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仮想なЯEAL  作者: 路傍の翁
4/16

period 4

街に戻ると市場は人で溢れ、賑やかになっていた。プレイヤーが至るところで商人たちに交渉したり、並べられた商品を物色している。


「買取り額が安過ぎるっつってんだろ! タックルラビットの皮が1枚10Fって可笑しいだろ!」


「そんなこと言われてもねぇ。この品はもう市場で溢れ返ってるんだもっと高くと言われても困る!」


「おいおっさん。この両手剣は幾らだ?」


「あぁ? その両手剣(ツーハンデッドソード)なら1200Fだ。」


「はあっ!? この両手剣がンな高いとかなめてんのか!? せめてその半額にしろよ!」


「あぁ? てめぇ鍛治師に値引きしろたぁ良い度胸してんなぁ! 俺の腕を否定してぇのか? 舐めてんのはてめえだろうがぶっ殺すぞ! それは腕の悪い戦士でも買える金額にしてやってんだ。文句があるなら買うんじゃねぇ!」


おっと、危ない、目の前を人が飛んでった……てか所々で人が宙を舞ってるぞ?


見たとこ住民は皆不機嫌な顔してるな……プレイヤー達め、夜浜氏の言ったこともう忘れてるのか?


市場を歩いていると至るところで暴力沙汰が起こり憲兵が出動している。

中には商人の提示した金で我慢して売っている奴もいるが顔をしかめている。


そんなに喧騒から離れて表通りを進みギルドの中へ入ろうとすると後ろから声がかけられた。


「おいっ! お前何でギルドの扉が開けれるんだ?」


その一声でそれを聞いた辺りのプレイヤーが一気に静まり、それに気づいたプレイヤーが更に静まる。という連鎖を起こして市場が一気に静まった。


「いや、条件満たしたからだけど? 」


そういって入ろうとする。


「「「「「「いやいや、それおかしいから!」」」」」」


きれいに突っ込みが揃った。全員の突っ込みが揃うなんて初めてだは。俺ちょっと感動。


「条件てなんだ!? 教えろよ!」「そうだよ教えろよ!」

「独占してんなよ!」


しかし俺の感動に突然冷や水をぶっかけられた……

人に頼む態度じゃないよな? 独占? 見付けれないお前らが悪いね!


と言うことで。


「独占? 自分で見付けれないだけのやつが何粋がってんの? お前らそれじゃ只のくれくれじゃん。てかそれ人にもの頼む態度じゃねえよ? お前ら何様? 調子乗ってんじゃねえよ。」


言った。言ってやったぜ!

そう言い放った俺はその後騒ぐ奴等を無視して……何てことはなくせめてもの慈悲だ。と先住民を確り見てしゃべれ。とだけ言ってやった。


だいたい人の顔も見ずにしゃべるやつら多すぎなんだよ。それで高圧的な態度とるし顔は見ててもその人本人を見てない。


それじゃあ住民の信頼とか友好を勝ち取れないからな。条件解放も無理だ。


俺はそんなことを考えながらサーシァのいる受付に行く。

と、そこで俺は異変に気づく。


……人がいる。


いや、よく考えたらいない方がおかしいんだよな。ギルドに登録してる人間がいなきゃそれがあるはずないんだから。


朝はいなかったが……あ、もしかして依頼で居なかったのか?


周りから刺さる視線をスルーしながら歩いていくと途中で一人の冒険者が声をあげた。


「兄ちゃん良く言った!」


「あんたの言う通りだ! あいつら態度でけんだよ!」


「あんな奴等バッかだと思ったが兄ちゃんみたいなのも居るんだな!」


「お、おう。どうも?」


口々に言われる称賛の声に耐えられずちょっと照れてしまい、それを隠すために少し急いで受付に歩く。


受付ではサーシァが笑顔で座っていた。


「お帰りなさい。オウヤさん! 森はどうでしたか?」


「ただいまです。あ、はい。順調に行きましたよ! 依頼も完遂できましたし! あ、これ薬草とゴブリンの右手です。

余分に狩ってしまったり採取して来てしまった分とかもあるんだけどどうすれば良い?」


少し営業口調に戻っているのに気が付いたが堅苦しい感じはないのでそのまま喋り続ける。


「それはよかったですね! あ、そうですね。その分も出してください。その分追加報酬が出ますので。それとアイテム鑑定と買取りもここでするので依頼以外のアイテムも良かったら出して貰えますか? あ、あとこの口調はあのあと上司に砕けすぎって怒られちゃいまして……」


