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12話・これはナツとわたしの復讐でもあるわ


「従兄のオレが言うのもなんだが、シャルロッテは最良物件だぞ。シャルの爺さんはサーザン国の宰相だったしな」

「お兄さま。何を言うのです? ナツさまに失礼ですよ。わたくしだってそんなこと望んでおりません」



 突然湧いて出た縁組み話。許せないわ。せっかくシャルの気をナツから背けられたと思ったのに。この軟派男。口にガムテープでも張ってやろうかしら? 

怒りのあまり爪が出ちゃったわ。あら、いけない。ナツの指先噛んじゃった。


「痛ててて……チョコ。止め……っ」


 でもナツもナツじゃない? 今日は何度シャルと目を交し合っているのよ。まるで恋人同士みたいに。お・も・し・ろ・く・な~い。

 お行儀悪くも足蹴りをしたら、フフっと笑い声が聞こえた。オウロだ。


「このお猫さまは可愛らしいですね。焼きもちでも妬いているんでしょうか?」


 さすがはオウロ。分かってる~。そうよ、このニブチンのナツにお灸をすえていたところよ。体を起こしてオウロを見れば、彼が小さく頷いていた。


「別に本当に婚約しろとは言ってない。あくまでも仮でいい。婚約者扱いが嫌なら婚約者候補でもいい」

「その婚約者候補に俺をならせて何をする気だ?」


 まだその話、続いていたのね。しつこいわね、ガイムは。


「マニス王子への仕返しだ」

「本気か?」


 いつもちゃらちゃらしている彼にしては真剣に怒っていた。



「もちろん本気だ。あのクズ王子、一方的に婚約破棄を突きつけて、何の咎もないシャルを海に突き落としたんだぞ。下手したら命を失っていたかもしれないんだ。絶対に許せるものか」

「確かに許せないよね。人の命をなんだと思っているんだか」

「しかもマニス王子は、許婚のいたアロアナ姫に言い寄り寝取ったのですよ。許せませんよね? ナツヒコ?」



 ガイムの言葉にファラルが同意する。オウロも同じ意見みたい。わたしはここにいるんだけど? ねぇ、皆さん。


「あ。ああ」


 この場にいる三人は、シャルに同情していた。わたしもシャルが王子にされたことを思えば、やり返しちゃえって思うし、聖なる力があるからといってわたしも聖人ではないし、よく考えてみれば、その王子のせいでわたしも踏んだり蹴ったりだし、八つ当たりぐらいしてもいいわよね? だってナツと本当ならいちゃいちゃラブラブ出来ていたはずなのに誰なのよ。それを阻んだヤツ。わたしに呪いをかけ猫にしてしまったヤツは。


(ナツがシャルと良い感じになってしまったら絶対、許さないんだから!)


 見ればナツが拳を握り締めていた。


「リーダーも手伝ってくれるよな? 俺の復讐に」

「おうっ」


 ナツの言葉に迷いはなかった。ナツは偽アロアナがわたしだと思っている。そのわたしを王子に奪われて許せるはずがない。ガイムは自分の復讐と言ったけど、これはナツとわたしの復讐でもあるわ。



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