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仮想なЯEAL  作者: 路傍の翁
8/16

period 8

「合計で6850Fだ。いやー連日金を落としてってくれるなんて有りがたいな! そう言えば久し振りの上客に親方も今度オウヤに会ってみたいって話してたぜ! どっか予定空いてる日無いか?」


親方ってケイルの師匠でここの店主のことだよな? そんな興味湧くものでもあったのか?



「あぁ、そしたら俺は午前中なら大体空いてるぞ。パーティー組んで行動するのは基本的に午後だけに決めたから」


そう思いながら代金を支払い、ケイルに予定をいっておく。


「そうかい。なら親方に伝えとくぜ! お嬢さん達も毎度あり! また来てくれ」


2人の武具を初期装備から変えて俺の投げナイフも木から頑丈な鉄製に変わった。

2人の武器は『丈夫な鉄の短剣』2900Fと『樫の杖』3200Fで防具がタックルラビットの皮鎧一式1500Fだ。


俺のフラージュスネークの皮鎧一式は素材持ち込みだったので加工代の2000Fですんだ。投げナイフが予想以上に高くてもう金がない。その代わり長持ちするし砥をただでやってくれるからそこはありがたい。一緒に短剣の砥もねじ込んだ俺は悪くないだろ。


準備を整えた俺達は早速森に入りエリアボスを探索する。

上層のエリアボスはゴブリンナイト、全身鎧(フルプレートアーマー)にタワーシールドと片手剣を装備した重騎士だ。


それが3体の部下のゴブリンを伴った徘徊している。


俺達は今まで遭遇しなかったことから徘徊する縄張り(エリア)があると考え、まだ通ったことのない場所を重点的に探して回る。


俺の察知が半径10メートル以内なら魔物を察知できるようになったので極力雑魚敵とは戦闘をしないようにする。不意打ちができそうなときはその限りではないけどね。


気を張り詰めてボスを探すこと一時間、漸く3体の取り巻きに囲まれた普通のゴブリンより一回りでかい全身鎧のゴブリンを見つけた!


『いたぞ……10時の方角、大体8メートル位だ。レベルはナイトが20、取り巻きが16だ。取り巻きも今までのゴブリンより大分レベルが高いから気を付けろよ』


『りょーかい! 不意打ちで狙うのはどれにする?』


『私の針では1体も倒せないと思います』


『じゃあ私が前の取り巻き1体を狙うからオウヤさんは後ろの取り巻き2体でアンナには私と同じゴブリンを狙って貰えば良いんじゃないかな? オウヤさんなら2体行けそうだし』


『分かった……ナイトには飛び道具の類いが効かなさそうだしな。それが妥当だと思う。じゃあ俺が配置についたら合図を送るから待っててくれ』


それまで一定の間隔を開けて近づかれないようにしていたが作戦が決まったので行動に移す。


隠れ身を発動して2人から遠ざかりエリアボスの背後に回る。取り巻きたちも多少の警戒のみでほぼ無警戒だ。


段取りは先に二人が先制攻撃してヘイトが向かった後で俺がバックアタックを決める。


『それじゃあ! 作戦開始だ!』


合図でハルカが詠唱を始め、火の玉を飛ばすのに合わせてアンナも針を投げる。


突然の攻撃に先頭の狙われたゴブリンは避けることができず腕で直撃を防ぐことしか出来なかったようだ。

攻撃されてヘイトが2人に向き、戦闘のゴブリンが二人の方へ駆け出す。

残りの3体は様子を見ているようだ……


さっきの攻撃でHPが1/3程削れていたゴブリンは1体で突っ込んでいったため、2人相手に翻弄されている。


それを見たゴブリンナイトが剣を抜き、突撃しようとする。


今だな……


『はっ!』


ひゅんひゅ、ひゅ、ひゅん!


と4つ風切り音が響き狙い通り日本ともゴブリンの首を貫く!

『instant death!』

の表示が出て取り巻きのゴブリンが砕け散る。


そして後ろからの攻撃に警戒して動きを止め、振り向くゴブリンナイト。

既にアンナとハルカに向かっていったゴブリンも倒されている。


そして襲い掛かるアンナに已む無く俺への警戒を解いてアンナと対峙する。


まだゴブリンナイトへの攻撃は誰もしていないから一番近いプレイヤーに注意が向く。それを利用した作戦だ。


『其火を為して鳥を象り、其敵を襲う。ファイアーバード!』


あれ? 詠唱の体系が変わった?


とハルカの詠唱を聞いて疑問を浮かべるが、詠唱は人によって違うし変えることもできる。何も可笑しな処はない。


鳥を象った鳥がゴブリンナイトに向かって飛んでいく。ゴブリンナイトはタワーシールドを構えて防御しようとするがファイアーバードはなんとその盾を迂回して鎧に直撃する!


