104章 戦争終結
各地で激しい戦いが続いていたが、突如東の空が明るくなり······
104章 戦争終結
ドワーフ山脈の道、アンドゥイ国側。
再びトロールたちは苦戦を強いられていた。 虫が群がり、いくつもの虫の山が出来ていた。 ゴブリンキングが出すゴーレムも、創造者の体力低下で数が減り、動きも悪くなってきている。
ホブゴブリンはかなりの数の犠牲が出ている。 オベロンだけが鬼神のように戦い続けていたが、すでに剣の先は折れている。
ほとんどのエルフは弓を武器に戦っているが、虫が間近にせまると接近戦もやむを得ない。 剣での戦いになるので負傷者が絶えない。
オーガはさすがに強いが、それでも随分数が減ってしまい、ここまでくると気力だけで戦っていた。
竜生神とドラゴンたちにも疲れの色が色濃く見え、アニエッタの魔力回復の場が唯一の休憩と、ニバール国側とアンドゥイ国側の状況の報告場所になっているのだが、アニエッタの体力も限界にきている。
もちろん他の全ての者たちが疲労困憊していて、犠牲者が少しずつ、しかし確実に増えていった。
その時、薄暗かった空が突如昼間のように明るくなり、再び暗くなった。
暗くなった時にはあれだけいた虫たちが跡形もなくいなくなっていた。 いや、元のサイズに戻っただけなのだがいなくなったように見えたのだ。
ネビルとエクスは顔を見合わせる。
「「シーク殿のラファエルだ!」」
ネビルがエクスを抱きしめた。
「やった! 終わったな」
「終わりましたね」
アッシュも何があったのかが理解でき、みんなに向かって叫んだ。
「シーク殿がドゥーレクを倒したぞ!! もう大丈夫だ!! これで世界は救われた!!」
それを聞いた者たちから歓声が起きた。
オーガとエルフだったり、ホブゴブリンとアンドゥイ兵士だったり、トロールがグリフォンを抱きしめたりと、種族を超えて喜び合ったのだった。
◇◇◇◇
ニバール国、国境。
「マルケス!!早く次を!」
珍しくフィンが焦ってきている。 日が傾いてきて暗くなってきたために狙いを定めにくくなってきているのだ。
「フィン! 大丈夫か?!」
「やるしかないだろう!!」
また数十匹が集まってきている。 あれ以来国内には入ってきてはいないようだが、そろそろ限界だ。
「まずい!! 一匹入ってきたぞ!!」
「街まで行かせるな!!」
「ここで止めるぞ!!」
穴があるこの場所に虫が集中する。 フェンリルが国内の虫を一掃してくれてから、意地でもこれ以上の侵入は許さないと、顎髭弓兵隊長の兵士たちも協力して食い止めていたのだが、とうとう侵入を許してしまった。
蜂のようだ。 ヨシュアが鎖鎌を投げるが、あと少しのところで逃がしてしまう。
周りのニバール兵も協力して虫を攻撃するが動きが早くて仕留めるのは困難だ。
「街に入れるな!! 何としても食い止めろ!!」
しかし、一匹が入るとそれに続いて二匹目三匹目も入ってきた。
「マズい!! これ以上れるな!!」
その時、ドワーフ山脈の方が急に明るく光った。
「あれは何だ?!」
「よそ見をするな!! 気を付けろ!! 襲って······あれ?···どこにいった?」
国境内に入り込んで襲って来ようとした虫はもちろん、数十匹でうろうろしていた虫がいなくなった。
「これって······もしかして······」
マルケスがフィンを見る。
フィンは大弓を投げ出して地べたに倒れ込んだ。
「シークがやったぞ!! ドゥーレクを倒してくれたぞ~~~っ!!」
仰向けに倒れたままで万歳しながら叫んだ。
みんなもやっと事態を飲み込めたようだ。
顔を見合わせ、武器を放り投げて喜び合う。
ニバール兵たちも抱き合って喜び合い、顎髭弓兵隊長までもが近くにいた傭兵を抱きしめていた。
「「「やったぁ~~!!」」」
「よかったなぁ! フィン! 本当に俺たちは勝ったんだな!」
そう言って寝転がるフィンにマルケスは被さって抱きしめた。
そのあとヨシュア、アラムとモスまでがフィンの上にのしかかって喜んだ。
「やったぞ!! 俺たちは耐え抜いたぞ!!」
「重い! 重いって!!」
一番下でバタバタしているフィンを、マルケスはさらに抱きしめた。
「フィン、本当によくやってくれたな! お前はすげーよ!!」
ヨシュアたちに乗られたまま、フィンの頭をクシャクシャにする。
「知ってるから早くどいてくれぇ~~っ!」
みんなが笑いながらフィンの上から降りた。
今度はヨシュアがペタンと地面に座り込んだ。
「あ~~~ぁ······腹減ったぁ~~~」
「俺も······」
モスもヨシュアの横に座り込む。
「「「ハハハハハハハ!!」」」
みんなで一頻り笑いあった。
体力、気力の限界だった時に、シークがやってくれた!!
(o`・∀・´)ノ




