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EP:なぜ、俺はここにいる?

「失敗したな」


 兎の肉で焼き肉をしてみたが、美味しくなかった。

 調味料、タレの類いがないからしょうがないね。


 一応、塩っ気の強い『塩パン』をパン粉のように加工してから振りかけてみたが、獣臭いのはどうしようもない。

 血抜きとか、言葉では知っているけどやった事も無いから。

 香りの良い、食べてもお腹を壊さない草も手に入れたけど、焼いた肉に合わせるには弱い組み合わせだったみたいで、ぜんぜん足りない。


 素人料理だからしょうがないね。





 こうして2ヶ月ほどここで生活してみて、いくつか分かった事。


 俺、自分が何者なのかよく分からない。

 分からない事が分かった、そんな状態だ。


 水場の水面に映る顔を見ると、年は20かそれより前。

 学生だったんだろうな、とは思った。


 農作業の素人だったから、家は農家では無いと思う。親は会社員?

 船とか全く乗った事も無いだろうから、身内が漁業関係者ってことも無いと思う。

 で、肝心・要の料理関係も素人っぽい。母親に任せていたんだろうね。だけど母親は……なんとなく兼業主婦だった気がする。なんか、苦労させていたイメージが強い。



 サバイバル知識も無いからね。森歩きとかしても、ゴブリン以下って有り様だ。

 登山をしていた様子も無いし、サバゲーとかも単語で知っているってレベルなんだろうな。森歩きもダメだ。


 格闘技、運動関係も特に詳しく無さそうだ。

 柔道的な動きをしようにも、受け身もロクに取れないよ。空手も、綺麗な拳を見れば何かを殴る練習をしていたとは思えない。



 特にこれと言って出来る事もなく、のんべんだらりと生きていたんだろうね。ここに来る前の俺は。

 趣味や部活に打ち込む事も無く、やる気を見せず本気を出さず、疲れる事はしない。それでも生きていけるぬるま湯の中にいたッポイ。


 今は生死のかかったサバイバル生活だけどね、さすがにこれを見越して何か覚えておけよと言うのは贅沢か。

 ボーイスカウトなんて欠片も興味なかったんだろうなぁ。今ならやっとけって言いたくなるけど。





 こんな俺でも、食い物と飲み物と着る物と住むところを用意してもらえれば、何とか生きていける。

 ……衣食住、全部だな。そりゃ生きていけるか。


 身を守る術と護衛と、それも貰ったけど脅威から生き抜く力はあるけど力不足は否めない。

 ついでに言えば、良き隣人も欲しかったです。神様。

 真面目にコツコツと、そこそこに頑張れば生きていける、そんな生活がしたいです。



 俺、なんでこんな力を持って、なんでここに一人でいるんだろうね?

 神様じゃなくてもいい。誰か、教えてくれ。


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