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2章 魔法?

俺って魔法が使えるの?!


初めて使えるようになった魔法にはしゃぐ!

 2章 魔法?



 再び歩き出したが崖の先の低くなっている場所までは思ったより遠い。 少し暗くなってきた。



『そろそろ晩飯の調達をしたいところだが、川でもあれば魚を取って食うんだがな』


 しばらく歩くと、崖に大きな洞窟があり、そこから川が流れ出ている。 川幅が5メモク(1メモク=1m)ほどのきれいな川だ。 上から覆い被さるように生えた木々の間から降り注ぐ太陽の光がキラキラと水に反射してとてもキレイで幻想的にさえ見える。


 しかし、今は花より団子!


『これで魚が食えるぞ』


 水の中をのぞくと、けっこう大きな魚が泳いでいる。



 レイを懐から出して、そっと地面に置くと、自分の足で立ってヨチヨチと歩き出した。


『レイ! 歩けるようになったのか?』


 キュイ



 やっぱり母親の気分だ。 子供が初めて立ち上がって歩き出した時のような?




 レイが動けるようになったのでちょっと安心して川岸の草の上で待たせ、膝より少し上までの深さの川に入り魚を剣で串刺しにする。


 俺って上手い? 簡単に取ることができる。 大きいのを1匹と、小さいのを2匹取った。



『·········』


 嬉々として薪を集めたが、大事な事を忘れていた。 



 火がない。



『生で食わないといけないのか? こういう時、魔法で手から炎をボンと出せたら便利なのになぁ』


 手のひらを上に向けて見つめると、ボッ! と手のひらから炎が噴き出した。


『わぁっ!』


 あわてて手を握ると炎は消えた。



 どういう事?



『そういえば熱くなかった。 もしかして俺って魔法も使える?』



 もう一度手のひらを上向けて『炎』と唱えると、ボッ!と炎が出た。


『わぁ~~~すげぇ!』


 炎を大きくしたり小さくしたり、自由自在だ。 右手で出したり左手で出したり、指先から小さい炎も出る。


 親指······人差し指······中指······



 おっと、遊んでいる場合じゃなかった。


『あぁ、さかな、さかな』


 薪に火をつけ、さかなを焼いた。



 焼いている間、レイはキラキラした目で魚を見つめ、ヨダレまで垂らしている。

 よっぽどお腹が空いているのだろう。


 小さいのを1匹レイにあげると、自分で美味しそうに食べている。




 ドラゴンって雑食なんだ。




『元気になって良かったな。 まだ飛べないのか?』


 レイは羽ばたいて見せるが、まだ飛ぶことはできないみたいだ。

 でも、この回復スピードなら、明日にでも全快しそうな勢いだな。




『早く全快してママを喜ばせてくれよ』


 


 すでに暗くなっている。 お腹も(ふく)れたし、そろそろ寝るか。


 しかし、長い一日だった。 相かわらず記憶は戻らない。 俺はどうしてこんなところで倒れていたんだろうか? 何があったのか······俺は誰なのか······


 いくら考えても思い出せないならムダな努力はやめよう。 ()()()()が肝心だよな。




 俺って能天気な男なのは確かだな。




 焚火から少し離れた草の上に寝転がった。 するとレイが自分から俺の懐に潜り込んできた。


『ママの服の中がいいのか? そうかそうか』


 クゥとみあげる可愛い小さな頭を優しくなでてやると、安心したように頭を潜り込ませ、服の中で丸まって眠った。


 それを微笑ましく見ていたが、気付けば俺も眠っていた。




   ◇◇◇◇◇◇◇◇




 朝、目覚めると、レイがいなかった。


『飛べるようになって家に帰ったか······ママはちょっと寂しい』


 思った以上の喪失感。


 半日しか一緒にいなかったのに、完全に情が移ってしまっていたようだ。



 すると、川の方からバシャン、バシャンと水が跳ねる音がする。


 見ると、レイが水に飛び込んだり、飛び上がったりしている。 最後に飛び込んで上がって来た時には自分の体ほどの大きさがある魚をくわえて上がってきた。



『レイ!!』



 レイは俺に気付き、大きな魚をくわえたまま嬉しそうに飛んでくる。 見ると、火が消えて黒い炭になっている焚火の横に、すでに大きな魚が2匹置いてあった。


 レイはその横にくわえてきた魚を置いた。


『レイ! おいで』


 俺が両手を広げると、レイは小さな翼をパタパタ動かして、腕の中に飛び込んできた。


 俺は思わずグッと抱きしめる。


『いなくなったのかと思った。 良かった。 飛べるようになったんだな』


 キュイ


『朝飯を取ってきてくれたのか』


 キュイ


『そうか。 じゃあ、薪を集めよう』


 俺が枝を拾いに行くと、上手にパタパタ飛んでついてくる。 時に肩にとまったり頭にとまったりして、可愛いのなんのって···目の中に入れても痛くないってこの事だな。



 魚を3匹焼いて、大きめのやつをレイにあげると、ペロッと食べた。


······自分の体と同じくらいの大きさの魚なのに······




 ドラゴンって大飯食らい?




 川を渡り、再び崖に沿って歩き出した。 レイは俺の肩にとまっている。



 しかし······どうしても試したい。


 何を? そりゃぁ、炎魔法がどれだけの威力があるか!


 大きくしたり小さくしたりは出来たけど、やっぱり最大どれくらいの炎が出せるか知っておくべきだと思うんだよな。


 レイに言うと楽しそうにキュイという。 「キュイ」は「はい」の反応の時の声だ。



 ママには聞き分けられるんだよ。




 少し開けた場所に出たので、試してみる事にした。


 炎が大きすぎて木に燃え移ったらいけないから、上に向かって放つ事にした。 横には100メモク以上はある岩肌の崖だけだから燃え移ることはない。



『いくぞ!』


 俺は手を上に向けた。


『炎最大!』


 ゴォォォォォ!!

 ヒエェェェェッ!!(主人公の悲鳴)


 横の崖の遥か上まで炎が立ち上がり、崖の上の木が燃えて、燃えカスが降ってくる。


 予想上の炎の大きさに驚いた。 しかし、面白い!!



『もう一度いくぞ! 炎!』


 再び手を上にあげ、炎を出した。 先ほどと同じように真っ赤な炎が高く噴き出す。

 

 いいぞ! これでどうだ?『高温炎!』

 赤い炎が青く鋭くなってきた。


『もう少し! 超高温炎!』


 今度は炎が白くなってきた。 凄い炎の勢いで横の崖の岩肌が溶けだす。


『これ以上はヤバいな』


 手を握ると、あれだけ激しく噴き出していた炎がプツンと消えた。



 俺って凄い!! 呪文(?)はちょっといけてないけど、魔法なんて知らないから何て唱えればいいかわらない。 ちゃんと反応するから、まあいいか。



 横でレイが飛び跳ねて喜んでいた。

  







読んでいただいてありがとうございました

m(_ _)m


明日から毎日21時に投稿する予定です。


また読みにきて下さいね

(*⌒∇⌒*)

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