第1話 始まりの街
『リアヤは始まりの街へ到着した。
ここは駆け出しの冒険者が集う街。多くの冒険者が戦う術を身につけるために、この街で修行をしている。
冒険者たちを相手に商売しようと、武器屋、防具屋、宿屋、酒場といった店がひしめき合っている。
どこへ行きますか?
選択肢:武器屋、防具屋、宿屋、酒場、外へ出る
>』
初期設定を済ませた私の前に、こんな文字列が表示される。ちなみに”リアヤ”は私の名前である。こっちの世界の雰囲気に合わせてカタカナにしておいた。
初期設定後、長々と世界観や旅の目的やらの説明があったけど、スキップするという選択肢があったのでスキップした。文字じゃなく映像で説明してほしいよね。
確か、魔王を倒せとかそんな話だったと思う。私にはこの状況がもはやゲームプレイとしか見れない。…体の感覚とかないんだけどね。
しかし、文字だけというのは寂しい。これからずっとこんな生活をしなければならないのかな?
そこで私は考えた。
妄想すればいいじゃないかと。
凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸
「うわぁ…!ここが始まりの街かー!」
私は始まりの街に到着して、改めてその活気に心躍る気持ちだった。
街は石造りの建物が密集し、大通りには肩をぶつけてしまいそうなほどたくさんの人が居る。
「きゃっ!?」
そういう風に思っていたのに、私は街の光景に目を奪われて歩いてしまった。私がぶつかって尻もちを付いていると、ぶつかってしまった相手が手を差し伸べてくれる。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?お嬢さん。」
金髪碧眼、短い髪を綺麗に整えた青年が心配そうに私を見ている。私は差し伸べられた手を取り、立ち上がる。
「だ、大丈夫ですっ!こちらこそよそ見して歩いていたので、その、ごめんなさい!」
私は直角にお辞儀する。
「あれ。その杖、もしかして冒険者ですか?」
「あ、そうなんです。冒険者になろうと今日初めてこの街に来たばかりで…。」
「そうなんですね。僕もつい数日前に冒険者になろうとこの街に来たばかりなんですよ。」
彼の格好をよく見ると、胸当てをして剣を携えていた。
「あ、そうだ。良かったらパーティーを組みませんか?まだパーティーを見つけてなくて。見習い戦士と魔法使いの卵、バランスもいいと思うんです。」
彼の笑顔が眩しい。
「で、でも私、まだ魔法使いの卵になれるかどうかも分からないですし…。」
「きっと大丈夫ですよ。それに、ここで出会ったのも何かの縁です。もし魔法使いの卵になれなくても、一緒に活動してもらえませんか。…その、あなたに一目惚れしてしまったんです。」
彼が照れながら、突然の告白をしてきた。
「わ、私なんかでよければ…お願いします…。」
私も顔を真っ赤にして返事をする。
こうして私は長い旅路を共にする仲間を見つけた。そして二人は旅する間に愛を深め………
凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸
ぐへへ…。
はっ!女がしちゃいけない顔だった…って男がしててもアウトだわ。
とりあえず武器屋で武器でも買おうかなぁ。
『>武器屋
「へい、らっしゃい!お、冒険者かい?最近はまったく冒険者を見なくなっちまったからなぁ。あ、安心してくれ。武器はちゃんと整備してあるからな!」
何を買いますか?
選択肢:木の棒、細長い石、木の枝、丸い石
>』
…。
冒険者いないんかい!