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なんでもアリな闇鍋ゲームで詰んでる俺は脇役兼死体役イコール被害者な件(仮)  作者: 来樹
1章 ようこそ、聖アールグレイ学園へ!
7/30

5

いつもページ数決めて一話書いているので、今作のように書けるところまで書いて投稿は、意外と筆が進んで良いのだけど、細かく投稿しているので話が全然進展しませんね(汗)







 ふっ。

 思い出さなくても良い事まで思い出してしまったぜ。

 黒歴史から因果関係を割り出す過程で、要らん情報まで出て来たが、これ以上傷口に塩を塗り込む前に、肝心の『聖アールグレイ学園』について話を進めよう。うん。

 そう、世界観は「俺」のいた現代社会と瓜二つで、世界情勢もほぼ似た感じだった筈だ。

 ただ、その普通の世界観に+αで「イケメンをオトす」という設定が盛り込まれた非日常的なご都合主義な世界だった事を除けば。

 うん、普通なら「ねーよ」っていう感じのセリフとシチュと学校制度のオンパレードだったからな。え、学生の本分分かっているよね、こいつらとか思わず心配しちゃうレベル。精神科への紹介状が必要だったりする?とかな。イケメン滅びろ。

 閑話休題。

 またもや、話が逸れたが、まあそれもご愛嬌ってコトで。

 えーと、確か、舞台はこの学園に在籍するイケメンとのめくるめくラブアンドピースな乙女ゲーム的恋愛模様で、特殊な設定とかなかった気がする。こーゆーのって所謂(いわゆる)、日常系?クソ詰まらね。ゲーム好きには、心底やるだけ無駄なゲームだったのは確かだ。だってさー、俺、男の子なの。男が男から無駄に甘いセリフを吐かれたり、男のラッキースケベに遭遇したり、デートしたりとかって………うん、時間の無駄っていうかキモいだけっていうかね。誰得だよ、っていう一般男子代表の感想がね、出て来るの。多分恐らく、俺以外の男の子なら皆同じコト言うと思うんだ!まあ、女の子ならこーゆー二次元的な美形に言い寄られたりするの好きだろうから、ここは性別の違いによる感受性の差異と思って聴いて欲しい。クラスの女子共が、ギャルゲーする男子を「キモい」とか言うのと同じ原理だと思う。逆に、乙女ゲームをする女子を男子が「キモい」とか言うとフルボッコされるだろうが。

 うーん、特殊な設定ではなかったのは確かだが……記憶力が人より多少優れていると自負している俺は、ちょっとそれだけじゃ済まない情報を持っていたりする。

 そう、攻略対象は皆イケメンで皆俺の敵認定なのだけども。

 俺のポジショニングが問題っていうか、なんというか。

 勘違いして貰っても困るから最初に断っておくが、見た目平凡地味子の俺は……いや、「私」は、この世界における主人公(ヒロイン)ではない。つか、「私」の人生なのに、そもそも「私」は「私」の人生の主役ですらない。まあ、これについては、追々説明するとして。

 主人公でないのなら、ならばよくある設定的に悪役令嬢(当て馬)か?

 ―――答えは否。

 ならば、第三勢力の攻略対象の近親者か?

 これもまた否。

 お待ちかねの正解は、これもよくあるパターンの―――脇役(モブ)だ。

 よくあるパターンだとしても、乙女ゲーム上で名前もスチルも一切登場しない真の脇役かといえば、それもまた違うが。ゲームで例えると、勇者誕生の始まりの村の村民レベル。勇者は王国の使者より冒険の旅に立たされるので、始まりの村もさっさと登場しなくなる。つまり、街並みの背景にあるような顔もはっきりしない人影レベルの村人ABC。でも、セリフなしっていうね。ドラクエ氏なら話かけられるのにねー。しかも、ここが重要。勇者の登場に、その心を闇堕ちさせる為に、村が魔物に滅ぼされるのだ。慌てて戻った勇者が見たのは、倒壊した家屋に、焼けた土地、ところどころ原型を留めている人の腐った血肉の塊。その、原型を留めていない土に還りかけた、かつての村人―――そう、例えるなら、死体(ソレ)が俺なのだ。

 スチルなし、セリフなし、名前の登場なし、真の脇役なら、卑屈根性万歳な俺でも諸手を挙げて喜んだことだろう。忘れるべからず、この世界は乙女ゲームだ。これで主役とかレギュラーポジションなら軽く死ねる。

 問題は、この世界が、らぶあんどぴーすなゆるふわ頭の中お花畑設定の乙女ゲームであるのにも拘らず、ライバル系女子の、恋の罠に巻き込まれてうっかり害を被っちゃったりする生徒とかがいちゃったり。そして、その巻き込まれたうっかり生徒が死んじゃったりして、ソレの所為で、悪役令嬢の悪事が千里を走っちゃって結果的にヒロイン達の恋路を成功させる通過点(イベント)になったりするのだ。あれ、ラブアンドピースどこいった状態だが、これがこの乙女ゲームのラブでピースなのだ。だって、主人公サイドでは死体とか、事故描写がないんですもの。書類上での記載程度のものですもの。いやー、すげえ物騒な世の中っすね。これ、巻き込まれた生徒が可哀そうですねー。

