0-9 カード利用枠上限
道を作って、ベッドを作って、飯を改善し、生活レベルを少し上げて。
カードを鍛えて、カードを増やして、出来る事の幅を広げて。
で、カードの≪マテリアライズ≫上限に引っ掛かった。
こちらで生活を始めて今日で10日。
俺の周辺は、一応落ち着いた。
あれから野犬の襲撃は無く、野犬をカード化する事はできていないけど、それでもまぁ、やれることはやっている。
森で手に入れた蔦をロープにしてみたり、ナイフでチマチマ家具を増やして、と。
そのついでに出来た物を≪マテリアライズ≫して、壊れた時の保険にしてみたりと。色々やっていたんだよ。
俺の生活で一番重要な部分は、やはりカードが握っている。
だから≪カード化≫して、≪マテリアライズ≫して、性能を強化していくのが一番の近道と思っていたわけだ。
カードに経験値を稼がせるためにも、≪マテリアライズ≫などでカードを使うのは必須だ。
魔力を直接注ぐよりも効率よく経験値が入るので、『草の実』とかを過食可能な何かに変えられないかと出しっぱなしにしていたりもしたわけだ。
そうしたら、≪マテリアライズ≫できなくなった。
カードの利用が50枚で上限に達したらしく、≪マテリアライズ≫ができなくなった。
スペルカードの≪詠唱≫もできなくなったし、俺の能力の上限がカード50枚である事が判明してしまった。
俺が常時使っているカードは『平地』『木の家』『麻布の服』『革の靴』『鉄のナイフ』『鉄鍋』『ゴブリン(夏鈴)』『枯れ草のベッド』『木のテーブル』『木の椅子』ぐらい。
あとは『塩パン』『ミルク』『リンゴ』『具無しシチュー』『水の小樽』といった飲食物で枠を消費する。
で、これらの他に『草の実』『小石』なんかの後を考えての小物関連を出しっぱなしにしていたんだよ。経験値稼ぎで。
使用中のカードはそれが分かるようになっているけど、それがちょうど50枚になると、次が使えなくなる。
飲食物なんかの『塩パン』や『ミルク』などと、スペルカードの『マナボルト』『ヒール』はちょっと扱いが違い、リキャストタイムが終わるまでが使用中扱いになる。
もしも枠をいっぱいまで使っていた場合、いざって時のスペルカードを使えない事態もありうるわけだ。
飯を食おうとしていた時に分かって良かったよ。
これが野犬に襲われていた時だったら、俺は死んでいたよ。危なかった。
そんな訳で、俺は枠いっぱいまで≪マテリアライズ≫しない様、今後は注意することにした。
いのち大事に。安全はすべてに優先する。
俺はまだ、死にたくないんだよ。