4-22 正月休みの導入
酒蔵から酒を運び出す、そんな必要は無い。
基本的に、すぐに使わない物、長期保存を考えている物はカード化して保存をする。
火入れをしたとはいえお酒は保管状況次第ではすぐに腐ってしまうので、勿論カード化してあった。
ついでに、『強化』をする事で味を調えたりする必要がある。
中にはそのまま「米酢」にしてしまう事もあるけど……。
まぁ、どう考えても酒造は難しいので、失敗を重ねつつ、学んで、徐々に育っていけばいいさ。
そんなふうに手間をかけている酒を放出して、新年のお祝いをすることにした。
年中無休のゴブニュート村に祝日、休日の概念を導入してみるのだ。
何気に、今まで無休の超ブラックでしたが、何か?
この世界のどこかにならあるかもしれないけど、ゴブニュート村に労働基準法はありませんので。全てが合法になるのだ。
本日は正月だ。
冗談は横に置き、休日や休暇という考え方を持たせるにはちょうどいいと思ったので、そのようにしてみた。
思い返すと、去年の冬はずっと働き詰めだったので、正月休みが欲しくなったのだ。
神戸町では餅やら雑煮なんかの正月料理も振る舞われるそうで、俺もお裾分けという事で、いくつか餅を貰って来た。
餅を渡される際、女性陣より甘味の増産を無言で要求された気がするので、素直に従っておこうと思う。ハチミツだけじゃなく白砂糖も作っているからね、こちらも喜んでもらえるだろう。
前日の夜には大晦日という事で年越しそばを食べたが、かなり美味しくできたと思う。
海産物を購入した分、蕎麦の麺つゆの味がレベルアップしているよ。
天ぷらも載せられるようになったし、うん、蕎麦がゴブニュート村で市民権を得る日も近いね。
現状、蕎麦は俺の趣味レベルで、悲しい事に広まっていないんだよ……。
手間を惜しんで作れる雑穀粥の方が人気が高い……。
蕎麦の話は横に置き、冬のやる事が無い時期に、一回休暇を設けるのは良い事だろう。
あとは夏のお盆の時期か。
さすがに毎週2日というのは無理だけど、月に1日ぐらいは休めるようにしたい。
休みを与えることで疲れを取り体を癒し、酒でも飲んで今後の仕事に向けて英気を養うのは、効率の面で言えば悪い事じゃないはず。
働き詰めより適度に休憩を入れた方が効率が上がるというのはよく聞く話だから、こうやって、まずは休日という概念を理解させるところからスタート。
なにしろ、ゴブリン時代は毎日働かないと飢えるかもしれないっていう恐怖と戦いながら生きてきたらしいからね。
ゴブニュートになり、俺がカードで支援しているから飢えない事を頭で理解しても、本能的に働きたがる。
そのへんは、みんなモンスター的だ。
あ、そこ。今日は仕事をしなくていいんだって。
とりあえず、正月は酒を飲める日だと覚えておけばいいよ。
好きだろ、酒?
ゴブニュートになったとはいえ、まだ住人のみんなの常識はゴブリン的だ。
今はそれでいいんじゃないかな。
焦らず、ちょっとずつ変えていこう。