ファーストヒットはハルカだ。

当然ハルカにゴブリンナイトのヘイトが向かう。ゴブリンはハルカとの距離を詰め、剣を振り下ろす!


そのまま振り下ろせば直撃するだろう攻撃を前にハルカはニヤリ、と口を歪める。


『しっ!』 『やっ!』


剣を振り下ろす腕に投げナイフがひゅうっ! と投擲され、ゴブリンナイトの足をアンナが切りつける!


キンッ!とアンナの斬撃はグリーブに弾かれるが投げナイフは手首のガントレットの隙間を縫い、突き刺さる!


刺さったナイフはゴブリンナイトの手の動きを阻害しハルカの回避に対応できない。


ハルカは隙だらけと(フェイス)を殴打する。

鬱陶しげにタワーシールドを振り回してハルカを追い払うゴブリンナイトに好機を見て一気に駆け寄る!


《とうっ!》


狙うは脇の下の鎧の隙間! 俺に気付いていないゴブリンナイトの背後から突き刺す!


『critical hit!』 『back attack!』 の表示が出てゴブリンナイトのHPが目に見えて減少する。


『ぐっ……!』


ちっ、深く入りすぎたか!


ゴブリンナイトの振り回した腕が胴を掠り、HPが減少している。

仕返しに地面に転がる投げナイフをひっ掴み、ゴブリンナイトの首、肘、膝裏、腰と鎧の隙間に投げナイフを投げつける。


大半が弾かれたが膝に短剣が刺さった。

局部ダメージでゴブリンの動きが鈍くなり、先程まで攻撃がかすっていたハルカもよけれるようになる。


だが一旦下がって本来の魔法使いのポジションで魔法を放ち始める。


まぁこのくらいの攻撃なら2人で簡単には避けれるからな。


『もうちょいだな……』


残りHPが3割を切る。


アンナが切りつけたところでゴブリンのHPが3割を切った。


グガオォォァァ!


腹に響く低音の叫びが辺りを駆け巡る。ゴブリンナイトが盾を捨て、片手剣を両手持ちに変える。

マジか! 資料じゃ片手剣だったぞ!? あれじゃまるで片手半剣(ハンドアンドハーフ)見たいじゃねーか!

最初の方のフィールドのボスは確り覚えてるから間違いない……


もしかしてギルドの資料が間違ってる?


まだゴブリンナイトが硬直しており、攻撃無効なので、確証を得るために戦闘中ながら鑑定を発動する。


《『ゴブリン騎士(ナイト)』レベル20 》


うん、やっぱり騎士(ナイト)だよな?


『ちょっと前情報と違うから用心してくれ! タワーシールドを捨てたから動きは多分早くなる!』


そう指示を出した直後ゴブリンナイトがこちらに走り出した。


速いっ!


ヘイトを一番稼いでいる俺の元にさっきとは段違いの速度で迫ってくる。余りの速度差に目が慣れておらず、袈裟斬りを避け損ね、腕を切られる。


『きゃっ!』


更に同じ理由でアンナが直撃をくらい、HPをレッドゾーンまで減らす。


『アンナ、一旦引いて回復してくれ! 俺がその間耐えておく。早めに頼むぞ!』


『了解しましたっ!』


ハルカの魔法も先程から当たっているが鎧に守られなかなか削れない……鎧の隙間にファイアーバードが当たると結構減るんだが欲張っても仕方がないな。


どうにかゴブリンナイトの攻撃を躱し、牽制のために反撃をする。


『やあっ!』


ハルカのMPが尽きたらしくハルカが再び接近戦に参加する。

俺の短剣が剣をそらし、ハルカがゴブリンナイトを殴り、ハルカが杖で剣を防ぎ、俺が短剣を突き立てる。


『回復完了しました!』


『よし! 攻めるぞ!』


アンナが戻ってきたことで攻撃と防御の手が増える。ゴブリンの体力もあと5%を切る。


だがその所為で俺達に油断が生じた。


『ガハッ!』


『かふっ!』


ゴブリンに肩から斜めに斬られ、ハルカは蹴り飛ばされる。


『あー……ボスの事舐めてたは』


『同感です』


『激しく同意』


『よいしょっ! 反省は後だなっ。ハルカ、ポーション一個飲んだらすぐアンナのカバーだ!』


『うん! アンナちょっと頼むね!』


『う……んっ!』


ハルカはかすっただけでグリーンよりのイエローからレッドになってしまっていた。


グリーンだったHPがレッドゾーンまで落ち込んでいたがアンナが厳しいと判断して俺はすぐにアンナのカバーに戻る!


