103章 究極魔法ラファエル
ジャークを失ったドゥーレクは、正気を失っている?
103章 究極魔法ラファエル
「なにを!! なにを!! 何をするんだ~~っ!! ジャークが負けるなどと!! 黒龍が負けるなどと、あってはならないであろう!!!」
ドゥーレクはやけくそのように俺に魔法を放ってきた。
ドンドンドン!バキバキ!ドッカーン!! 俺は吹き飛ばされて地面に叩きつけられた。
「グワッ!!」全身に痛みが走る。
それでも攻撃が続く。 避けようがない。
俺が地面に叩きつけられて動けなくなってもドゥーレクは攻撃をやめようとしないのだ。
とにかく防御に徹した。 何重にも白魔法の結界を張り、岩(鋼)で体を包み、攻撃が収まるのを待った。
しかし今の攻撃で、体中にダメージを受けた。 いたるところが疼き出血が止まらず、白い魔法衣が全身真っ赤に染まっていく。 しかし、回復している余裕もない。
なかなか攻撃がやまないが、防御に徹するので精いっぱいだ。 全身全霊で攻撃を防ぐ。
レイの状態も心配だが、確認する術もない。 しかしフェンリルが付いているから大丈夫だろう。 そう思うしかなかった。
ドゥーレクが逆上する代わりに俺は冷静になった。
冷静になって防御しながら戦況について考える余裕ができた。
このままお互いに魔法攻撃を続ければ、少しずつでも回復ができる俺の方が有利ではあるが、日も沈みかけてきて、魔物との戦いが間近にせまっている。 これ以上戦いを長引かせる訳にはいかない。
残る手段は一つだ。 決して失敗は許されない。
ラファエル魔法を確実に発動させるには奴を動けないようにして俺もろとも攻撃する事だ。
結界を張られていてもこれなら確実に倒せるはずだ。
ドゥーレクが冷静さを失っている今がチャンスだが、どうやって近づけばいいのだろう······どうしても間近に近寄る必要がある。
攻撃が一瞬止んだ。 空間探索魔法で見るとドゥーレクの目の焦点が合っていない。 平常心を確実に失っている。
――― 今だ!!―――
俺は飛び上がった。
俺を見ると、条件反射のように再び攻撃してくる。
加速魔法を使い、光魔法で攻撃しつつドゥーレクの周りを逃げ回り、残像の様に赤い人影を宙に残す。 ドゥーレクはその赤い人影に魔法を放ち赤く砕け散る。
また赤い残像をドゥーレクが狙う。 また······また······
太陽が地平線の中に吸いこまれ、暗くなってきたので、平常心を失っているドゥーレクには人型に作って残した赤いルビナが俺に見えるようだ。
彼の結界も緩んでいて、光魔法の通過を許している。 ドゥーレクの体の傷が増えていくのを気にしないのか気付いていないのか、攻撃する手を休める事がない。
少しずつ近づき、最後に俺が残したルビナをドゥーレクが狙った時、俺は奴の背後を取って後ろから羽交い絞めにした。
「マージェイン!! 貴様ぁ!! 何をする?!」
俺から逃げようともがくが、決して離さない。 いや、離してなるものか!!
「これで終わらせる!」『アニエッタ、約束を破ってごめん······ラファエル!!』
ラファエル魔法を唱えると、ドゥーレクと共に俺の周りがまばゆい光に包まれてき、タナーヴの森が昼間のように輝き、ズズドドーーン!!と地響きと共に森が吹き飛んでいった。
俺の腕の中のドゥーレクの体が歪み、そのままザザッッ!と、黒い塵になって消え去った。
俺も全身が引き裂かれるような痛みに見舞われたかと思うと、目の前が真っ白になり俺の意識はそこで途絶えた。
その後、タナーヴの森には何も無かったように暗闇が戻った。
究極魔法ラファエルと共に、消えたシーク
( ̄□||||!!




