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49章 戦力

オベロンとグノームを召喚して、戦力の相談をする。

 49章 戦力



 おもむろに国王が話しだす。


「あなたがシーク殿······いや、マージェイン殿ですか?」

「はい。 シークとお呼びください」

「大体の話はガドル殿から聞いています。 天龍を連れているとか?」



 レイが姿を現した。



「天龍のレイです。 それとフェンリルと、あちらの大鷲がハイオーガのグレンさんと狼がオーガのラズクさんです」




 ラズクとグレンが本来の姿になった。 みんなが驚く。 予想以上の大きさに始めて見る者たちは腰が引けている。


 ラズクはまだしもグレンは天井に頭が付いている。




「グレン殿が来ると聞いて、広くて天井も高い場所をお願いしたのじゃがギリギリじゃったのう」


 フォフォフォとガドルは呑気に笑っている。




「ハイオーガのグレンだ。 ここは狭いので大鷲の姿で失礼する」


 そう言って、再び大鷲の姿になり、ラズクも狼の姿に戻った。






 目を見張って少し腰が引けていた国王は、コホンと咳払いをする。


「御越しいただいて痛み入ります」




 落ち着いたところで「王様、予定にはありませんでしたが」と、俺は国王に向き直る。


「あと二人呼んでもいいですか?」

「構わんが、誰を呼ぶのだ?」

「妖精王のオベロンと、土の精霊王のグノームです」


「えっ?!·········も······もちろんです」




 国王は少し目が泳いでいるが、気にせずに2人を呼び出事にした。





 首の虹色の珠を握り『オベロン召喚』と唱えた。


 すぐに床に見覚えのある円陣が現れ、白い煙が人の形になった。


「加護者殿、お呼びか?」

「少し待っていてくれるか?」

「あっ! お声が」

「うん。 そういう事になった」


「おめでとうございます」

「ありがとう。 少し待ってくれ」


 次に腕の琥珀色の珠を握り『グノーム召喚』と唱えると、先ほどと同じようにできた円陣からグノームが現われた。


「加護者殿、呼ばれるのをお待ちしておりま······オベロン!」


 オベロンはクックックッと笑う。


「お主も珠を渡しておったのか。 しかし、私の方が先に呼ばれたのだ。 先にな!」

「またしても先を越されるとは!!」


 グノームは地団太を踏み、悔しがる。



 順番なんてどうでもいいじゃん。




「オベロン様」


 ギブブが立ち上がり頭を下げる。


「ギブブか、久しいの。 人間界は居心地がいいか」


 このままでは近況報告が始まってしまう。 王様が御待ちなので、話しに割って入った。


「オベロンもグノームもギブブも座ってくれ」

「「あっ! もうしわけあり······」」

「こら! お前はこっちだ!」

「私が先に取ったのだ。 文句を言うな」


 座席の取り合いをしている。


 グノームが上座に近い席にサッサと座って、オベロンが文句を言っているのだ。



 子供か!



「グノーム! オベロン! いい加減にしろ!」


 思わず俺は王様の前だということを忘れて、妖精王と土の精霊王に喝を入れてしまった。 



 二人はシュンとして席に着く。



 グノームがハッとして俺を見た。


「加護者様、お声が」


 今頃気づいた?


「そういう事になった。 あぁ、私の名はシーク。 よろしく」

「それはおめでとうございます」


 自分の事のように、満面の笑みだ。 



 全員がこの顛末(てんまつ)を、キョトンとして見ていた。

 オベロンとグノームは中が悪そうだとは思っていたのだが、困ったものだ。





 俺はコホン! と咳払いをして、改めて国王に向きなおる。


「申し訳ありません。 では始めましょう。 

 ガドル先生から話は聞かれていると思いますが、ブラックドラゴンとその竜生神の脅威は確実に迫っています。

 ドゥーレクの手の者から読み取った情報によりますと、レンドール国はこの国を攻めるつもりにしている事は確実ですが、進攻にはまだ準備が整っていないという事です」


「エグソン国を攻めたばかりですからな。 普通なら次の進攻までには少なくとも2~3年を要するはずです」


 そう言ったのは宰相だ。


「ただ、兵士が人間なら兵糧の確保の為に月日が必要でしょうが、相手は黒魔法で創った魔物たちですので、そんなにはかからないと思われます。  

 しかし、少なくとも半年は猶予があるでしょう。 それまでにこちらも準備を整えなくてはなりません」

「半年か······短いな」


 国王、将軍、宰相の三人が顔を見合わす。 不安を隠せないようすだ。




 俺は一同を見回した。 そうそうたるメンバーだが、黒魔法相手にどこまで通用するか······


「この国と応援国の戦力はどれくらいですか?」


 俺が聞くと、国王は苦虫を噛み潰したような顔になった。 戦力を知られるのが嫌なのか?


「もちろん他言はしません」


 すると、いやいやと、手を振る。

 少し言いあぐねてから話しだした。


「実の所、一昨年、一昨々年の日照りの影響でこの国の財政が悪化しまして、軍備縮小をしてしまったのです。 間の悪いことに······」



 そういえばそんなことを聞いた覚えがあった。 ドワーフ山脈の西側が酷い日照りで作物が育たず、お父様がかなりの援助をしたと言っていた。



 そうだ······思い出した。


 それがアンドゥイ国の城内で感じた違和感。

  

 もてなす部屋は豪華にしていたが、それ以外の場所の装飾はなく、多分、金目の物は最低限の物を残して売ったのだろう。



「それで、今はどれくらいの戦力なのですか?」



「わが国とアンドゥイ国、そしてその西側諸国を合わせても10万足らずにしかなりません」


 


 10万か······思った以上に少ないな。






やっぱりオベロンとグノームは、仲がわるかったのですね

( ´∀` )b

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