86章 アンドゥイ国側
ガドルはアンドゥイ国側に配置だ。
他にも色々な人たちの顔を見ていく。
86章 アンドゥイ国側
全軍が配置についた。
俺とレイ、そしてフェンリルはオーガの里にいるアニエッタの所に降り立った。
俺を見つけてテントがある待機場所から駆け寄ってきた。
「シークさん」
「大丈夫か?」
「ええ、私、頑張ります」
アニエッタは少し顔が引きつっている。
以前にコーマンの攻撃を受けただけで寝込んでしまったほどだ。 彼女には荷が重いのは分かるが、何とか頑張ってほしい。
「うん。 この戦いが終わったら、レンドール国を案内するよ。 とても美しい国なんだ」
「はい。 楽しみにしていますわ。 フフフ」
ようやくアニエッタの笑顔を見ることが出来た。
満足!
レイもミンミと再会の約束をしているようだ。
時間がないのでアニエッタと再会の約束をし、ここに配置になっている5人のドライアドと残っているオーガの住人達に挨拶をして、俺たちは早々に飛び立ち、アンドゥイ国側にいるガドルの所に向かった。
◇◇◇◇◇
「先生! どうですか?」
「ふむ、今の所問題はない」
「俺はドゥーレクが現れるまでに、少しでも虫の数を減らしておきますが、先生も無理をしないでくださいね」
「もちろんじゃ。 わしらの事は気にせずに、思う存分戦って下され。 あちらの者たちにも気を緩めるでないと伝えてくれ」
あちらとはニバール国の傭兵たちの事だ。
「はい!」ガドルに返事をした後、後ろにいるグリフォンのディームを見上げ「ガドル先生をよろしく頼むぞ」と、声をかける。
ガドルはディームに乗る事になっているのだ。
「我々は孤高の生き物」やっぱりここだけ声が変わる「だけど恩には必ず報いるし、我らもこの世界を護りたい。 だから任せておけ」
いつも軽い感じだが、何度か訓練を共にして、能力の高さはお墨付きだ。
そこへセルカーン親子が来た。
セルカーン親子は、さすが人竜族。 ネビルは父親と言っても見た目は20歳位なので、アッシュと兄弟のようで、キリリとした軍服に包まれた二人は軍神のように美しい。
「ネビルさん、アッシュさん、ドゥーレクが現れる前に出来る限り虫を減らすつもりにはしていますが、思い通りにはさせてくれないと思います。 厳しい戦いになると思いますがよろしくお願いします」
「もちろん覚悟はできています。 シーク殿も御武運を」
「ありがとうございます」
少し先からオベロン、ゴブブがこちらに向かってくるのが見えたので俺たちも向かう。
オベロンはエルフのグリーンの軍服に身を包み、腰には剣を、背中には弓と矢を背負っていた。
ゴブブが深く頭を下げ、オベロンも頭を下げた。
「オベロンさんも本当に戦うのですか?」
「彼にだけいい所を持っていかれると困りますので······」
······彼とはグノームの事だろう······
オベロンはニバール国の方に視線を送ってから、二ッと笑う。
わ···笑う所を始めて見た······
「シーク様、あれから訓練を重ねて、ホブゴブリンたちとゴーレム部隊は一段と強くなりましたが、今回お見せできないのが残念です」
ゴブブは誇らしげだ。
話によると、ゴーレムを出せる数もサイズもアップしているらしい。 頼もしい限りだ。
「今回はギブブさんと配置が別で申しわけありません。 しかし皆さんには期待しています。 お願いしますね」
「お任せを!!」
ゴブブは膝を付いて頭を下げた。
「弟にも最善を尽くすようにとお伝えください」
「必ず伝えます」
その時、ズドズド!!と、地響きと共にトロールのズギゴズが走ってきた。 その辺にいる人達が踏み潰されないか心配だ。
例のごとく、土煙を上げながらズドドン!と、俺の前に突っ伏した。
「シーク様、レイ様、フェンリル様! 戦いの前に御顔を拝見できて幸せです。 後ほど他の者たちにも御顔を見せて行っていただけませんでしょうか」
「もちろんです。 時間がないので上からですが一回りしていきましょう」
「みんなが力を貰えます。 ありがとうございます!」
◇◇◇◇
少し先にトロール兵がいた。 やはり大きさの感覚がおかしくなる。
上空を飛ぶ俺たちを見つけたトロールたちがひれ伏していく。
ひれ伏したら顔が見えないと思うのだが······満足そうだからいいか······
その横にはエルフ兵が整列している。 1万5千のエルフが一糸乱れず整列している様は美しい。
先頭にはファーディナンド将軍が立っているのが見えた。
上空を飛ぶ俺たちを見て、一斉に敬礼をしてきた。 何度も練習したのかと思うほど揃っている。
恐るべし、エルフ。
オーガやグリフォン、ハーピーも俺たちに手を振ってくれていた。
そして俺たちはニバール国側に向かった。
シーク達は姿を見せるだけで、みんなの力になるのですね!
p(^-^)q




