4-6 農園③
鶏以外の家畜はまだまだこれからだけど、岐阜県で牛と言えば飛騨牛がいる。
ここは美濃の国だけど、そのうち北に向かい、飛騨牛を手に入れるのも面白いかもしれない。
今後の予定として、ちょっと頭の片隅に置いておこう。
農園という事で、自生している稲や蕎麦のような穀物系だけではなく、野菜関係も育てている。
あとはブドウと柿の木を手に入れたので、リンゴと一緒に育てている。
野菜に関しては、だいたいが神戸町で種を買ったものになる。
他はカード能力で無理矢理品種改良したものだ。
ネギにキャベツやトマト、大豆、ブロッコリー、シソと大葉のほか、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎといったカレーのお供、大根やカブなんかの根菜の種を貰った。
自作したのは、トウモロコシ、ピーマン、アスパラガス、あとはキノコ類となる。
買った物は自分が食べたかったものを中心に。
作ったものは、作れそうだったものばかり。
カード能力で野菜とか作物を作るとき、基本的にある程度品種が近くないと、モノにならない。
もしかしたらだけど、今は雑草扱いになっていた植物も、もとはトウモロコシとかで、その辺の雑草と交雑して駄目になっちゃったものだったりして。そんなふうに想像している。
リンゴの方はカードで進化させて作ったものをリリースして種を回収、育て始めたものだ。
今のところは小さな苗木だけど、たぶん来年には実が生ると思う。
種の段階で「成長が早く」「病気に強い」ようにと強化したので、普通よりも育つのが早いんだよね。
種にするとカードとしての格がずいぶん下がるので、強化し易くていいよね。
ブドウ・柿は自生しているのが見つかったので、それを回収した。
柿は富有柿という品種で、このあたりの名産らしい。生の柿は保存の関係で遠方に出荷などできないから、地元で消費される分がほとんどだ。
甘い柿なので渋柿の様に干し柿にはしないみたいだね。
柿は秋の甘味としては大当たり。大きめの木をカード化して移植したので、今年から収穫が期待できるよ。
……まぁ、この家の近くの森にも柿の木がたくさんあったんだけどね。最初から。ただ、俺が気が付かなかっただけで。
ブドウは長良川の傍で栽培されていたけど、それが野生化したものを頂戴してきた。
種とかの管理がずさんというか、鳥などに食われて運ばれた種が広まったんだろうね。そのまま育てても専門家が栽培したものほど美味しくはならないけど、これはこれでいける。
ブドウは木ではなくつる植物なので、一年かけずに収穫が可能。今育てている品種は収穫時期は夏の終わりから秋のはじめで、もうすぐ食べごろを迎える。
実が大きくなると害虫が怖いので、対策として防虫薬液の塗布だけはしっかりやらないといけない。
ブドウが収穫できたら、ワインでも作ってみたいね。
リンゴの酒は普通にできたので、こっちも上手くいくと良いな。
日本酒は……うん、一回失敗したけど何か?
二回目はカードにして無理やり作ってみたけど、自力では、まだ無理。
アルコール類はゴブリンたちに人気だし、カード無しの量産体制が整うと嬉しいんだけどね。
買った作物の方は、育て方を人に聞いたりしながら育てている。
自作した作物、トウモロコシなんかは神戸町にも持っていき、そちらと共同研究のようなやり方で育てている。
もっとも、莉奈はヒーラーで、薬草関連の専門家だ。
その知識は農作業関係にも応用が利き、植物の声を聴くことも可能なので、状況把握は完ぺきだ。
過信は禁物だけど、ある程度は彼女のアドバイスを聞くだけでなんとかなる。共同研究と言いつつ、実質莉奈の主導で作物を育てている。
あんまり顔を出さないけど、神戸町でも莉奈の能力は頼りにされているよ。
そういえば、猪狩りでは凛音が一番頼りにされているし、俺の立場って……。餌の用意だけ?
深く考えるのは止しておこう。
きっと誰も幸せにならない。




