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年内更新はこれで最後かな?気が向いたら、登場人物イラストとか描こうかなとか思う今日この頃。
「…………」
思わず、手で掴み上げたソイツと目を合わせる。
なあ、今の可愛らしい悲鳴はお前?
にゃー。
目と目で会話するが、勿論俺の言っている事が分かっている筈もないだろうに、つぶらな目が「何言ってんのお前?」とでも言うように細められる。ついで「にゃー」と一鳴き。
「…………」
思いっきりピッチャー宜しく現場に放り投げ込みたかったが、ぐっと堪える。短気は損気!ひっひ、ふー!餅付け……じゃ、ねーわ。落ち着け俺。ビークールだ、クールになろうゼ、俺。……最後のは意味違うな、うん。
――よし。
一呼吸吐いて、気を落ち着けると、俺は件の現場をちらりと家政婦さんばりの気配断ちで覗き込む。
今なら、俺は忍者になれそうだ。もしくは家政婦。
恐る恐る、見遣ると。
恋するピンク色のふわふわなセミロングが視界を舞う。
思わず、唖然とその髪の流れる行方を目で辿る。
黒色と白色のシックなツートンカラーで構成された聖アールグレイ学園の制服を身に纏った少女が、同じくモノトーンだが女子とはシンメトリー的なデザインの男子制服を着た少年の上に跨っていた。うん、控えめに見ても、アレ馬乗りって奴じゃね?
「……うえええ」
その光景がドウイウ謂れで起こった事かを理解した瞬間、俺は女子らしからぬ声色で喉の奥で小さく呻いた。
男子なら桃色の妄想枠での展開だが、女子視線で見るとアレはない。どんな罰ゲームだ。
こっそり同情するのは、少女側ではなく乗られた少年の方。
そう、如何に一般男子なら羨むラッキースケベ的なイベントでも、木の上にでもいなければありえない体勢で、木に凭れて寝ていた少年の膝?いや腹か?の上にああまで体全体で乗っかる訳がない。しかも向かい合わせで。ありえねーだろ。
これが横に倒れるように少年の上に乗っていたならまだしも、物理的にも角度的にも作為じゃ無ければ有り得ない向かい合わせの乗っかり方は、もうその恥を捨て切った大胆さに天晴としか言えない。
そう、ただのフツメンもしくはブサメンなら百パー有り得ない事象が起こりうるのは、古今東西イケメンに限る。
攻略対象であるならば況や~をやである。
木の幹に凭れて眠る攻略対象に、偶然その体の上に倒れてしまった少女。
出逢いを演出するには調度良い立地条件に時間帯、人気の無さ。
それらを瞬時に悟ってしまった俺は、図々しくも乗っかって髪色と同じく頬をピンクに染めて攻略対象を見詰める少女と、腹の上に乗られた衝撃で顔を顰めて目を不機嫌に開いた少年を呆れた目で凝視してしまった。
乗る少女も少女だが、乗られる少年も少年である。
幾ら校内の至る所に防犯カメラがせっちされてあると言えども、良いトコ出の坊ちゃんが、外で人気の無い時間帯・場所で昼寝をするなんて無防備に程がある。
賊がいないとは限らないし、見目が麗しいと、家柄と地位に釣られたハイエナ共が群がるに決まっているだろうに。
俺は一つ息を吐いて、この場から可及的速やかに撤退する事を決めた。
あーあ、本当に馬鹿らしい。
攻略対象とイベントを発生させたのが、可愛らしい主人公ではないのを知って、何だか余計に白ける。だって、ヒロインがいてもいなくても、イベントっていう奴は強制で。攻略対象共は誰彼構わずフラグをおっ立て、選択肢を間違わなければ誰とでもゴールインするってわけだ。そこに、彼らの意思はない。彼らはゲームメーカーの駒で、この世界はどうしようもなくゲームの盤上。行く筋の棋譜は、決められたパターン通りにしか進まない。
――それはなんて、虚しくて。
決められた自死行為。
嗚呼だけど、主人公ではないあの少女は、果たしてイベントをクリアできるのか。
この世界の主役ではない彼女が、ラブゲームに勝てるのか。
ほんの少し、興味を持って、最後にちらりと彼らを一瞥した時だった。
攻略対象の、眠りに醒めたばかりだからか気怠げでやや熱を孕んだ紅の双眸が、俺が隠れていた木陰の方へと向けられた。
「………………」
え?コレなんてデジャビュ?!
To be continued…?
【皇煌夜】
乙女ゲーム『聖アールグレイ学園』のメインヒーロー。シンボルマークは王冠。
未来のオレ様生徒会長。
趣味・昼寝
選択イベントでは神父の礼拝堂イベントと分岐する。皇煌夜のイベントを選択すると、木陰で眠る彼の元に、木の枝から降りれなくなった猫を助けようとしたヒロインが落ちてくるというイベントになる。




