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24章 この俺が世界を救う?!

この俺になぜこんなに親切に魔法や武術を教えてくれるのか?

 24章 この俺が世界を救う?!




「あのう······」


 俺は遠慮がちにガドルに聞いた。


「なんですかな?」

「どうしてそこまで、俺たちに良くしてくれるのですか?」



 レインボードラゴンという特殊なドラゴンの竜生神だからって、わざわざSクラスの人達が総出で教えてくれるというのは何かおかしい。



「ふむ······」


 少し困ったようにガドルはホグスとザラを見る。 二人はうなずいた。



 やはり何かあるんだ。 ちょっとドキドキしながら返事を待った。



「先日、レンドール国のマージェイン国王がブラックドラゴンを生んだのではないかという話しをしましたな」

「はい。 このところの異変はその国王の黒魔法のせいではないかとお聞きしました」


「ふむ。 どうやらただの噂ではなかったようなのじゃ」

「では、レンドール国王があの巨大昆虫を?」

「そのようなのじゃ。 昨日、レンドール国がエグソン国を攻め落としたとの一報が入ったのじゃ。 魔物と巨大昆虫の群れに成すすべなく落とされたと······そして、そこには確かにブラックドラゴンがいたと······」



 攻め落としたって?!! 戦争?!



「稀に生まれる巨大な力を持ったブラックドラゴンの竜生神が現われた時、この世が滅びると言われております。

 200年前にブラックドラゴンが現われた時には各国が協力し、妖精たちなどの加勢もあり、やっとのことで倒すことができましたのじゃが······

 その時に中心となって戦ったのがレインボードラゴンとその竜生神ですのじゃ。 彼がいなければ、この世は滅んでおったじゃろう」



「レインボードラゴンの竜生神······それって、今回は俺?!!」



 ガドルたちは俺の前にひざまずいた。


「この国を······いや、この世界を救って下され!」


 三人は頭を下げた。




 えぇ~~~~~っ!! この俺が世界を救う?!!




「むりむりむりむりむりむり!! そんな事できる訳ないでしょう?!!」


 俺は後ずさりながら、大きく両手を交差させる。


「今は無理ですじゃ。 しかしシーク殿にしか成し遂げていただけ方はおらんと思っております。 我々を信じて下さいませんか?」 

「そんな事言われても······」


 及び腰の俺に、ガドルは少し困ったようにホグスとザラに視線を送り、ザラが立ち上がった。


「そうだよ。 急にそんなこと言われたら誰だって困るよね。 ガドル様、今はとりあえずその事は置いておいて、先ずはシークに色々教えてあげるのが先決ですよ。 ねっ! シーク」

「ま···まぁ、それなら······」


 世界を救うかどうかは別にして魔法や剣術は上手くなりたい。


「シークもそう言っている事だし······ねっ!······ガドル様」


 ザラは俺に見られないように、ガドルに向かってウインクをした。 無理強いしても逆効果だと思ったのだろう。



「······わかりました。 今の話はとりあえずお忘れください」



 ガドルの落胆ぶりには心が痛むが、こればかりは仕方がない。 気持ちを切り替える。


「では、本日から昼食後にここで訓練を始めまする」

「わかりました」




 とんでもない話が出たけど、無理なものは無理。 でも、教えてくれるものを拒む理由もないから、頑張ろう。






 という事で、一旦部屋に戻った


 ひと段落したところで、昼の鐘がなった。

 ここでは教会の鐘が時間を知らせてくれる。


「マルケスたちと昼飯を一緒にする約束をしているからそろそろ行こう」


 しかし、フェンリルは聞こえないふりをして、テラスの前の日の当たる場所に寝転がった。


「フェンリル? 飯を食いに行くぞ」

「チッ!」


 チッ! って言った? 


