6-22 素材の活用①
覚悟を決めたからと言って、積極的に厄介事を受け入れるわけではない。
俺は2ヶ月ほど引きこもる事にして、ちょっと長めに神戸町から離れることにした。
すぐに出ていく必要は無かったので、数日滞在してから家に戻る。
しばらく顔を見せないんだ。挨拶ぐらいはきちんとしておくべきだろう。
「ただいまー。戻って来たよー」
村に戻った俺は、しばらく神戸町に行かないのだから、腰を据えてタイラントボア素材の有効活用に挑戦することにした。
「それじゃあ莉奈、これは任せた」
「はーい!」
まず、骨の有効活用から。
ラーメンスープにするのは自分でもネタ枠だと思うので、肥料の骨粉にして莉奈に渡した。
植物関連では莉奈にお願いした方が早いので、骨粉有りと無しで何種類かの植物を育ててもらう。
俺の方では別の実験をする。
この骨粉を粘土に混ぜたり金属に混ぜたりしたら、魔力に反応して強度を増す特性を持たないかと思ったんだけどね。
「あ、金属でもダメか」
逆に強度を下げる結果となった。
と言うのも、骨粉は強度を増すけど、混ぜた対象の粘土や金属はそのままで、強度のギャップが生じた事で簡単に壊れるようになったのだ。
要は、骨粉は混ざりきらないし、その特性は骨粉以外に影響を及ぼさないという事。
そのまま普通に活用する事はできない。
仕方が無いので、カード化して合成することにした。
『魔法鉄(硬化)』:アイテム:☆☆☆☆:中:1ヶ月
魔法鉄は、魔力に反応して特性を変える金属である。この魔法鉄は固さを増す特性がある。魔力を帯びないうちはただの鉄でしかないため、他の金属に混ざると判別が難しい。
骨粉は☆4つ。レアリティに変化は無し。
鉄に足してみたけど、運良く狙い通りの物になった。
テキストの最後に気になる表記があるけど、たぶん、これが理由で魔法鉄は存在していたとしても一般化されないんだろうね。
この魔法鉄が俺のオリジナルでない可能性、一般的な鉱山で採掘可能な金属なのかもしれないけど、鉱石の段階では不純物が多いし、抽出する方法が確立できないんだろうと予測できる。
溶鉱炉で溶かしている最中に魔力を込めて何かすれば分離可能かもしれないけど、普通はそんな事を試さないからね。分からないのも仕方がない。
性能に関しては、魔力さえ続けば魔剣部隊の魔剣よりも上みたいだ。
瞬間的に魔力を食わせる練習さえ積めば、なかなかいい性能の武器や防具を作れそうだ。
そうなると鍛冶師系のジョブ持ちが欲しいんだけど……未だに合成アイテムが思いつかないんだよね。
溶鉱炉、ハンマー、金床、鋳型、鉱石。
あとは何があれば鍛冶師なんだろう?