異世界理髪店
異世界って短髪少ないけどもしかして切れる人がいないのでは?と勝手な想像で書いてみただけです。
作者は理美容のプロではございませんので間違ってたりする箇所などがありましたらお教え下さい。
ここはグランフール王国にある王都グランフール。
その王都の少し外れた場所に少し変わったお店がありました。
お店の名前は『ヘアーサロンイサミ』ここでは、髪の毛を切ってくれたり、髪型を整えてくれたり、お髭を剃り整えくれたりと様々です。
これは1人の青年が人を笑顔にする物語。
ーーー
カランカランと扉が開くと綺麗で軽い音が店内に鳴り響きます。
「いらっしゃいませ!
ようこそヘアーサロンイサミへ!」
店内には白衣と黒ズボンと革靴に身を包んだ20歳くらいの金髪青眼のほっそりした青年がお客様をお出迎えします。
入り口には40歳くらいの貴族風の1人の男性が立っており店内を見回して目の前に立つ青年に目を向けました。
「君がここの店主かな?」
「はい私がヘアーサロンイサミの店主イサミユウキと申します。
本日はどのようなご要望で?」
「少し知人からここの事を聞いてな。
なに久々に会ったら雰囲気が変わっていてどうしたものか尋ねたらここで髪を切ったと言っていてな。
早速だが私の髪もお願いしたいのだがよろしいかな?」
「はい、かしこまりました。
それではこちらのお席にどうぞ!」
貴族風の男性が案内された席に座ると椅子には肘掛けもあり背もたれもついており、前には大きな鏡と流し台のような物と変わった形をした蛇口のような物がついている。
男性は初めて目にする物に興味が湧いた。
「店主これは立派な鏡だな。
これ程の物を用意するのは大変だっただろう?
この前の流し台みたいな物は何に使うのだ?」
「そうですね。
これ程の鏡を用意するのは少し大変でしたね。
この前のはシャンプーボウルといって髪の毛を切った後に流すのに使います。
たまに髪の毛に強い癖などが残っている場合には一度先にお洗いする場合もございますね!」
「ふむ、そうか。
わかったでは始めてくれ。」
男性は気になる所が聞けたのか店主に髪を切る事をお願いしたが、店主にその前にする事があると止められた。
「髪の毛をお切りする前にどのような髪型ににしたいや何かお悩みしてる事はございませんか?
来ていただいた方を最後満足してお店を出ていかれよう心がけておりますので!」
「なるほどな。
今までは肩に当たらないくらいにして目が隠れないように頼んでいたのだがどうだ?」
「お客様は髪の毛があまり短くなるのはお好きではないのですね?」
「いや、そういう訳ではないのだが短くすると髪の毛の長さの違い出やすいだろ?
ここは長いのここは短いとみっともないない。
だから貴族は髪が整えやすい長さで切りそろえてるのだ。」
そうか。
だから貴族人達は髪の毛が長いのか!
短くしようと長さが不揃いになりどうしても不恰好になってしまう、それならば短くせず不恰好にならない程度の長さにハサミで切るだけだ!
なんて勿体無いんだ!
日本じゃありえないぞお偉い様の男がパッツンのオカッパだなんて!
僕がこの世界に呼ばれたのもヘアースタイルの魅力を教える為だったのだろうか!
あれは2年前くらい前の出来事だった。
理美容専門学校を卒業した僕は地元の理髪店に就職した。
学生時代はヘアーカットコンテストなどにも出場して優勝した事もあった。
カットモデルも多くこなした甲斐もあり一年ちょっとでスタイリストデビューさせてもらった。
念願のスタイリストデビューはとても嬉しかったし内心は凄いドキドキ緊張してた。
それから半年たってしばらくした時それは起こった。
後輩のシャンプーの練習に付き合っていてシャンプーが終わっても何もないからどうした?って聞いて顔に置いてあるフェイスガーゼを取って目を開けたら、、、。
「は?え?えっ?
なにこれ?ここどこ?」
回りが草原になっていて近くに川と少し先に町があるのが見えた。
これは夢でまだ僕はシャンプーされてるんじゃないかと何回も思ったけど、これは現実で今の所戻る手がかりもない。
でもなにかをしなくちゃと思い町に行き宿屋の親父さんが凄い良い人で必死にお願いして住み込みで働かせてもらってその時に色々な事を教えてもらって1番の驚きはやはり魔法ですよ!ま!ほ!う!
