静かな始まり
のんびりと進みます。
申し訳ありません、月1更新に変更します...。
よく晴れた日、とある村で若い女が子供を産んだ。女は村で一番美しい、気立ての良い娘だった。女が産んだ子供の父親は分からない。女はただ、これも世界の意思だと言うだけで、父親が誰なのか明かそうとしなかった。
時は過ぎ、子供が一歳になるかならないかの頃のことだった。その日もよく晴れた日だった。子供は不思議なことに何もない虚空に手を伸ばし、楽しそうに笑っていた。女は特に気にした様子はなかったが、村人たちは得体のしれないその子供を気味悪がった。
また時が過ぎ、子供は自分が周りと違うことに気付いた。他の人々には自分の見ているモノが見えないのだと悟った。子供には精霊・ノーマが見えたが、周りの人間には見えていなかった――それが精霊であると教えた女でさえも。
精霊がいるということは世界中の誰もが知っていた。だが、未だかつて精霊を見た人間はいなかった。精霊は人間の目には決して映らない筈の存在だったのだ。
子供は――ラットは、特別だった。
序章は以上です。
のんびりとお付き合いくださいませ。