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5話・ナツとの暮らし


「お~い。チョコ、あまり遠くに行くなよ」


 ナツとの暮らしは毎日が斬新で楽しい。王城にいたらこんな体験出来ないから目にするもの全てに興味を惹かれた。ナツは何が楽しいのか、海に向かって釣り糸を垂れてボーとしている。魚がかかるまで待っているのだ。

 そうなると相手をしてもらえないから退屈で仕方ない。釣り糸を眺めているナツを放っておいて、わたしは一人探検に入る。まるで童心に返ったみたいに、それをわたしは楽しんでいた。この島にはいろんな物が潜んでいる。それを発見するのが面白くなってきた。


 岩場を覗き込んだら、にょきっと小さなはさみのようなものが飛び出してきて、手を挟まれた時は驚いたけど。


「痛った~い」


 と、あまりの痛さに叫んだら釣り糸を無心に見つめていたナツが駆けつけてきた。


「どうした? チョコ?」


 彼の慌てた様子に痛さも忘れて見つめてしまった。彼はわたしを抱き上げると、


「あー、サワガニに手を挟まれたのか? 痛かったな」


 よしよしと手を撫でてくれた。ぺろぺろと自分の手を舐めたら痛みが引いた。自分のもっていた聖なる力は失われてなかったみたい。良かった。


「おまえからは目が離せないな」


 そう思うならもっと構って欲しいのに。ナツに抱っこされて釣り竿の前に連れていかれる。えー、また待ちなの? そんなの嫌だ。つまらない。

 ナツの腕の中から飛び出すと、つり竿を気にしながら「おい、チョコ?」と、言われたから大丈夫だよ。と、尾を振って見せた。どうせ待つならこの辺りを探索していた方が退屈しないしね。時々、危険と隣り合わせだけど楽しめる。


 今度は貝が歩いているのに出くわした。なにこれ? 前足でツンツン押していると後ろから声をかけられた。


「ほどほどにしておけよ。チョコ」

「ニャアン(分かってるわ)」


 返事を返したら微妙な笑みが返ってきた。本当に大丈夫か? と、言いたげだ。大丈夫よ。それにもし、何かあったらあなたが助けてくれるでしょう?


「仕方ないな。気をつけろよ」


 頭を撫でる手が優しい。ナツ、大好きだよ。あなたがたとえ、わたしに気がつかないとしても。わたしは今の生活に満足していた。


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