『バカっ! オウヤ! ポーション飲まないと!』


『オウヤ!? ちゃんと回復してください!』


『後で良い、それよりは今は耐えるぞ!』


2人から叱責が飛ぶが其をするとアンナが崩れる。せめてハルカが戻るまでは……そう伝えて俺は回避盾に専念する。

十秒前後が目茶苦茶長く感じる。


『オウヤッ! 交代!』


『オウヤ、早く!』


はいはい、そう急かすな……


我ながら戦闘中に余裕だな……と思うが苦笑しながら後ろに退き、HPポーションを煽る。


飲みましたよっと!


即座に戦線復帰して丁度背中を晒しているゴブリンナイトの腰を思い切り、蹴りつける!


カクッ


とゴブリンナイトの腰がずれてゴブリンナイトがたたらを踏む。

いい具合に崩したバランスを腕を引いて更に崩し、地面に倒す。


『フルぼっこだ!』


『がってん』『承知!』


地面に倒れたゴブリンナイトにハルカが杖を叩き付け、アンナが腰を短剣で突き刺し、俺が頭を蹴り飛ばす!


『『『らすとぉぉ!』』』


全員が同時に振りかぶり武器をゴブリンナイトに振り下ろす!

起き上がろうともがくゴブリンナイトのHPが全損し、ファンファーレが鳴り響いた!


『か、勝てたな……』


『勝てましたぁ~』


『勝てた~っ!』


『これからは油断しないようにしような。ボスはレベルも高いが雑魚に比べて格段に強い……』


『そうですね……まさに油断大敵です……』


『今後の教訓だねっ』


『流石に最後のはヒヤッとしたけどな!』


『そうですよ! オウヤさんHPポーションを使わずに来ちゃうんですもん! ビックリしました!』


『ほんとだよね! 私もオウヤさんが走ってったのみてビックリだったよ!』


『それはすまんかったな……だがすぐいかなかったらアンナがキツかっただろ? 後呼び捨てでいいぞ? その時丁度呼び捨てだったしな』


『たしかにそうですけど……ってあれ? 私呼び捨てにしてました!?』


『確かに呼び捨ててたね……私も』


『まぁさん付けなくても良いくらいには仲が良くなったんじゃないのかな?』


『そう、ですね。このエリアボス討伐で……』


そう言えばボス討伐だとボーナスがあるんだったな?

3人で自分のドロップを早速確認している。



〈討伐部位兼素材ゴブリン騎士(ナイト)の右手(リーダーのみ)を手に入れました〉

〈鋼鉄の片手半剣を手に入れました〉

〈ゴブリンナイトの魔玉を手に入れました〉

〈初回討伐ボーナス ゴブリンの貯金箱10万Fを手に入れました〉

〈同時LAボーナス クランチケットを手に入れました〉


ハルカは鋼鉄の大盾(タワーシールド)と皮、アンナは鋼鉄の全身鎧(フルプレートアーマー)と小角を手に入れたらしい。


初回討伐ボーナスは同じもので、同時LAボーナス――そんなモノがあるなんて驚いたが――はハルカは土地の権利書、アンナはクランホーム(アイテム状態)だった。


土地は空き地なら何処でも可能らしいしどっか森のなかとかも面白そうだ。ホームも自分で土地面積いないなら床面積と形を決めれる見たいらしいし。

クランホームがないとクランが作れないし。


同時LAなんて普通でないからなぁ……クランができるのも大分先だろう……


そこで三人と話し合い、これらのアイテムは次の街に行くまで封印と言うことになった。



ステータス

name [オウヤ]

年齢 [18]

種族 [ヒューマン]

JOB [影[R]]

称号 [認められた者][襲撃者][読書家][研究者]


レベル[20]ステータスポイント 11→0

HP 466/466 (レベル×20+VIT×6)

MP 244/244 (レベル×10+INT×4)

STR 19 (+5)

VIT 11

INT 11

DEX 19 (+4)

AGI 22 (+5)


スキル[9](+1)

短剣[N]42/100

察知[N]38/100

隠れ身[N]34/100

読書[N]18/100

鑑定[HN]22/300

投擲[HN]30/300

避ける[N]16/100

急所攻撃[HN]29/300


解放済みスキル

遠視[N] 採取[N]情報収集[HN] 徒手空拳[N]new! 戦闘中治癒[R]new!


【徒手空拳】解除条件:素手、脚を使って敵を10体倒す。

素手や脚でのダメージに補正


【戦闘中治癒】解除条件:戦闘中一撃で最大HPの8割以上のダメージを食らい、回復せずに僅かでも戦闘を続行する。(その戦闘で死に戻った場合解放不可)

戦闘中20秒に1ポイントHPを回復する。


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