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15話・ナツさまは勇者さまなのですか?


「その猫は王城からいなくなった猫ですね」


 オウロが食堂の椅子に座るなり言った。一つのテーブルを皆で囲むように椅子に座る。オウロから時計回りに、ファラル、ガイム、シャル、俺、という順で席に着くことになった。俺の膝の上にはチョコが大人しく収まる。


 シャルロッテは皆にお茶を入れてくれている。お茶を入れるのは貴族の女性なら誰でも嗜んでいることらしく、ここに来た当初シャルは、「自分はお茶を入れることぐらいしか出来ないから」と、謙遜しながら食後のお茶を入れてくれた。


 彼女が入れるお茶は、とても美味しいので、それからは食後のお茶は彼女に入れてもらうようになっていた。


「ああ。あの時の」

「そう? でも言われてみればそんな気がする」


 オウロの言葉に、彼の隣の席のファウルやガイムが反応を示す。俺には全く分からない話だ。促がすようにオウロを見れば教えてくれた。


「実はですね、あなたを転移させる時に、王城で飼われていた猫が後を追うようにして入り込んでしまいまして……」

「それがチョコだと?」


 言われてみれば転移する際に、視界の隅で小さな生き物がこちらに向けてかけてくるのを見た気がする。そうか。あの時の小さいやつがチョコだったのか。


「はい。でもそのチョコは、もともとアロアナ姫が飼われていた猫だそうですよ」

「オレ達がこちらに帰還してくる半年前に、アロアナ姫さまが飼い始めた猫らしいぞ。それで名前がナツ」

「はあい? ナツって俺の愛称?」

「いやあ、愛されてるなぁ。いや、愛されていた。の、間違いか。なあ、勇者ナツ」


 オウロの説明にガイムがにやにやと笑いかけてくる。嫌味かよ。間抜けな男だと、内心馬鹿にしてやがるな? どうせ俺は寝取られ男さ。それがどうした? しかも自分を捨てた女の愛猫とは知らずにチョコと暮らしていたのだから、間抜けな男だと言いたいんだろう。でもな、チョコはそんなのが気にならないくらい可愛いんだ。おまえには望まれても触れさせてやらないからな。


 俺が密かに心の中で決意していると、脇から可憐な声が上がった。


「ガイムお兄さま。ナツさまは勇者さまなのですか?」

「知らなかったのか? シャル」

「ええ。知らなかったこといえ、失礼致しました。ナツさま、いえ勇者さま」


 うわあ。忘れてた。俺、シャルに何も話してない。シャル、気にしてる? 俺を恨めしそうに見る彼女に、心の中で詫びることしか出来ない。


「シャル。そう改まらなくてもいいよ。今まで通りのナツで」

「でも……」

「気にしないでくれ。俺がきみに話していなかったから、きみが知らなくて当然だ。それにガイムは魔王討伐の仲間で、全く知らない関係でもないから」


◇作者のつぶやき◇


 勇者、ヨシヒコ二十八歳、もうじき魔術師になるか仙人になるかの瀬戸際。

誰がなんといっても彼が勇者です。間違いない。


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