11話・世間って狭すぎよ
「自国で宰相の孫娘であるシャルロッテ嬢と婚姻しておきながら、遊学していた国の王女に惚れて口説き落として妊娠させ自国に連れ帰ると、今度は邪魔になったシャルロッテ嬢を消そうとしたということですか?」
オウロの解析に、皆が頬を引くつかせていた。王子がした事はあまりにも非道だものね。
「世間って狭いね。マニス王子が惚れて自国に連れ帰ったのはアロアナ姫で、しかも彼の婚約者がシャルロッテ嬢だったなんて……」
ファラルがあ然としていた。ファラルの言うとおりだわ。わたしも驚いたけど、あの王子の許婚がシャルだったなんて世間って狭すぎよ。
(許せないわ。女の敵よ。変な病気もらって腐っちゃえばいいんだわ)
「王子がそのようなことを? 申し訳ありません。ナツさま」
シャルが青ざめていた。なんでそこであなたが謝るの? 仕出かしたのはあなたの元婚約者じゃない。あなたとはもう縁が切れているはずでしょう?
わたしはシャルの態度に白けたものを感じた。そうやってナツの気を引いているとしか思えないのはわたしが彼女に対して穿った見かたしか出来ないせいかしらね?
「シャル?」
「なんて恐れ多いことを……! 勇者さまの許婚である御方を奪ったのですね? マニス王子は」
ナツは困ったようにシャルを見ていた。
「シャル。これは王子の罪だ。おまえのせいじゃない」
ガイムがシャルを庇う。互いの国の国交に影響が出るかもしれないと危惧してみせたシャルロッテに、これは個人的な問題だと言った。わたしもそう思うわ。ガイムにしてはいい事言うじゃない。
「それにそんなクズ王子とは縁が切れて良かったんだ。シャルなら他に相応しい男が現れるさ」
「お兄さま。ありがとう。でも……、わたくしはもう結婚は望んでいません。王族に婚約破棄された身です。このような自分に次の良いご縁があるとも思えませんし、修道院に入るつもりでいます」
ガイムが励ますように言えば、シャルは横に首を振った。本当に? 本当にそう思う? ナツはあげないわよ。わたしは欠伸をしながらナツの膝の上で丸くなろうとした。
「きみはまだ十六歳だろう? まだまだこれからだって出会いがあるよ」
「……気持ちはそう簡単に割り切れませんから」
ナツの励ましの言葉に神妙に応えていたけれど、人の心は変わるものだしね。今はそう言っていても明日はどうなるか分かったものじゃないわ。
「すまない。シャル。きみの心情など思いもせずに、考えなしに発言してしまった」
「……ナツさま。いいのです」
この話はそろそろ終結かしら? と、思ったのにあの軟派男、とんでもないことを言いだした。
「なあ、ナツ。おまえ、シャルと婚約しないか?」
「はあ?」
「ガイムお兄さま。何を言うのです? わたくしは婚姻など考えられませんし、第一ナツさまにも失礼ですわ」
何言ってるの? あなたは馬鹿なのですか? いま、シャルが言ったこと、覚えてますか? 憤るわたしの目の前で、ナツとシャルロッテが顔を見合わせている。




