7話・浜辺で拾った令嬢はサーザン国の宰相の孫娘でした
気を失っていた彼女はしばらくして意識を取り戻した。その彼女はサーザン国の宰相の孫娘のシャルロッテだと名乗った。サーザン国といえば、遊学に来ていた王子の祖国だ。嫌な予感がする。ナツもそれを聞いて警戒したようだった。
でも彼女の驕ったところがない態度や、親しみやすい態度にナツは早々に警戒を解いていた。そのうち
「きみとどこかであったような気がする」と、言いだしたので、面白くなく思いふたりの間に邪魔してしまった。
それって初対面の女性を口説く、常套句のようなものじゃないの?
ガイムがわたし付きの女官にそのような言葉を投げかけて口説いていたのを見た事があるわ。あの時の彼は妙に馴れ馴れしく相手の肩を抱き寄せていたけど。まさかナツったらわたしの知らない所で、ガイムからそのような手ほどきを受けてないでしょうね?
でもシャルロッテから聞き出した話には、同情しか起きなかった。彼女は許婚に裏切られたらしい。許婚は遊学先で愛しい女性に会ったとかでその女性を国に連れ帰ってきたのだと。どこかで聞いたような気がするけど気のせいね、きっと。
許婚はその女性を、彼女の父親に掛け合って養女に迎えさせることにしたらしく、シャルロッテを邪魔だと桟橋から突き落としたそうだ。
(なんて非道な男なの? 許せない)
彼女は許婚にまだ心を残していた。
「あの御方はとても優しかったんです。わたくし達は幼い時からずっと一緒にいて仲良くしてきました。あのお方との将来を望んでいました。それなのに帰国してから別人のように変わってしまった……」
そう言って泣く彼女が切なすぎた。彼女の涙が止まるまでわたしは側に居続けた。
初めはぎこちない態度を取っていたシャルロッテは、わたし達がシャルと愛称で呼ぶようになってくると、笑顔を見せ始めた。彼女が元気になっていくのは良かったけど、わたしは不安に駆られるようになってきた。
だって彼女、ナツとの距離を詰めるようになってきたんだもの。些細な変化だけど嫌だわ。ナツはわたしの恋人なのに。ナツは鈍感だから気がついてないみたい。
「もう、ナツの馬鹿っ」
八つ当たりしようにも、彼はわたしがじゃれ付いているとしか思わなくて苛々する。なんで分かってくれないの。




