートならいけると。
……逆に、ゴブニュートになった事で出来なくなった組み合わせもあったりして。
これは要検討かな。
鍛冶師は関係ないだろうけど。
グダグダと考えていたけど、やっぱり鍛冶師が欲しくて、何かしらの気分転換が必要だと考えた。
何もせずに考えていたところで、なんにもならない。
だったらちょっと鍛冶仕事をやってみて、それから考えてみた方が意味があるかな。
俺はそんな理由で鍛冶場に戻り、素人鍛冶に手を出してみることにした。
鍛冶場では、ゴブニュート5人が色々とやっていた。
溶鉱炉は鉄鉱石を放り込みインゴットに変える物だ。
そしてインゴットを加熱してハンマーで叩いて成型するときは加熱用の、別の溶鉱炉を使っている。
メインになるのは後者の方で、前者は作っただけであんまり活用していない。
何故かと言うと、鉱石からインゴットにする作業は大変で、そんな大変な思いをして作ったインゴットの質があまり高くないからだ。
質の高い鉄を作るというのは大変で、ある程度どころかかなり高い技術を要求される。
酷い話だけど、そのリソースを俺が受け持った方がコスパ的に安いし早かったりするのだ。
カード化して、進化させて、普通の鉄を作る。
1日分の魔力を使うとはいえその程度なら大した手間でもないし、鉄の使用量を考えるとそう何度もやらなきゃいけないわけでもないから。全部賄えてしまうんだよね。
そもそも鉱石自体、俺が作っているわけだし。
だから、普段は鍛造用の溶鉱炉しか使っていない。
もしかしたら、そんなふうに鉱石を扱っているから鍛冶師が育たないのかもしれない。
カードモンスターは経験を積む事で進化先を増やせるようだから、効率を優先し過ぎて駄目になったというパターンか?
でも、そんな歪な経験を積ませているから、ここのゴブニュートは実用レベルの刀とか打てるようになっている。
そればっかりやらせているので、刃物を打つのだけは上手くなったんだよ。包丁とかも同じ要領で作らせているし。
鉱石をインゴットに変えるところまでやらせていたら、ここまで成長しなかっただろうことを思えば、これも妥当なんだよ、きっと。正解の道筋は一つじゃないんだから。
自己弁護、完了。
俺は誰にするでもない言い訳を心の中で行い、使っていない方の溶鉱炉に火を入れた。
鉄を作るなら砂鉄から、と思ったので、鉱石を砕いて粉々にして、磁石で選り分けたものを材料に、インゴットを手作業で作る。
「と言っても、風を送るのと燃料を投下するのと。それだけなんだけどね」
ふいごで溶鉱炉に風を送る。
鉄が溶けるまで2時間ぐらいかかるので、きっちり頑張りますかね。