 はい、ソレ、そのうっかり巻き込まれた挙句に、うっかり死亡しちゃった脇役(モブ)が俺なのです。はい、皆様ご一緒に、ここで手を合わせて!合掌、チーン。

 ふっ。背景ですらなかったのだよ、ワトソン君。

 真実はいつも一つなちびっこ探偵が「犯人は貴方です!」とか救済措置取ってくんないかなー。彼の世界ですら、死体役には死亡理由とか名前とか設定とかあったからね!すっげー犯罪都市だとは思うケド。

 なーのーにー、俺が巻き込まれたのはただの偶然。ただその場に居合わせた、ソレだけ。

 俺がソレに気が付いたのは、ゲームに名前が登場したからではない。スチルがあったわけでもない。ただ……悪役令嬢の悪事を調査する過程で、死んだ女子生徒の外見描写が今の俺―――「私」そのものだったのだ。

 ゲームをプレイする時に、教室内や授業風景にも「私」はいなかった。だけど、攻略対象の上杉誠也が担当するクラスに俺が在籍するなら、「私」とヒロインは同じクラスメイトになる。なのに、ゲームではノータッチ。ただ、悪事を暴く為に登場する死体役。俺がプレイした時に、「私」みたいな一昔前の地味な格好をした生徒はいなかった。乙女ゲームだからか、皆比較的可愛らしい容姿で………あと、うん、ゲームとかアニメとか漫画にありがちで、日本人設定なのに、黒髪黒目があんまりいないというね。クラスメイトの髪も目の色もカラフルでした。それでも、黒髪黒目、地味な容姿という容姿だけで、俺がその死体役と断定したのにはもっと細かくその事件報告書的な文には書いてあったのだ。

 「クラスメイト」、「外部生」、「近親者なし」、「青色の四葉のキーホルダー」

 はい、コレ俺です。

 前にも言ったと思うが、この聖アールグレイ学園はコネとか特殊な能力とかがないと外部生なんて滅多に取らないのだ。家柄や血統、財力がものいう世界。その独特的で閉鎖的な環境に、「外部生」、「近親者なし」の特徴を持つ同じ「クラスメイト」で(あまつさ)えマイナーな容姿も被ってて、止めの「青色の四葉のキーホルダー」。うん、犯人(ようぎしゃ)は俺です。近親者の件も深いワケがあったりするけど、このキーホルダーは別格。こんな金持ち学校に、安っぽいキーホルダーを後生大事に持っていて、事件後に警察にビニールに入れられて遺留品として提出されて事件報告書に遺体の写真の代わりにそのキーホルダーの写真が貼られてたのだからもう、決定的。キーホルダーにすらスチルの画の登場すら奪われた残念な脇役(モブ)とは俺のコトです。

 ゲームで見たとき、青の四葉のキーホルダーとか珍しいなとか、ここ普通被害者の顔写真とかじゃないのかとかツッコミ入れた記憶がある。だが、そんなツッコミも「ホラ、このゲームって会社のコンセプトがラブアンドピースらしいからさ」とか、乙女ゲームをクリアする時に世話になった掲示板に書かれていて、「へー」と思ったのだ。

 普段の俺なら、こんな乙女ゲームにでてきたスチルも名前もない可哀そうな脇役に、意識を向ける事もなかっただろうに、覚えていたのは印象的なキーホルダーと顔写真がなかった違和感。これにつきるが、何故、寄りにもよってこんな知りたくもない事実に気が付き、しかもその哀れな脇役に転生してしまったのか。色々ツッコミが追い付かないが、一言物申すとしたら。


 「こんな腐った世界、滅びればいいのに……」


 びくり。

 隣に座っていたクラスメイトの体が動くのが視界の端に映った。

 俺はかなり小さめに言った呟きに、反応を返した彼に、「流石は攻略対象侮れねー」と思いつつ、気付いてない態を装って無視した。

 名前順の呪いで、隣の席はなんとびっくりメインヒーローで未来の何様俺様生徒会長「皇煌夜」君でしたー。

 はい、皆様お手を合わせてご一緒に!

 いただきまーす。

 イケメンなんてもう満腹っす。

 喰いたい奴が勝手に喰ってろ。くそ、俺が何をしたっていうんだ!なんで、こんなツイてないのー。なんで、死亡フラグの隣の席なのー。なんで、この地雷しか埋まってないクラスの生徒になっちゃうのー。なんで、俺この世界に転生しちゃったのー。

 神様、というかゲーム会社表でろ。つかシナリオライターも同罪だ。設定考えた奴、マジ出て来い。

 俺は、普通にゲーム好きの男の子だったのに。

 何がどうなって、こうなった?

 前世の俺、何も悪い事してないよ?

 なんでー、どうしてー。

 泣いても良いかな?だって俺、普通の男の子だもん。今、女だけど。つか、普通の女の子でも、脇役でも死体役っていうポジションには号泣ものだろ。

 マジ、どうしよう。

 俺は清々しく晴れ渡っている空を窓から眺め、重苦しい溜息を吐くのだった。






To be continued…?


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