僕には魔法の才能なんて無くてちょっとした事しか出来なくても嬉しかったけどやっぱり冒険者やモンスターがいるってのも怖かった。
そんな時に女将さんが親父さんの髪を切ってるのを見てこれだ!と思った。
自分の部屋に戻って棚の中からハサミを取り出す。
この世界に飛ばされた時にシザーケース(美容師さん達が腰にハサミなどを入れてる)も一緒にあって早速親父さんに髪を切らせてくれとお願いした時は嫌な顔をされたけど、この世界で初めての後ろと横を綺麗に刈り上げて七三分けにしてやったぜ!
それから僕の評判がどんどん上がってたまたま見つけた露店で大きな汚い鏡を買って来て毎日頑張って磨いて本来の鏡としての姿を取り戻した。
そんなある日、親父さんからお前も店だしてみたらどうだ?今までこんな仕事しようとした奴見た事ないし新しいかもなダメだったら死ぬまでここで働かせてやるって背中を押してくれて僕は鍛治師や魔道具技師の人にも声をかけシャンプーボウルや椅子を作ってもらって先月にこの『ヘアーサロンイサミ』はオープンした。
おっといかんいかん!
少し昔を思い出してしまった。
「当店では髪の毛の長さなど気にせずともお客様のご要望にお応えできるようにやらさせていただきますので。」
「では言わせてもらおう。
後ろが長いのは正直暑苦しくて嫌でね、もう少しサッパリして前髪を真ん中から分けているのだがこのボテっとした感じがどうにか出来るならお願いしたいがそれを踏まえて君に貴族としての私に似合う髪型にして欲しい。」
「かしこまりました。
それでは早速失礼します。」
店主はシュッシュッと男性の髪の毛を少し濡らし前髪から上に引き出すようにして指の間に挟みカットしていき横も同様に横に引き出して指の間で挟んでカットしていきました。
これは指間狩りと呼ばれる技術で前に切った髪をガイドにして後ろにどんどん切っていきます。
ガイドとはこの髪どこで切ったら良いんだろうと迷わない為に1番最初に目印となるようにするもので頭の前から切ることにより切られた短い髪の毛が切られてない長い髪の毛よりも前にあるのでその短い髪の毛が線として見えてここでカットすれば同じ長さに切れるのです。
後ろ部分のカットに入り始めた時左手に櫛の先が上を向くように持ち右手にハサミを持ち髪の毛をすくい上げるようにしてカットしていきました。
これはすくい狩りと呼ばれる技術で櫛で髪の毛をすくい上げるように切っていきます。
そうする事により刈り上がらないようになり且つ短くする事ができるのです。
そしてこの世界には無い梳きハサミで髪の毛の重さを取ってあげて軽くする事により動きが出しやすくなり、後ろスッキリ横も耳出し前は程よい長さがあり良い感じだ!
「おぉ!見間違えたな!
これが私か?
髪型というものは素晴らしいな。
こうまで人の印象を変えてしまうとは。
この短さにしても変なボコボコもなくとてもスッキリしていて素晴らしい!」
「お気に召したようでありがとうございます。
他に気になる所などございませんか?
よろしければ前で流して最後セットまでやらせていただきますね!」
「文句のつけどころもない。
最後までよろしく頼むぞ。」
男性はシャンプーを終え、魔道具ドライヤーで髪の毛を乾かす時に前髪を指で挟むようして乾かしこうする事によって綺麗なヒサシが作る事が出来、貴族の方には相応しいお姿になりました。
「この前髪は凄いな!
凄く品というものを感じさせるな!」
「指で抑えて熱を与える事により髪に形を作る事ができますので是非ご活用ください!」
「店主よ有意義な時間を過ごさせてもらい感謝するぞ。
このサンフォトン公爵これからも使わせてもらう。」
「こ、公爵様でしたか!
本日は誠にありがとうございました!」
「よいよい、次回のパーティーが楽しみだ!
代金はこちらに置いていくぞ?
ではまた髪の毛が伸びたらくる。」
そう言うと公爵は笑みを浮かべながら外に待たせてあった馬車に乗ると去っていった。
「公爵様には驚いたけど怖い人じゃなくてよかったー!」
こうして今日も1人のお客様を笑顔にして送り出しました。
最後まで見ていただきありがとうございます!
文の書き方などまだまだですが応援して下さると嬉しいです!