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32話・まだ諦めてなかったの?


 それからわたし達は以前、オウロに転移させられた島がある領地に移った。この土地はお父さまがもともと、ナツの功績を称えて褒賞として与えようとしていたものらしい。

 あの無人島を気に入ったナツは、他の領土は返還してこの島でわたしと二人で暮らすつもりでいた。わたしもナツと二人ならどこでもやっていける気でいたから、反対しなかったけれど宰相が難色を示した。


 国王の娘をそのような場所で暮らさせるなんて……と、言うことらしい。


 オウロに何やら相談を持ち込んだと思ったら、そのオウロにナツは部屋の隅に連れて行かれなにやらごにょごにょ囁かれて、ナツが渋々領主になると言い出した。オウロはなんて言ったのかしら?


 それとわたしが仕出かしたとされるサーザン国の王子を誑かしたとされる件は、あれは魔女がわたしに成りすまし両国に混乱をもたらそうとしていたのを、勇者が気が付いて成敗したと広く公布された。

 そのことでわたしは被害者だったとされて名誉回復は出来たけど、まだ呪いが解けてないので昼間、人前に出る事は出来ない。そこで魔女に呪われて未だ地方で静養中とされた。


 お父さまはさっさと王位を王弟である叔父さまに譲り、隠居して現在はわたし達のいる領地の隣の領地に越して来ちゃった。

 ナツには早く孫の姿を見せてくれと急かしている。孫の世話をして晩年はのんびり暮らしたいとかで。お父さまったら気の早い。


 現在島には現在対岸から大きな橋が掛けられて、向こう側にある領主館から早朝、ナツは釣りに通うようになった。もちろん、わたしはお供で。きりの良い時間になると領主館から迎えの馬車が来る。

 そろそろ迎えの馬車が来る頃ねぇ。と、思っていたら馬車の近付いて来る音がした。


「オウロが迎えに来たみたいだ。帰るか。チョコ」

「ニャン」


 今日は釣れなかったようね。ガッカリした顔でつり竿を手にするナツ。そういう日もあるわよ。そんなに落胆しないで。

 馬車が止まった音で顔を上げたわたしはぎょっとした。そこには水色の髪をした美少女がいた。



「ナツさまぁ。お久しぶりにございます~」

「しゃ、シャル? どうしてここに?」

「以前、ガイムお兄さまから遊びにおいで。と、お誘いを頂きましたので、お爺さまにお願いしてこちらに遊びに来ましたっ」



 シャルがこちらに向かって突進してくる。ビックリしてナツの肩に飛び乗っちゃった。


「うわっ」

「つれないですわ。ナツさま。パーティーではエスコートして頂きましたのに」


 あなたねぇ、あれって意味なかったじゃない。ナツを独占したいが為にエスコート役を頼んだんですってね? 後日、ガイムを締め上げたら彼、吐いたわよ。可愛い従妹の為に一肌脱ごうとしたって。

 シャルが距離を詰めてくるので、ナツが思わずといった感じに釣竿と魚籠を前に押し出してた。それに彼女は変な顔をする。


「それ、こちらに向けないで下さい」


 うわあ、生臭いとシャルは顔を顰める。ナツの趣味が分からないなんてまだまだね。わたしの足元にも及ばないわ。


(ねぇ、ナツ)


 ナツに顔を寄せたら頬ずりされる。このところナツのスキンシップが昼でも夜でも増えてきて嬉しい。いちゃいちゃしてたらシャルが「ナツさまもお変わりがなく」と、ヒクヒク頬を引き攣らせていた。

 ごめんなさいね。馬鹿ップルで。巷ではわたし達のほうな恋人たちをそう呼ぶそうね? ガイムに聞いたわ。



「シャルッ」

「ガイムお兄さま」

「来ていたのか? 来るなら来るで、連絡をくれれば迎えに行ったのに」

「だって一刻も早くナツさまにお会いしたかったから」



 ガイムが慌てて騎馬で駆けつけてきた。馬から下りてこちらへ来る。ガイムはわたしの秘密を知った事で、頭が上がらなくなっていた。知らなかったとはいえ、わたしのことをたかが猫と見下して、ナツに飼い猫にたいする態度として熱が入りすぎではないか? のめり込みすぎではないのかと邪魔しようとしたんだから。


 足早に向かってきたガイムは、ちらりとこちらを一瞥してからシャルの腕を引いた。


「その事なんだが……。シャル、ちょっといいか?」

「なあに? お兄さま?」


 ガイムがシャルの手を引き、わたし達たちから距離を取る。ふたりで、小声でコショコショ話していた後、「ええーっ」と、シャルの声が響き渡った。


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