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4-9 箱庭の侵入者①

「は? 侵入者?」


 ゴブリン村がゴブニュート村になってから2ヶ月ほど経った。

 俺はいつものように魔法系統のカードを使って経験値稼ぎをしていると、緊急連絡便の狼がやって来た。

 そこにしがみついたゴブニュートから話を聞くと、村に人間が侵入してきたので捕らえたという話だった。



 ゴブニュート村は、俺の家の反対方向、人間の領域から片道3時間か4時間のところにある。

 何かあればちょっと行ってくる、そういう事もできる位置にあった。


 ただ、これまで人間が当時はゴブリン村にやってくることなど無かった。

 それもそうだろう。ゴブリン退治なんて、猪退治に比べれば優先度の低い事をわざわざ好んでする奴はいない。


 飢え死にしそうなときは食べるらしいけど、ゴブリン、肉が不味いって話だからなぁ。なんか草とか木とか、それに近い味がするらしいよ。

 じーさんやばーさんのようなご年配の方々の中には食った事もある人がいたけど、アレはそうとう腹が減ってなきゃ食いたくない、そういう物らしい。

 逆に言うと、飢えれば食う、だけどさ。



 話を戻し、侵入者の事だ。


「何か言っていた?」

「この辺りは自分たちの土地だ、と言ってる」

「……お前ら、これまでずっとここに住んでたのになぁ」


 どうやら、ゴブリンではなく別の人間(ゴブニュート)が住み始めた事で、「どこかからやって来た逃亡者がゴブリンを追い出し住み着いた」と勘違いしたようだ。

 その勘違いを是正する気は無いけど……あ。


「ちょっと待て。今、そいつらと誰が話している?」

「誰も話してなかった。村長、ご主人が来るまで待てって言ってた」

「よし。OK。いい子だ、それで正解だぞ」


 報告を聞く中で気が付いたが、その侵入者の誤解は、解いてはいけないものだった。

 むしろ、そうやって勘違いさせた方が都合がいい。

 こいつらがゴブニュートという新種族なのは俺だけが知っていればいい事で、その事を知っている他の勢力など、口封じに殺さなくてはいけないと思うほどだ。


 俺の能力のうち、モンスターの種族進化が可能な点は、絶対にバレてはいけない部分だ。

 ゴブニュートのリリースをして俺の手を離れた連中がどうなるかを調べ始めたばかりで、完全に状況を制御できてるわけじゃない。

 今はまだ、秘密にしておきたいのだ。知られた後の事が怖すぎる。





 現在時刻はおおよそ昼過ぎ。

 さっき飯を食べ終えて、それからスペルカードの経験値稼ぎをしていたところだ。


 今日は行く予定など無かったが、仕方がない。

 俺は夏鈴を伴い、ゴブニュート村に向けて走り出すのだった。

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