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なんでもアリな闇鍋ゲームで詰んでる俺は脇役兼死体役イコール被害者な件(仮)  作者: 来樹
1章 ようこそ、聖アールグレイ学園へ!
25/30

23



 放課後。

 誰もいない廊下を一人で歩く。

 部活動紹介は明日だから、部活に所属していない一年は用事もない校舎には既にない。


 「……………………」


 やっと、主人公(ヒロイン)の乙女ゲーム的進捗状況をリアルタイムで見られたというのに(まともかどうかはこの際置いとく)、それが根本的な解決策になるのか曖昧な情報で、尚且つ委員長イベントでいた筈の親愛なる隣人(ホラ、ここ一応ミッション系だから、例えもそれっぽくさ。同じキリストでも聖の方のお兄さんの方が好きだけど)は不在で。

 しかも勝敗の要は、じゃんけん。

 運による勝ち負けで、主人公(ヒロイン)はイベントを成功させた。

 それって、さ。

好感度というか、イベント進捗的には、判断基準にはなりえなくね?と個人的に思う訳で。

 そして。

 委員長イベントで見たことない選択肢・じゃんけんによって、勝敗を分けたこの茶番。本来ならば、そのイベントの選択肢的にも必要不可欠で、スチルにもしっかりいた筈の、メインヒーロー・(すめらぎ)(こう)()の不在。

 アレレ~、おかしいなあ?

 思わず某ぶりっこ探偵の声音で首を傾げる。

 そもそも、なんであいつ、いねーの?

 いや、朝からいなかったんだから、超今更なんだけどさ。うん。

 でもさ、でもさ。

 いや、本当にガチで。


 ……何で、アイツいねーんだよ。



 「――あ。ねえ、キミ!」


 「!」


 スッと、ナイフで切れ込みを入れるように。


 少しも歪な形に削らない、綺麗に研がされた鋭利な声音で清閑な空気を裂いたソレは。

 ぞっとするくらい耳に馴染む低い音程で。

 思わず、足を止めてしまうくらいには、唐突なものだった。

 耳に心地良く響くこの声色は。

 聴き覚えがありすぎるくらいで。

 どうして。

 何故。

 息を吸い込んだまま、見開いた目をゆっくりと動かして、動かない体の代わりに背後を見ようとする。

 「ちょっと、良いかな?一年担当の先生方が丁度職員会議で誰も捕まらなくて。キミ、一年生だろ?」

 「…………」

 嗚呼、嘘だろ。

 振り返らずに立ち止った後ろから、段々と近付く気配と声。

 「?ねえ、キミ」

 遂に俺の所まで辿り着いた声の主が、頑なに動かない俺の肩にかかる。

 「っつ」

 顔を覗き込むように肩を掴まれ、俺は息をゆっくりと吐いて観念するように振り向いた。

 「どうしたの、キミ。体調が悪いのかな?」

 

 『――――は、……だよ』

 

 振り向いた先にあった姿に、俺の脳裏に懐かしい顔がおぼろげに過る。

 

 「……………生徒、会長」


 ぽつりと零れ落ちたのは、まさかとぎりぎりまで否定していた存在の事実を表す名で。

 小さくとも聞き取れたのか、きょとりと目を瞬かせたその人物は。


 ()()()らしく整った容貌で、見惚れてしまうくらい綺麗な笑みを浮かべた。








To be continued…?





更なる厄介事が少女を襲う。

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