第3話 初めての戦闘
『リアヤは初心者の森へ到着した。
ここは駆け出しの冒険者がまずはじめに向かう、弱い魔物が出現する森。多くの冒険者がここで戦闘の基礎を学び、次のステージへと上がっていく。
魔物A
が現れた。
リアヤ
HP 5/5
MP 10/10
どうしますか?
選択肢:戦う、スキル、アイテム、逃げる
>』
私はこの世界での人生をやり直している…って言っても、ほんの数分でここまで来ちゃったけどね!
だってアルバイトとか選択したらもう終わってるし、時間の掛かるものがないんだよね…。今回は最初から一番強い装備を買ってある。細長い石に、シルバーシールド、シルバーメイル、シルバーヘルム、シルバーグローブ、シルバーガーダー、シルバーブーツ、銀のネックレス。なぜか防具は充実していたの…。
そもそも魔法使いが鎧とか装備出来ていいわけ?魔法使い用の装備もあったけど全然メリットなかったしこっちの装備を選んだわけだけど…。武器も魔法使えないなら戦士用の方が強いと思うんだ。
それにしても魔物Aって…名前くらい付けてあげようよ。何の魔物かまったく想像できないじゃん。ま、あの無能な神に期待するだけ無駄か…。
凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸
「出たな、スライム!」
初心者の森に入った私は初めての魔物に遭遇した。青いぷるぷるの可愛いやつ。名前はスライム。見た目に騙されてはいけない。こいつはこれでも魔物だから。
「最弱と言われてる魔物だけどね!」
しかし今は魔王がはびこる世の中。当然、この最弱の魔物も以前と比べて格段に強くなっている。
私が警戒しつつもじりじりと近付いていく。するとスライムが体当たりをしてきた。
「わわっ!?」
けれども大した衝撃もなく、私は平然と立っている。
「びっくりしたぁ…。でも今の私にはダメージを与えられないみたいね。」
全身シルバー防具に身を包んだ私の守りを崩すことは難しいようだ。
「今度はこっちの番よ!」
細長く鋭い刃になった石の剣でスライムに斬りかかる。スライムがぷるるんと揺れる。私は繰り返し何度も何度も斬りつける。そしてその度にスライムがぷるるんぷるるんと揺れる。
「はあはあ…。ようやく倒せたわ。」
何十回と斬りつけることでようやく倒すことが出来た。その間に何度も体当たりされたけど全然痛くなかった。
「一旦戻ろうかな…。」
そう思っていると次の魔物が現れる。
緑色の小さな鬼、ゴブリンが2体である。ゴブリンの手には不揃いな突起がいくつも付いた棍棒が握られている。
ゴブリンがその棍棒で殴りかかってくる。
「いたっ!?」
さすがの私もまったくダメージを受けないというわけにはいかなかった。
「さすがにまずいわね…ここは逃げるわ!」
私はゴブリンを背にしてすぐさまその場から走り去る。けれどゴブリンも逃すまいと走って追いかけてくる。
「きゃっ!?」
木の根っこに躓いてしまった私はゴブリンに追い付かれて再び棍棒で殴られる。
「いたっ、痛いって言ってるでしょ!?」
私が叫ぶもゴブリンは容赦しない。
私は隙を見て再び逃げるために森の中を走り出す。
「な、何とかまけたみたいね…。」
私が息を切らしながらゴブリンの居た方向を見る。そして森から出ようと前を向くと。
「嘘でしょ…。」
目の前には二足歩行している狐の魔物、コボルトが4体立っていた。手には金属の剣と盾が握られている。
「逃げるしかないよね!?」
私はゴブリンと出くわさないよう、後ろではなく右に向かって森を走り抜ける。
「い、いったいいつになったら出られるのよ!」
逃げては別の魔物の群れに遭遇することを繰り返した私。既に帰り道も分からない。魔物に警戒しつつもどこに向かってというわけでもなく歩き始める。
「グゥルルル…!!」
何かの唸り声が聞こえて木の陰からそっと顔を出して覗く。すると真っ赤な大きな鬼がこちらを睨みつけていた。
あ、終わったわコレ。
凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸
『チーン!』
チーン!じゃないから!
『んんー?初心者の森で死んだ冒険者はどちらさまでしたっけー?』
ああん?
『ごめんなさいっ,>-<,』
まあ、ここは落ち着いてあげよう。別に痛くも怖くもなかったしね。
イラッとはきたけど。
大体さ?何で戦闘終わっても強制的に次の戦闘にいくわけ?しかもアイテムって選択肢あるけどアイテム手に入る機会ないじゃん。せめて回復アイテムでも街で買えたらまともに戦闘できるのにさ。ねぇ、そこんところどうなの?
『え、えっとー?世界作るの初めてでー、ていうか本来は生命が自己進化するからそういう問題は起きないっていうかー…ね?』
じゃあ百歩譲ってまずはあなたを殴れるようにするところから作ろうか。
『勘弁してください〜〜〜〜〜!』
更新遅くてすいません…。他の作品を優先して書いているのでこちらはまったり更新になると思います。