てへっ☆と言うような表情をして囁かれ、そうなんだと納得して取ってきたアイテムを渡す。


「はい。ゴブリンの右手[N]が18個、フラージュスネークの牙[N]が4つですか! たくさん倒しましたね。依頼はゴブリン10体ですので完遂となります。まず達成報酬の600Fです。残りの8体は次回にプールするか今追加報酬にするか選べますがどうしますか? フラージュスネークも同様にあと一体で依頼達成となりますがどうします? こちらは常時依頼ではないのですが」


そうすると次回に回した方が達成報酬とランクアップ条件の為のクエスト数を稼げるから得だな。


「そうだな……両方とも次回にプールで。フラージュスネークの依頼は今受けられるか? できるなら頼む」


「了解しました。はい、承知しました。……受注完了です! 次は薬草採取ですが……シンメ草は10本で依頼完遂です。達成報酬は500Fです。余りの6本はどういたしますか? 採取系の依頼は基本的常時依頼ですが」


「それなら採取系の余りは全て次回にプールで頼む」


「はい、承知しました。採取系はランクがどれ程上がってもランクアップ条件に必要なクエストポイントは微量ですが入りますからそれが良いですね」


そうなのか! それは良いこと聞いたな~。


「疾禍草は4本が依頼数なので完了にしておきますね!達成報酬は600Fです。それとシンメル草ですがオウヤさん3本も採ってくるなんて凄いですよ! これはとれる確率が低くて供給不足なんですよ! 3本でもありがたいですよ~」


「そうなのか、それは運が良かったな! ところでゴブリンの右手と疾禍草とシンメル草は何に使うんだ?」


「はい、シンメル草は依頼数は一本なので3回達成と言うことになります! ですので3回分で1500Fです。これで依頼は終わりですね。ゴブリンの右手に関してですが使用用途は主に肥料ですね。適度に魔素を含んだゴブリンの肉体は肥料にちょうど良いんですよ。疾禍草は人に掛かった呪い、その内軽微なものを解呪できるレッサーディスペルポーションの原料です。シンメル草はシンメ草の上位版でハイHPポーションの原料になります。


次は鑑定をしますがよろしいですか? 鑑定後、売らないものがあれば戻してもらって構いません。」


「そうなんですか、勉強になりますね! そうだ後で資料室に籠ることにします。ある程度の知識は大切ですからね。


鑑定お願いします」


やっぱり情報は大事だよな情報弱者にはなりたくない。

情報がなければ得することはあっても損することはない! 今日の午後は勉強だな!


思わずゲームの中で勉強するなんてな、と苦笑いしてしまう。


「それは言い心がけです。死亡率の低下にも繋がりますしね。


さて、鑑定と査定を始めますね。

ゴブリンの右手が18個で360F、棍棒[N]が2個で60F、錆びた片手剣(ワンハンドソード)が3個で300F、歪んだ両手剣(ツーハンデッドソード)は1つで300F、

ゴブリンの魔玉ですか! 本当にオウヤさんは運が良いですね。これはレア度は[N]ですけど魔玉はドロップ率が低くいんですが使い道が多いので値段が高いんですよ。ゴブリンの魔玉内包魔力は400なので……1000Fになります。

フラージュスネークの牙は4個で160Fです。

フラージュスネークの皮は4枚ですので600Fです。ただオウヤさんの防具はタックルラビットのレザー装備一式なので工房に持ち込んで作って貰うのも言いかもしれません。


それでは査定が終わりましたので売却するもの以外はお取りください」


と言われたので俺は錆びた片手剣と両手剣、そしてフラージュスネークの皮を自分のアイテムボックスに戻しあとは売却する。


「それでは合計で4780Fで買取りさせていただきます。クエストポイントは合計で24ポイント貯まりました。Eランクへのランクアップ試験の受験可能になるまであと76ポイントです。」


ほくほく顔で報酬を受け取った俺はギルド2階の資料室に行きそこにこもった。

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