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54章 トロール

エルフの里に向かう途中、巨大なトロールが喧嘩している?!

 54章 トロール




 俺はゆっくりとベッドで眠ることができた。


 俺専用の土壁で造られた少し大きめの家で、もちろん窓とドアもあり、ゆったりとしたベッドにテーブルセットまで用意されている事には驚いた。


 次はいつ来るとも知れないのに、いつでも準備して待っていると言ってくれたのだ。



 心遣いに感謝する。



 朝、オベロンがわざわざ待っていてくれた。


「ゆっくりとお休みになれましでしょうか?」

「おかげさまで」

「それはようございました」丁寧に頭を下げてくれる。

「それで······今から、エルフの所へ行って頂けるのですか?」

「はい」


 オベロンは、ホッとした様子だ。 エルフの里に行くのを待っているのだろう。


「空を飛んでいかれるのでしたら、3日も掛からないかと思います。

 真っ直ぐに東に行くと、かなり高い山々が見えてきます。 その奥深い場所にありますので、その辺りで私を召喚していただけましたらエルフの里までご案内致します。」


 ホブゴブリンとゴブリンキングたちに別れを告げて、俺たちは東に向けて飛び立った。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 翌日の昼下がり、空から不思議な光景を目にする。


「喧嘩?」

「あれはトロールだな。 奴らは見た目と違って穏やかで、仲間同士は喧嘩をしない種族のはずなのだが」


 フェンリルは眼下に見える光景を見ながら首をひねった。


 どうみてもトロール同士て喧嘩······というより、殺し合いをしているように見える。

 たまには他の魔物や、そして巨大化した昆虫とも戦っている者もいる。



「最近あまり見なくなっていた巨大化した昆虫が、またチラホラ見るようになってきたという事は、もしかして黒魔法の影響を受けているのではないのか?」


 巨大化した昆虫も気になるが、やはりトロール同士の戦いが目立つ。 すでに倒れている者も所々にいるのだ。


「その可能性が高いな。 しかしどうする。 一人ずつ加護を与える事もできないし、あれだけ狂暴化しているトロールに近寄ることなど危険すぎてムリだぞ」



「·········」



 ぐるりと一周してみた。 だいたい数十キメルク四方に散らばり戦いを繰り広げている。 

 そこの中心辺りに住処が見えた。 


 土で盛られた大きな家だろう。 丸く大きな蟻塚のような盛り上がりが沢山作られている。


 しかし自分たちの戦いで潰れてしまっている家も多く、その中に倒れているトロールもかなり見られた。



 とにかくトロールを落ち着かせないといけない。 何か言い方法はないかと思案する。



 そうだ!! 浄化だ!



「レイ、ドライアドが浄化をするって言ってたが、俺にもそんな力はないか?」

「う~~ん。 あるよ!」

「みんなをまとめて浄化できるのか?」

「もちろん」


 フェンリルにも意図が分かったようで、それなら行けるとうなずいている。


「レイ、頼む」

「······できたよ」

「しかし、数十キメルクの範囲に散らばっているから、一度に浄化させるのは厳しそうだぞ? 数回に分けた方がよくないか?」


 フェンリルが心配そうに周りを見回しているが、俺は風魔探索魔法で全てのトロールの位置を確認し、確証を持てた。


「大丈夫だ。 結界魔法!」


 数十キメルクを、結界魔法で囲み「浄化魔法!」と、すぐさま唱えた。



 広い結界内にキラキラと細かい粒子が飛び散り、全てが浄化されていく。

 結界内の生き物である魔物、動植物、昆虫に至るまで黒魔法の悪しき影響が消えていった。


 巨大化した昆虫は消えていき(小さいサイズになったみたいだ)、植物は青々と生い茂り、トロールは茫然(ぼうぜん)と立ち尽くしていた。


 どうやら浄化は上手くいったようだ。



 では、次!



「レイ、ガドル先生がしていたように、俺の声がみんなに聞こえる魔法はないか?」

「えっと···あるよ。 音波拡声魔法だよ······できた」



 俺は結界内のトロールに俺の言葉を伝えた。



「音波拡声魔法······あ~あ~~······え~~っと、トロールのみなさん聞こえますか? 天龍と加護者です」


 トロールはキョロキョロして俺たちを探している。


「とりあえず浄化を行ったので、当面は黒魔法の悪影響はないでしょう。 しかし、いつまで持つかは分かりません。       

 そこで、みなさんの住処で加護を与えるので、急いで戻ってきてください。 あっ! ケガ人は回復をしますので、必ず連れて帰ってきてくださいね。

 天龍のレイと、加護者のシーク。 それと霊獣のフェンリルでした。 解」



「最後のこっぱずかしい紹介はなんだ?!」


 フェンリルは、全身の毛を逆立てている。 人間でいう、鳥肌が立っている状態なのかもしれない。


「後でいちいち説明するのもめんどくさいから、いい考えだろう。 ハハハハハハ!! 我ながらいい考えだった。 名演説だったとは思わないか?」

「マー! カッコよかった!! 凄い!凄い!」


 フェンリルは呆れて物も言えないと、首を振っていたが気にしない!!


 フェンリルは既にトロールの住処に向かって飛び始めている。


「さぁ! さっさとトトロールの住処に行くぞ!」

「「は~い!!」」


 俺とレイは手を高く上げた。



 ◇◇◇◇



 トロールの住処に近づくと、大小の感覚がおかしくなる。


 空から見ると土で盛られた大きな家程度に思ったいたのだが、とんでもない!

 一つの家と思っていたものが、小山ほどの大きさがある。 そしてトロールも凄くデカイ! 高さは10メル以上はあり、俺はトロールの膝ほどの高さもないのだ。



 トロールは緑色の皮膚をしていて、体は5頭身(?)ほどで頭はデカく、体躯(たいく)もビックリするほどガッチリムクムクしている。



 その体が持つゴツゴツした棍棒(こんぼう)は5メルク以上ありそうで、人間の家など一振りで粉々にされるだろう。





ここでも、加護を与えてしまった。

( ´∀` )b

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