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このメイド、普通じゃないんだが!!  作者: 苛虎
第1章 俺とバグメイドと…
6/127

バグメイド 6

「ご主人様、朝でございます。起きてください」

「…あと5分…」

「分かりました。1、2、3…」


 こいつ…ずっと横で時間を数えるつもりか?寝れねぇじゃねぇか!


「…298、299、300、時間です」

「てめぇのせいで寝れなかったよ!なんのための5分なんだよ!」

「それを最後まで聞き続けるご主人様にも非があると思うのですが?」

「うるせえ!気になったんだよ!」

「ただのメイドであるこの私のことを気にかけてくださったのですね。私は嬉しい限りでございます。」

「あぁぁぁあ!!」


 なんなんだこのメイドは…


「サリーでございます」

「名前の事じゃねぇよ!」


 ひょっとして、俺はずっとこいつのツッコミ役に回らないといけないのか?


「死んでからもずっとご一緒させて頂くつもりです。というか、ご主人様を死なせません」


 こいつの場合、どれも本当にやりかねないから怖い。メイドがそんなことできるはずないのにな。


「はぁ…それで…?今日はどうするんだ?」


 そんなこと思いながらも、頼る相手はこいつくらいしかいないからなぁ…


「本日はギルドマスターよりお手紙を受け取っております」


 ギルドマスターか…昨日のエンペラースライムの事だろうなぁ…憂鬱だ…


「が、それは無視して」

「無視すんな!」


 こいつなんて恐ろしいことを…新人冒険者がギルドマスターからの手紙を無視するとか勇気ありすぎだろ。


「しかし、エンペラースライムを倒したのは私になっているはずなので、冒険者ではない私に行く必要がございません。なので、ご主人様がギルドマスター程度に会う必要はーー」

「今日はギルドマスターのところに会いに行こうか」

「承知致しました」


 こうでも言わないと埒が明かない。


「それでは早速参りましょうか。ご主人様の大切なお時間を減らすわけにはいきません」

「さいですか」

「はい。それでは、テレポート!」

「は?」

「え?」


 このメイドが俺の体に触れたと思ったら、一瞬で視界が変わった。そして目の前にはギルドマスター。


「えっと…御無沙汰しています…」

「お、おう…早かった…な…?」

「ギルドマスター、ご主人様は大切なお時間を削っておられるのです。早くお話を」

「あ、あぁ…って、できるか!」


 そりゃそうだ。このメイドはこんなことをしておいて、普通に話をしてくれると思っていたのだろうか?


「私、テレポート、使った、これで説明はおしまいです。さぁ、本題を」

「そんな説明で理解できるはずがねぇだろ!」

「俺もそう思うぞ〜」

「まず第一に、テレポートを使える人間なんて聞いたことねぇよ!」

「冒険者でもないただのメイドがご主人様以外の者に自分の手の内を明かすとでも?」

「くっ…そう言われちゃ何も言えねぇが…」

「…どうしてお前はそんなに強いんだ?」


 ギルドマスターの代わりに俺が言うしかなさそうだ。それにこいつの秘密も知りたいしな。


「ご主人様にお仕えしても恥ずかしくないように鍛え上げた結果でございます」


 ダメだこりゃ。説明になってねぇ。


「…はぁ…それじゃ、どうやってそこまで強くなったんだ?」

「ご主人様のことを思って、たくさん訓練をしたらこうなりました」


 あぁ…これは多分本当のことなんだろうな…目が本気だ…


「もちろんでございます。私がご主人様に嘘をつくはずがございません」

「おい!人前で普通に俺の心を読むな!」


 このメイドはバカなのか!?


「大丈夫ですよ。ご主人様との会話は周囲に聞こえないようにしていますから」

「あっ、そうですか」


 俺の心配を返せ!


「それは出来ませんが、その代わり精一杯働かさせてもらいますね」

「お前は精一杯働くことを精一杯辞めろ」

「承知致しました」


 こいつが精一杯働き始めたら軽く世界を取れそうだ。恐ろしい。


「この世界だけでは足りません。ご主人様はもっと多くの方に知られるべきなのです!なので早くこの世界で有名になって頂かないと」

「お前は俺に何を求めているんだよ!」

「最高神になって頂きたく…」

「なるわけねぇだろうが!」


 神になれと!?それも最高レベルの!こいつが色々とやばいのは分かっていたがこれ程とはな…


「そうですか…確かにご主人様は最高神レベルではまだ足りませんので仕方ないですね」

「違うわ!どうしてそうなるんだよ!」

「メイドですから」


 メイドって理由でそうなるはずねぇよ!もうこいつについていけねぇよ…誰か助けてくれよ…


「メイドである私にお任せ下さ…」

「お前以外の誰かに頼んでるんだよ!」

「…私では不十分でしたか?」

「十分すぎるんだよ!だから頼めねぇんだよ!何するかわからねぇからな!」

「お褒めに預かり光栄です」

「ハイハイわかったから!とりあえず、ギルドマスターが理解できるようにしろ!」

「かしこまりました」


 はぁ…すごい疲れた…

 知ってるか?俺起きてからまだ2時間経ってねぇんだぜ?


「強制的に理解させました。これでもう大丈夫でしょう」

「ギルドマスターは大丈夫じゃないやつだな。分かるぜ」


 できたら分かりたくなかったが。


「こういうときには洗脳のスキルが役に立ちますね。ご主人様もぜひ覚えてみてください。そして私にこう言うんです……」

「それ以上は何も言うな。聞きたくねぇし、知りたくもねぇ。あと、そんな恐ろしいスキルをホイホイ使うんじゃねぇ。わかったな?」

「心に止めておきます」

「つまりまだ使うってことだよな?」

「はい。全てはご主人様のために…」


 まるで俺が主犯みたいに言うのはやめてくれ!俺そんな命令した覚えねぇからな!誰が洗脳して無理やり理解させろって言ったんだ!


「この方法が1番手っ取り早く、成功率が高いと判断致しました。」

「…はぁ…一体どこから突っ込めばいいのか…」


 ともかく、ギルドマスターとは特に話さなくても大丈夫そうだな。あとはギルドマスターは正常に戻ってくれるかどうかだ。


「これ仕事に支障をきたしたりしないよな?」

「はい。しっかりと調整しております。」

「ならいいんだが…本当にこんなことはもうあまりしないでくれよ?」

「承知致しました」


 このメイドは放っておくと危険だ。

ギルドマスターでさえ、洗脳をしてしまうメイドさん

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