繭とサナギ
そうなることを望み、そうなることが、悲しかった。
不思議な気持ち。
ただ、遠すぎた道の途中、ぼくは立ち尽くす。
愛する人たちの、羽ばたきの時。
大きな繭の中、愛情と羨望と優しさが最高潮に達し、カラフルな羽を纏ったあなたたちが羽ばたいていく。
きらびやかなその姿。遠くに遠くに翔んでいく。
ぼくは、走り歩き着いてきた。
いつだって、一人好きでいたのに、ほんとうに信じられない。
伝え方は知らないけれど、祝福の涙が溢れている。
見られるのは恥ずかしいけど、笑顔が浮かんでくる。
でたらめな恋かもしれないけど、幸せを噛みしめている。
カラフルな羽を纏ったあなたたちが、遠くに遠くに翔んでいく。
遠すぎた道の途中で、見上げている。
見えなくなるあなたたちを、見届けるために。
せめて、伝えたいと思っている。
せめて、この思いだけでも、遠くに翔べる羽が欲しくて。
ここで、ないしょで、サナギになる。
等身大のサナギに、誰でもいい、愛と優しさを教えてください。
言葉が遠くまで届くように。