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100章 ニバール国内の虫

また国境内に虫が入ってきたと思ったら······?!

 100章 ニバール国内の虫




 みんなの矢が当たり出しても、どんどん集まってくる虫の数は膨らむ一方だった。

 焦ってしまって、まともに飛ばす事も出来ずに、更に焦る。



 虫たちも結界に開いている穴の位置が分かっているように同じ場所に群がってくる。 



「また入って来たぞ!!」

「気を付けろ!! 襲ってくるぞ!!」


 巨大な数匹のカマキリが大きな鎌を穴に差し込んだようで、そこから体をねじ込んでくる。 


 フィンたち弓兵隊が、次々に矢をぶち込むが、デカいので一発で死なない!

 その後ろから我先にと頭や足をねじ込もうとしている。


 矢が3本も体に刺さったままで、穴を通り抜けてきた!


「ダメだ!! 構えろ!!」 

 

 ヨシュアが鎖鎌(くさりがま)を、マルケスが剣を構えた。

 その時、ドンドンドンドン! と、すぐ目の前で虫が次々に爆発していく。


 みんなが爆風に備えて顔を覆って背を向けたが、優しい風が吹き抜けただけだった。



「ど···どうなっているんだ?」




 顔を上げるとそこには巨大な狼の姿のフェンリルが立っていた。


「「「フェンリル!!」」」



「大丈夫か?」上からみんなを見回す。


「助かった、ありがとう」


 マルケスが剣を(さや)に納めながらフェンリルを見上げた。



「どうもこの辺りには穴が開いているみたいだな」


 先ほど虫が押し寄せていた辺りを見る。 しかし、その穴は目で見える訳ではないし、塞ぐこともできない。


「一度空いた穴はシークとレイが再びこの国に入らない限り閉じる事はない。 だから気をつけるように言っていたのに」

 

 ため息まじりに言われて、ヨシュアが違うんだ!と、隣のニバール兵の方を指差す。

 


 隣の弓兵隊長が率いる兵士たちは、巨大な魔物が来たのだと勘違いして、クロスボウを一斉にフェンリルに向けていた。

 しかしマルケスたちが話しているのを見て、シークが連れているフェンリルだという事にやっと気づいたのか、ばつが悪そうにしていた。



 そんな弓兵隊を横目で見て、ヨシュアは鼻で笑う。


「ガドル先生に大弓を使うように進言されていたのにクロスボウで通そうとするから、結局一匹も倒せずにシークたちが作った結界に穴が開いたんだ。

 そこまではまだいいとしても、ついさっき、急に穴が開いている場所と配置換えをするように俺たちに命令してきたんだぜ! 

 それで 急いで場所を移動している間に虫が押し寄せて······」


 そんな事よりと、マルケスがヨシュアを押しのける。


「ヨシュア、今は愚痴を言っている場合じゃないだろう!」

 

 まぁまぁ気持ちは分かるがと、ヨシュアの肩を叩いた。


「それよりフェンリル、国内にかなりの数の虫が入っているんだ。 そいつらをどうにかしてくれ! 街の人が襲われていないか心配なんだ!」



 フェンリルは顔を高く上げて風探索魔法で探る。

「これはマズいな······」と、つぶやいて飛び上がろうとするとフィンに呼び止められた。



「シークとレイは苦戦しているのか?」


 もう日が傾きかけている。 すでに半日以上戦い続けているという事だ。

 フェンリルはドワーフ山脈の方に視線を向けた。


「大丈夫だ。 必ずシークが勝つから、もう少しの間国境を護っていてくれ」


 それだけ言うと飛んでいった。


 みんなも国内に飛んでいったフェンリルを見送った後、ドワーフ山脈の方を見つめた。



  ◇◇◇◇◇◇◇◇



 風探索魔法で視ると、思った以上に虫が入り込んでいる。


 今は街中に人影は見えないが無残な姿で横たわる人があちらこちらで見られた。 初めに虫が国内に入って来た時に襲われたのだろう。


 無事だった人は家の中に息をひそめて隠れているようだ。


 それでも家を壊してまで虫が入り込んだ形跡がある。 家に隠れているからといって完全に安全とは言えないようだ。




 風探索魔法で視えた虫が多く集まっている場所を目指す。 王都の中心辺りで大広場と言われている場所だ。




 途中で一匹の巨大トンボに出くわした。 大きな(あご)を伸ばして凄いスピードで襲ってきたが、フェンリルは鋼カッターで首を切り落とした。


 追跡魔法を使えば、どれだけスピードがあっても、何も問題ない。 一匹だけなら火魔法を使うまでもない。



 しばらくの間、ブゥゥゥン!と、羽を動かしてバタついていたが、そのうち動きが止まると、フッと見えなくなった。


 いや、頭を切られた小さなトンボが地面に落ちていた。







さすがフェンリルですね!

ここでも伝説が!

(゜_゜;)

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