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90章 最後の加護

とりあえず、半数ほどの虫を消すことが出来た!

 90章 最後の加護




 そろそろ虫たちが予定の場所を通過し、魔法チームが攻撃準備を始める。


挿絵(By みてみん)


 俺とレイは6メルクサイズのフェンリルと共に、ちょうど虫たちがアンドゥイ国側とニバール国側に分かれて進む中間地点に行った。


 かなり高い場所から見ているのだが、何とも恐ろしい数だ。


 飛翔系の虫は、地を進む虫とスピードを合わせるようにゆっくりと進んでいるが、いくつかの大きな塊になって移動し、一つの大きな生き物のようにウネウネとうごめきながら移動しているように見える。


 地を進む虫たちは、地面はもちろん木の間を飛び移って移動している個体もいるため、森全体が動いているように見える。



 見渡す限り虫が森を埋め尽くしている。



 ◇◇◇◇



 隠形魔法を使って隠れているだろうが、とりあえずドゥーレクの姿は無い。


 少なくとも一度くらいは虫に攻撃ができるだろう。 必ず最初の攻撃は様子を見ているだろうと読んだ。

 奴が攻撃をしてくる前に、急いで虫たちへの攻撃を行わなければ。




 俺とレイは(うなず)き合う。


『『結界!』』


 俺はニバール国側、レイはアンドゥイ国側に向けて、数十キメルクのできる限りの大きな結界で虫たちを覆う。 



『『浄化魔法!!』』


 結界内にキラキラと細かい粒子が飛び散り、虫たちが浄化されていく。



 巨大な虫が見る間に小さくなって、見えなくなっていった。 



 うまくいった! これで虫の数は半数くらいには減っただろう。 あと2回ほど浄化すれば虫はいなくなると思った途端、バキバキバキッ! と黒雷魔法が襲ってきた。


 すかさずフェンリルが俺たちの上で黒雷魔法を吸収した。 もちろんそれをドゥーレクに向かって放ちはせず、ニバール国側に向かう虫たちに向かって放った。


 ズドドドドン! 森の中に巨大な穴が空き、その辺りのかなりの数の虫たちが跡形もなく消え去った。





 その直後、ドゥーレクが目の前に現れた。


「これはマージェイン様、御見(おみ)それしました。 私の虫たちをこんなに消してくれて······いったい何をしたのですか?」



 ドゥーレクへの視線は外さずにフェンリルに話しかける。


『フェンリル、後はもういい。 コーマンの事も心配だ。 みんなの所に行ってやってくれ』

『大丈夫か?』

『任せろ』

『······わかった』




 フェンリルは急いで飛んでいったが、それを見てドゥーレクは失笑する。


「クックックッ、狼は逃げ出しましたよ? いいのですか? 彼の(つの)は少々厄介でしたから、私としては嬉しいですけどね。 やはり霊獣と言っても狼は狼ですね。 尻尾を巻いて逃げていくとは······クックックッ」



 俺はじっとドゥーレクを睨みつけたままだ。



「あの狼は、遠い昔の戦いのときに、随分と活躍したような事が文献に書いてありましたが、文献が間違っているのか、それとも奴も歳を取って怖くなってきたのでしょうかね。 情けないことです」



 挑発しているのは分かっているが、我慢が出来なかった。


「黙れ! フェンリルをバカにするのは許さない!」


 ドゥーレクはニンマリと笑った。


「やっと話してくれましたね。 私の言葉が聞こえないのかと思いましたよ。 それよりとうとう最終決戦になりましたね。 この戦いで勝った方がこの世界を()()()()()にできるのですよ」

「世界は誰の()()でもない。 この世界に生きる者たちのものだ」



 ドゥーレクはまたクックックッと、笑う。



「さすが、お優しいことで······ではマージェイン様が勝てば、この世界はこの世界の者に返すという事で、私が勝てば私の好きにさせていただくとしましょう」


 いつまでもふざけた事を口走っているドゥーレクの肩からジャークがより高く飛び上がり、その直後、巨大な黒いドラゴンの姿に転身した。


 レイと同じく、他のドラゴンに比べるとかなり大きなサイズで、禍々しい気配を放っている。





 ジャークが巨大な姿に転身したので、レイも大きな姿へ転身した。



 七色に輝く美しいドラゴンで、長い首と長い尾。 しなやかに羽ばたく翼は、動かすたびにキラキラと輝く。


 子供の事に見ていた父王の部屋に飾ってあるガドルが描いた絵と同じだ。


挿絵(By みてみん)


『マー』


・・・おっと、大きな姿になると声も成獣の声になっている・・・


『白の魔法衣にしました』

 

・・・言葉使いまで、丁寧になっている。



 しかし、その事は今は置いておくとして、俺の魔法衣が濃いグレーから真っ白い魔法衣になり、魔法防御の赤いラインが入っていった。


挿絵(By みてみん)


『これで少しは白魔法の威力と防御力が高まるでしょう』

『おぉ! ありがとう!』

『今まで加護できる魔法はほとんど渡しましたが、最後にこれを加護します。 使わなくて済むことを祈っています』


 俺の体を僅かに温かい空気が包み込む。 そしてレイはジャークと共に空高く飛び上がっていった。



『最後の加護って?······』


 それには返事はなかった。 





「それは死装束(しにしょうぞく)ですか? 貴方の未来を予見(よけん)したようですね。 ククククク······ハハハハハハ」


 ドゥーレクは嬉しそうに両手を広げる。


「さぁ!! それでは、世界をかけた戦いを始めましょう!!」




 それと同時に、俺に向かって黒雷魔法が放たれた。





「最後の加護」とはなんだ?

レイは答える前に戦いに入っていった。

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