 フェンリルはマルケスたちと一緒にいるのが嫌そうだが、俺は彼らといるのが楽しい。 人間の俺に(人竜族だが)ついてきたからには、慣れてもらわないと。


 その時、ノックがあった。


「お届け物です」


 大きな荷物を抱えて数人の使用人が入って来た。

 その荷物は、フェンリル商団が俺のために用意してくれていた何着かの服と、大きなクッションと小さなクッションだった。


「フェンリルとレイのクッションだ!」

『えっ?!』


 フェンリルは飛び起き、パタパタと尻尾を振って、クッションをセッティングしてくれるのを待っている。 よっぽど気に入っていたみたいだ。


 親切にもフェンリル団長が(多分ハンスだろうが)運ばせてくれたそうだ。 まぁ、フェンリルたち以外にこのクッションを使う事もないだろうけど、心づかいが嬉しい。


 一番喜んでいるのはもちろんフェンリルだ。 さっそくクッションの上で丸まってしまった。 


「フェンリルは行かないのか?」

「ここにいる」


 顔も上げずに答えた。 フカフカのクッションに顔を埋め、なんとも幸せそうに見える。



 今日はあきらめるか。



「レイ、行こうか」

「うん! ご飯ご飯!!」



 しかし本当に食い物が好きな奴だ。 



 太らなければいいが······思わすブクブクに太ったレイを思い浮かべてしまって、プッと笑ってしまった。


「マー? 今、変な事を考えてなかった?」


 レイが可愛い目でキッと見上げて俺をにらむ。


「い···いやいや、なにも······じゃぁ、フェンリル、後でな。 レイ、飯だ!」

「ご飯ご飯!」


 誤魔化して、白馬亭に向かった。 



 単純な奴でよかった。




 白馬亭に入ると、店の中が一瞬シンと静まりかえった。

 その後「Sクラスだ」「ドラゴンだ」「シークさんだ」「すてき!」などと、色々な声が聞こえてきた。



 やっぱり有名人なんだな。 俺って。



 マルケスが手をあげた。


「シーク、ここだ」


 店の隅の6人掛けのテーブルにいた。 すでにマルケスたちは食事を始めてる。

 しかし、ヨシュアたちはいなくて、マルケス、スーガ、フィンの三人だけだった。


「ヨシュアさん達は?」

「急な依頼が入って、10日ほど他の街に行くそうだ」

「仕事ですか」


 席に座る。 レイはマルケスたちが食べている物に目が釘付けだ。


『レイ、今、注文するから、待てよ』

『う・・・うん・・・・・』


 放っておくと、人の飯に手を付けそうなので、先に釘を刺しておいた。 急いで注文する。


「ヨシュアたちは結構人気があって、よく仕事に引っ張る出されるんだ。

 ところで、さっき俺たちと別れてからお前、闘技場の方に行っただろう? 何しに行ったんだ」

「えっ? いや···べつに······そのぉ······」


 みんなには言わない方がいい気がした。 俺に世界を救えって言われた事は言えないし、変に特別扱いされていると思われるのも嫌だし。


 まぁ、俺は特別だけど···でも、口止めされてはないし······困った。



「言いにくいことなら、無理にとは言わねえが、もしかしてSクラスのお偉方に、何か悪巧みされているんじゃないだろうな」

「悪巧みなんて! ただ魔法と剣術を教えてくれるって···あっ!!」


 ヤバい! つい言ってしまった!


「「「えっ?!」」」


 三人は驚いて俺の顔を覗き込む。


「あの方たちから教えてもらうだって?!」

「あ······うん。 試験に合格はしたけど、まだまだ未熟だからって」



[世界を救う]話は置いておこう。



 三人は顔を見合わせた。


「あれだけ強いのに、未熟って······続きは明日からか?」

「いいえ···昼食後からです」

「へぇ~~」


 三人は再び顔を見合わせた。

 そこへ注文した食事が運ばれてきた。 渡りに船!


「食べましょう!」



 俺とレイが食事を始めて、この話は終わりになった。




  ◇◇◇◇◇◇◇◇



 この世界の時間は、鐘で知らせる。


 早朝の鐘  = 午前6時

 朝の鐘   = 午前9時

 昼の鐘   = 正午

 昼過ぎの鐘 = 午後3時

 夕方の鐘  = 午後6時

 夜の鐘   = 午後9時

 夜中の鐘  = 午前0時

 (午前3時の鐘は鳴らない)


 1刻 = 1時間半

 2刻 = 3時間 (鐘と鐘の間)





シークが世界を救う?!

( ̄□ ̄;)!!


時計がない世界なので、分かりやすく時間を設定しました。

わかりますか?

(;゜0゜)

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