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31話・じゃあ、ちょこっとだけよ


「ナツどの。よく戻ってきてくれた」


 サーザン国での事が落ちついてからわたし達は帰国した。オウロの転移術でヌッティアの王城に帰って来ると、お父さまが城の中から駆けて出てきた。わたしの知る限りではお父さまは一度も走ったことがないお方だからビックリしたわ。その後を慌てて宰相や女官達が追いかけて来る。


(なに、この騒々しさは)


 ナツの腕の中で固まっているとお父さまと目が合った。



「おお。ナツも一緒に帰って来たのだな? ところでアロアナはどこかな?」

「ここです」

「ん……?」



 ナツが腕の中のわたしをお父さまに差し出そうとする。それを受け取りながらお父さまは怪訝な顔をした。



「アロアナは?」

「陛下の腕の中です」

「馬鹿いっちゃいかんよ。ナツどの。これはナツだろうに」



 なあ。と。だっこしたわたしに言うお父さま。だからわたしがアロアナですってば。



「彼女がアロアナです」

「はあ? 気でも触れたかね? ナツどの。これはナツだろう?」

「違います。アロアナなんです」

「わしが会いたいのは、娘のほうなんだが?」

「陛下が抱いている猫がアロアナなんです」

「意味が全然、分からんぞ」



 話がかみ合いそうにないふたりを見かねてか、オウロが説明補足してくれた。



「陛下。アロアナさまは魔女の呪いによって猫の姿になっておいでです。そちらの今までナツと名付けて可愛がってきた猫がアロアナさまなのです」

「なんと! ナツがアロアナだったのか? どうしてそんなことに?」

「魔王を倒された魔女の逆恨みだったようです」



 どうしてそんなことに? と、言われても原因は分からないわ。オウロはお父さまになんて答えるのかしら? と、思ったら、単純明快に答えていた。それでお父さまが納得するはずないと思っていたのに、信頼するオウロの言葉だからかしらね、すぐに納得したわ。



「そうか。災難だったな。アロアナ。それで呪いは解けるのかな?」

「もちろんです。その時が来たら解けますのでしばらくお待ちを……」


 その時ってオウロは濁してたけど、呪いを解くにはナツとあることをしなくてはいけないわけで……。ナツと目があったら彼、顔赤くしてた。その後ろではガイムとファラルが笑ってたわ。何笑っているのよ。あなた達。

 チョコであったわたしがオウロからの説明で、アロアナだって知った時にはあ然としていたくせに。


「でもわしは構わぬぞ。しばらくこのままで。アロアナは猫になっても可愛いからな。なあ、婿どの?」


 お父さまったらナツの態度で何か察したのかしら? 急に意地悪なこと言い出すなんて。


「いや、必ず呪いは解いて見せます。陛下も孫の顔がそろそろ見たいでしょうから」

「ぐ……! それを言われると……」


 そう言いながらも何だか楽しそう。お父さまには子供がわたししかいなかったからナツの事は息子のように思っているのかも。ナツとは仲が良いしね。なんだか妬けちゃうわ。



「ニャアアン」

「アロアナ。どうした?」

「ははん。仲間に入れて欲しいのかな?」


 ご名答。さすがナツね。



「さあて、婿どの。今後のことについてだが……」

「そのことについてはアロアナと話し合いました」

「何かな?」


 ナツはわたしと話あって決めた今後について話し出した。



「アロアナ。ぐっとくるね。それ」

「そうお?」

 その晩のこと。わたしは寝巻き代わりにナツのシャツを着ていた。これはわたしのしたかった事の一つだ。以前、シャルが無人島に流されてきて着替えがない時に、ナツの着替えを貸していたのを見て、ずっと羨んでいたのだ。

 わたしはナツの服を着た事がないのにと。

 月の光を浴びると元の姿に戻るわたしはいつも裸なので、その度にシーツを体に巻きつけてきたけど、今日はナツのシャツを着てみたいとお願いしてみたのだ。彼女が借りていたものより裾丈が短いせいか、動くと中が見えそうでドキドキする。下着は着てないから太ももから下が露になってかなり恥ずかしいものがある。

 ベッドの中、頬杖をついているナツに凝視されてもじもじしていると「おいで」と手を引かれた。

「アロアナは何でも似合うね」

「ナツ。あん、駄目」

 どこに触れてるの? 彼の手が太ももに触れてドキリとした。

「ごめん、つい……」

「えっちぃ」

「そういうきみもかなりエッチなこと自覚してる?」

 彼が耳もとで囁く。

「堪らないよ。美味しそうだ」

「ちょこっとだけ齧ってみる?」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 お誘いをかけたらナツが意地悪な笑みを返してきた。啄ばむようなキスがくすぐったい。あまりのくすぐったさにわたしは彼の体にしがみ付いた。


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