表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/110

42章 オーガの里

フェンリルはオーガとお知り合い?

お顔が広いことで····

 42章 オーガの(さと)




 結界で囲んでいたオーガたちの所に行く。



 オーガたちは結界の中から俺を(にら)んでいたが、俺の後からついてきたフェンリルを見て戸惑っている様子だ。


「フェンリル? 知り合いか?」

「こいつらは知らんが、こいつらの()()は知っている」



 あらまあ、お顔が広い事。



 どうやら敵意がなくなったみたいなので結界を解いた。


「フェンリル···様?······」


 ひときわ大きなオーガが近寄ってきた。


「グレンは元気か?」

「もちろんでございます。 しかし、なぜ人間と?」


 フェンリルはアゴでレイを指す。


「あいつが見えないのか?」


 そのオーガは俺の肩にとまるレイを見て驚き、明らかに戸惑っている。 他のオーガたちもレイに気づき、動揺している。 


「天龍様······ではあの方は天龍様の加護者··様」

「そうだ。 お前らはこいつに助けられて礼もないのか?」


 フェンリルはそのオーガを(にら)む。



 いやぁ~~フェンリルさんったら! 俺を立ててくれたうえに、なんとも高圧的でカッコいいですよ。



「申し訳ありません!! ありがとうございました!!」


 大きな体を小さくしてオーガたちは俺の前にひれ伏し、地面に頭をこすりつける。


「いやいや、立ってください。 それより回復が途中なので、回復してしまいますね」


 いまだに気を失って倒れているオーガ2人の前に座り、両手で回復魔法をかける。

 オーガたちが取り囲み、見守っているうちに2人が目覚めた。


「あ······人間?」

「ほんとうだ······ラズク様、どうなっているんですか?」


 ひときわ大きなオーガの名前はラズクというらしい。


「天龍様の加護者様に助けていただいた」

「「天龍様?!」」


 俺の肩にとまるレイを見て驚いているが、やっと事態を飲み込めたようだ。


「「あ···ありがとうございます」」


 二人とも地面に頭をこすりつけた。

 これがオーガの御礼なのか? 片方のオーガは1本角なので、角が地面にめり込んでいた。


「いやいや、もういいですから立ってください」


 チラリとラズクを見てから、恐る恐る立ち上がった。



「あのぉ、加護者様」


 オーガはみんな2メルクほどあるが、ラズクは2メルク半ほどあり、頭一つ大きい。 その大きな体をかがめるようにして近づいて来た。



「シークです」


 いつも加護者様と呼ばれるので、先に名前を名乗っておく。


「あぁ···シーク様。 オーガの里に来ていただけませんか?」

「オーガの里?」


 どんな所か行ってみたいが、今は仕事中だ。 商隊を放っておくわけにはいかない。



「しかし······」


 するとフェンリルが心の中で話しかけてきた。



『シーク。 行った方がいい』

『なんで? 商隊を置いていけないよ』

『よく考えろ。 オーガはかなりの戦力になる』

『戦力?』

『レンドール国との戦いを控えた今、オーガは一国の戦力に値する。 それにハービーやグリフォンとも交友がある。 今のうちに恩を売っておいた方がいいぞ』


 オーガは確かに強そうだが、そこまでとは思わなかった。


『それは凄いな。 これは何としてもお友達にならなくては』



 俺はラズクを見る···いや、見上げた。


「いま、俺たちが護衛をしている商隊を待たせています。 話しをしてきますので、ここで待っていてもらえますか?」

「もちろん待っています」


 嬉しそうに他のオーガとうなずき合って喜んでいる。



 いやいや、喜ばれても···まだ承諾したわけではないんだけどな······承諾するつもりだけど、ナックルさんが何と言うか······




 急いで商隊に戻り、先ほどのフェンリルの話をしてみた。


「もちろん行ってきてください。 我々はここで御待ちしています」


 ナックルは二つ返事で承諾してくれた。


「わかりました。 では少し広めに結界を張っていきますので、ゆっくりと休んでいてください」


 スーガでも結界を張るのは可能だが、これだけ大きな物となるとかなりの魔力を使う。 夜通しになるかもしれないので、俺が張っておくほうがいいだろうと考えたのだ。


 スーガに向き直る。


「俺たちだけで行ってくる。 スーガはここで待っていてくれ。 何もないと思うが、スーガだけは結界を出入りできるようにしておく」

「わかった」


 マルケスとフィンもオーガを見てみたいというが、見る機会は必ず来るので今回は我慢してもらった。



 ◇◇◇◇



 急いで戻るとオーガたちは首を長くして待っていた。


 デカくて厳ついオーガが子犬のような目で戻ってきた俺たちを見ている。


「承諾をもらいました。 行きましょう」


 オーガたちは、よっしゃ! と喜ぶ。




「乗れ」


 フェンリルが大きな姿に転身した。


「いや、一緒に歩くぞ」

「走るから、つべこべ言わずに乗れ!」



 オーガたちはフェンリルのスピードについて来る事ができるのか? と思っていたら、なんと! 全員が狼の姿に変身した。



「えっ?! なんで?」


 俺が驚いていたら、フェンリルがまたバカにしたような目で見る。


「オーガは動物の姿に変身できるのは()()だ」





 だから!! 記憶がないんだよ!!






オーガって、動物になる事ができるんだ?!

!Σ( ̄□ ̄;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