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僕のハーレム要員として国から押し付けられた美少女達が軒並み僕の親友に惚れてるけど、特に問題はない件  作者: 朝霧


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12/13

うん。なんか文句ある?

 親友の治療はつつがなく終わり、あの女の体は本当に傷跡一つなくなった。

「とりあえず全部治したぞ。痛みや体に違和感はないか?」

 親友がそう問いかけると、あの女は何も言わずに小さく首肯した。

 続いて不思議そうな顔で先ほどまで完全に折れ曲がっていた自分の右腕を見下ろす。

「……それで、何があったのよ?」

「クソ地竜をぶっ殺してきた」

 魔術師の言葉にそう答えると、部屋にいたメンツは顔を強張らせた。

「こ、殺してしまったのですか?」

「うん。なんか文句ある?」

「いえ……」

 しばらく誰も何も言わなかった。

 戦士と魔剣士と格闘家と聖女はおろおろしていて、魔術師と盗賊は溜息を吐いていた。

「それにしても、さっきの言い方はあんまりだと思うのだけど。人にものを頼む時はもう少し丁寧に頼みなさい」

 深い溜息を吐いた魔術師が僕に向かってそう言ってくる。

「あんな脅しのような……彼だって困惑していたし……」

 魔術師にそう言われてつい先ほどの言動を振り返る。

 確かに少し乱暴だったかもしれない、だけどそれがどうした?

「反省の色が見えないわねえ……まったく、それだからあなたは駄目なのよ」

 ダメとまで言われるとさすがにムッとする。

 お前にそこまで言われる謂れはないと反論しようとしたところで、親友が口を開いた。

「あまり怒らないでやってくれ。それに俺は全く構わない。というか少し嬉しいしな」

 親友の言葉にあの女を除いた全員が目を見開く。

「えっと……どういうことです?」

「こいつが俺を頼ったのは、さっきのが初めてだったからな」

「はあ?」

 そんなことはない、普段から頼りっぱなしだ。

 僕がこいつに何度助けられたと思っている? こいつがいなかったら僕はとっくに犯罪者だ。

「それにお前、本気でこの子を助けたかったんだろう? だから安心もしている。お前が自分から誰かを助けられる奴ってわかったから」

 お前初めてだろう、自分の意思で誰かを助けたのは、と親友は気色の悪い笑顔を浮かべていた。

「……別にそういうんじゃ……あのクソ地竜をぶっ殺したのは気まぐれだし……」

「でもその子を治せと俺を頼っただろう? その子にとってあの怪我は大怪我だろうが、お前にとってあの程度の傷はかすり傷だったはずだ。それなのにあんな脅すような言い方で、しかもなんでも用意するとか下手(したて)になりだすし……」

「だから、そういうんじゃ……」

 何故か女共の視線が生暖かいものになっている。

 だからそういうのではないのだ、ただの気まぐれなのだ。

 こんな女、本当は別にどうでもよかったし。

 ああ、こんな目で見られるくらいなら置いて来ればよかった。

「というか、ずっと黙ってるが大丈夫か? 地竜に何かされたか? それともこの馬鹿に何かされたか?」

 いまだに何も言わないあの女に魔剣士が声をかける。

 誰が馬鹿だと反論しようとしたところで部屋の外が騒がしくなる。

 部屋のドアがドンドンと乱暴に叩かれる、僕らは互いに顔を見合わせて、魔術師がどうぞとドアの向こうに声をかける。

 乱暴にドアを開けたのは町長だった。

 顔を真っ赤にしていて、汗をかいている。

 町長の後ろにも何人か人影が見えるが、そいつらは部屋の中には入ってこなかった。

 町長はあの女の姿を目にして、肩を震わせた。

「あなた方は何という事を……!! 何故供物であるその女がここにいるのです!? 地竜様は……!」

「殺したよ」

 僕が短くそう言うと、町長は愕然と目を見開いて、その場に崩れ落ちた。

「あ、あなた方は、何という事を……!! あのお方を殺した……? それではもう……この町は……」

 呆然とする町長に本当の事を言うかどうか悩んだ。

 黙っていることで自滅させてもいい。

 だけど。

 脳裏によみがえったのは紅葉のような小さい手。

 自分の姪っ子と同じくらいの年頃の小さな子供の事を思い出す。

 あんな子供が無様に死ぬのを許容するのは勇者らしくはないか。

「この町は問題ないよ。何の問題もない。だってお前らはあのクソ地竜に騙されていたんだもの」

「……何を言っているのです、勇者様」

「だーかーらー、お前らはあのクソ地竜に何年、もしかすると何十年とか何百年も騙されていたの。お前らはあのクソ地竜が魔鉱石や宝石類を作り出すって思ってたけらしいど、そんなのは嘘だよ」

「……うそ? それでは地竜様はどうやってあれだけの量の魔鉱石や宝石を用意していたというのだ!!? きさ……勇者様こそ嘘をついているのでは!!?」

 一瞬こいつ貴様って言いかけやがった、でもまあそう呼ばれるのは慣れてるから別に気に掛けることはない。

「僕は嘘なんか吐いちゃいないよ。魔鉱石や宝石を作ってたのはあの山さ。あのクソ地竜は山にあったものを掘り出してただけ。あの山うちの地元の鉱山と同じだからね、毎年ある程度の量は用意できるはずだよ」

「……っ! そういう事か……!!」

 親友は納得したような顔で呟いていたけど、他のメンツはどうもよくわかっていないような釈然とした表情だ。

「えっと……どゆこと?」

 戦士が首を傾げる、僕は親友の方を見た。

 そういう説明はこいつの方がうまいから任せてしまう。

「俺達の地元にある鉱山は特殊な霊地で、魔鉱石や宝石類ができやすい土地なんだ。魔鉱石や宝石類は通常何百年も時間をかけて少しずつ成長するんだが、俺達の地元の鉱山だと3年から10年くらいの間で使用に耐えうる魔鉱石や宝石類がゴロゴロできる……つまり、地竜が住んでいたっていうその山もそういう霊地、っていう事なんだろう?」

「そゆこと。つまりクソ地竜がいなくても……というかいなければ自分達の手で簡単に手に入れる事ができるはずの魔鉱石や宝石の為に、お前らは毎年毎年何の罪もない女を生贄に捧げていたってわけ」

 君たち本当に馬鹿だよねえ、と僕が笑うと町長は絶句して、しばらく何も言わなかった。


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