80章 巨大昆虫
レンドール国の周りには、おびただしい巨大昆虫が!!
80章 巨大昆虫
フェンリルは森の主と言うが、人間と統べる定義が違うと説明する。
「我は森の主と言っても別にタナーヴに住む全ての動物たちに責任などないのだ。
その点、人間の王は大変だな。
自分が統べる全国民に対して責任が生じ、戦争があれば命を賭して守らなければならない。 家や道が壊れれば修理をし、他人を傷つける者がいれば罰しなければならない。
法律という紙切れに書いてある文字に囚われているようにしか見えないな。 我々にとっては」
「紙切れの文字か······違いない······」
森に棲む動物たちや霊獣には、人間が作った文字で書かれた法律など、何の意味もないだろう。
そうだ。 この戦いは人間の戦いだ。 本来ならフェンリルにとって今回の戦いに参加する必要などないのではないのか?
「なら、なぜ人間の味方をしてくれるんだ? 命を賭してまで」
「······さあな······なぜだろう? 深く考えたことはないなぁ······
敵の敵は味方だからな?
それに黒龍の邪気によって我を忘れそうになっただろう? あんなことは許せない。 霊獣や妖精の意思を奪うなどはあってはならないし許す事はできない······みたいなことかな?
もちろん森の中でも生きるために命のやり取りをする事があるが、無駄な殺生はしない。
平和が一番だ···と我は思う。
主として森の住人の一人一人に対する責任はないが、森の秩序が乱されるのは放っておくことはできない。 悔しいが黒龍に対抗できるのは天龍だけだ。
必然的に天龍の竜生神と協力して黒龍を倒す事で、人間も我の森も護ることができるという事だな」
「あっ! あれを見ろ!」
もう直ぐレンドール国という森の中に無数の巨大昆虫たちが微動だもせずにジッとしている。 数十キメルクの間、見渡す限り巨大昆虫がひしめいているのだ。
大雑把に言っても2百万近くはいる。
「ニバールに攻め入む奴らだろう。 しかし、眠っているのかと思うほどおとなしいな」
「それなりに命令系統があるのだろう」
俺は思わず鳥肌が立った。 このおびただしい数の虫たちと戦わなければいけないのかと······
◇◇◇◇◇◇◇◇
朝日の中、レンドール国内の上空にいた。
懐かしい街並みだが、活気がない。 早朝でも昔なら多くの人が行きかっていたはずだ。 なのにほとんど人がいなかった。
「気のせいか? こんなに寂しい街だったか? それともドゥーレクのせいで国が傾いているのか?」
人の動きはないが、建物が壊れているとか汚れているとか、そう言う事はなかった。
街並みを見ながら空から城の方に向かっていると、突然すぐ横を稲妻が走り、足元にズドドン! と落ちた。
「わっ! なんだ?!」
そして今度はすぐ先の商店が立ち並ぶ一画が突然大きく盛り上がったと思ったら、ズドドドドン! と、建物と共に穴の中に崩れ落ちていく。
すると、誰かが空を指差し、大きな声で叫んだ。
「天龍が攻めてきたぞぉぉ~~っ!! 天龍がこの街を破壊しに来たぞぉぉ~~っ!!」
あちらこちらで悲鳴が起こり、逃げ惑う人たちが俺たちを指差しながら逃げていく。
「どうなっているんだ?!!」
「コーマンだ!!」
フェンリルの声に、コーマンの気配を探すと、少し離れた木陰にいた。
『呪文封じ魔法!』コーマンの魔法を封じる。
「コーマンは何を考えているんだ! 俺は何もしていない! 奴が自分で攻撃したのに!」
コーマンを封じたはずなのに、今度はドドーーン!! と、爆発で家が吹き飛び、凄まじい風が炎を運んであちらこちらで炎が立ち上がる。
人々が逃げ惑う! 静まり返っていた街中に人が溢れ返った。
「天龍が攻めてきたぞぉぉ~~っ!! 天龍がこの街を破壊しに来たぞぉぉ~~っ!!」
今度はコーマンではない。 声を変えたドゥーレクだ!
雷を落とし、炎で爆発を起こし、風で類焼させていく。 俺は燃えている建物の上に水の塊をズザザ~ッ!! と、かけて立ち上がる炎を消していく。
空間探索魔法で探すと、レンドール城の父の部屋のテラスにドゥーレクが立っていて、そこから魔法を放っている。
部屋の奥には、コーマンの記憶で見た俺の身代わりらしき黒髪の男が焦点の合わない顔で座っているのが見えた。
ドゥーレクは俺の空間認識魔法に気付き、肩にブラックドラゴンを乗せて俺を見ている。
そして······楽しそうに笑っている?!
ドゥーレクは、俺にではなくレンドール国民に攻撃している?!
( ̄□ ̄;)!!




