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95章 もう一人いた!

魔力回復をしてきたガドルとネビルは、皆が苦戦しているのを目にする!

 95章 もう一人いた!



 アンドゥイ国側。



 ガドルとネビルがオーガの里にいるアニエッタに魔力回復をしてもらって、山脈の道に戻ってきた時、かなり苦戦をしている戦況が目に飛び込んできた。


「これはマズいのう」

「本当です!! 私はあちらを!!」


 ネビルはホブゴブリンたちの所に飛んでいった。

 


 道の手前に幾つかの小山がある。 山ごと動いているのでなにかと思ったら、それは虫がトロールに群がっていたのだ。


 

 トロールに喰らい付いているので魔法が使えない。 そのためグリフォンとハーピーに、トロールに群がる虫を排除してもらう。


 その間に、ガドルとルーアは次から次に虫が押し寄せる道の向こうに向かって大量の水を撒き、爆雷魔法を放ち、広い範囲で虫の足止めをした。 これで道に虫が到達するまで、しばらく時間を稼げる。


「今のうちじゃ! ケガをした者はここに集まれ!」


 虫にやられて大ケガをしているトロールと共に大きな結界で囲み、一括回復を試みた。 


 以前、トロールの回復する時にシークとレイがしたと言ってのを思い出したのだ。 


 虫が再び大挙して向かってくるのは時間の問題だ。 ドライアドもあちらこちらの回復で既に手一杯になっている。 一人ずつ回復している暇はないので一括回復をやってみる事にしたのだ。



 大きな結界で囲んでルーアと共に回復魔法を放つ。 確かに早い。 一人の回復時間で全員の回復が終わった。


 しかし、とんでもなく魔力を消費する。 シークとレイだからできたのだ。


 どうにか全員回復することができたが、ガドルとルーアは最後の一絞りまで魔力を使い切り、完全に魔力が枯渇してしまった。





 トロールのズギゴズがひれ伏す。


「ガドル殿、私共の仲間を助けていただき、ありがとうございます。 この御恩は忘れません」


 トロールたちの傷は酷かった。 あと少し遅かったら死んでいただろう。


「間に合って良かったのう。 大切な仲間じゃから、助けるのは当然じゃ。 恩に思う事はありませんぞ」


 ガドルはグリフォンのディームに向き直る。


「すまんが急ぎオーガの里に向かっていただけますかのう。 魔力を使いすぎてなくなってしまったんじゃ」

「もちろんだ。 大急ぎで行くから、ルーアさんも振り落とされないように捕まっていてくれよ」


 ディームと共に、ガドルを護衛する一団が飛び上がった。



 ちょうどその時、アッシュ、ヒューイ、マリナの一団が帰ってきて、すれ違いざま手を挙げて挨拶する。


「これでしばらくは安心じゃのう」

「そうですね」


 ガドルとルーアは、ニッコリと笑い合った。



   ◇◇◇◇◇◇◇◇



 オーガの里は三連山を越えた向こう側にある。

 この辺りは兵士も虫の姿もない。 アンドゥイ国とは方向が違うからだ。


 三連山に差し掛かる時、山の向こう側から何かが飛んで来る。


 虫ではない。 鳥でもなさそうだ。 

 魔力を使い果たして風探索魔法もできない。




 その時ルーアが声を上げた。


「ドラゴンよ!! 凄い殺気を感じるわ! 奴の手の者がもう一人いたんだわ!!」


 その瞬間、耳をつんざく爆発音と共に目の前が真っ赤になり、グリフォン共々吹き飛ばされ、ガルドは地面に叩きつけられた。



挿絵(By みてみん)  



 ガドルはゆっくりと目を開けた。 痛みは感じないが、体がピクリとも動かない。


 ぼんやりしていた視力が少し戻り、視線を動かした。


 少し先にルーアが倒れている。

『ルーア!』呼んでみたが返事はない。



 グリフォンとハーピーたちも、体や翼が焼け焦げ(うめ)き声をあげている。 しかし、見える範囲にいる者たちは取り敢えず生きているようだ。


 すぐに回復してやればすぐに元に戻るのに、回復してやれないのが無念だ。




 その時、見慣れぬドラゴンが近くに飛んできた。 先ほど攻撃してきた者だろう。


 頭から首にかけてが赤色で体が真っ青なドラゴンの上に乗っている者がいた。 水色の長い髪の女性だ。


挿絵(By みてみん)


 彼女は空中でホバリングしているドラゴンから下を覗き込んでいる。


 すでに事切れかけているガドルとルーアを見て納得したのだろう。

 止めを刺すこともなくクルリと向きを変えて、三連山の方に飛んで行った。



『まずい! あっちにはアニエッタがいる!』


 ガドルはなんとか起き上がろうとしたが、ピクリとも動くことが出来ないのでどうすることもできなかった。




 その時、大きな影が(おお)い被さる。 ふわりとシルバーの長い毛が見えた。


「ガドル!! 大丈夫か!! さっきの爆発は竜生神か?!!」


 フェンリルだった。


()()は大丈夫だ。 急いでアニエッタを助けに行ってくれ!!』


 そう伝えたいのだが声が出ないしフェンリルには心通魔法もできない。

 炎で焼けた(のど)から声を絞り出す。



「オーガの···里······アニ···エッタ······を······た·········の······」

「ガドル!! しっかりしろ!!」


 フェンリルは大きな声で呼びかけるが、すぐ横にいるルーアが霧となって消えるのを見て目を見張る。



「ガ ド ルゥ~~!! ヴオォォォォォォ~~~ッ!!」




 フェンリルは天に向かって吠えた。







魔力が無いガドルには、防ぐ術が無かったのですね。

( >Д<;)

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