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仮想なЯEAL  作者: 路傍の翁
3/16

period 3

ここが永環の森か! 購入した防具をメニューにて装備して西門から出て、永環の森に着いた。


じめじめした感じはなくて空気が澄んでるところだな! 森林浴とか出来そうな森だ。


そんな感想を抱くが実際にはそんな危ないことはできない。そんな呑気なことしてなにもせず死に戻りなんて御免被る。


それにこの森は南の草原より危ないと聞いているから警戒して進んでいこう。察知と隠れ身のスキルを発動してベルトに装着されている投げナイフと短剣を手で確かめながら森に入っていく。


察知スキルは毎分2、隠れ身は毎分3、MPを消費する。

俺のMPでは自然回復込みでも6分が限界だ。

MPの無駄遣いに思えるがMPを常に使い続けるという条件で解放されるスキルもあるかもしれないのでとりあえずやってみる。


木々のざわめきが耳を擦り、木々を揺らす風が頬を撫でる。察知である程度分かるもののいつ出現するか分からない魔物を警戒しながらゆっくりと森を歩く。


察知は熟練度が低くまだ近くに居る魔物のある程度の方向がわかる程度で隠れ身も同様にある程度隠れられると言ったものだ。それはプレイヤーの持つ技能、所謂PS(プレイヤースキル)によって効果が上がったりするので俺は目と耳に意識を集中させ、尚且つ音を出さ無いように気を付けている。


これによって察知は感覚でだが少し範囲が広がり、隠れ身も少しは効果があるだろう。


さらにこれをすることによってスキルの熟練度も上がり易いのかもしれない。森に入ってからの10分で既に察知と隠れ身の熟練度が1上がっている。


「……っ!」


気が緩みかけてきたところに突然大体3メートルほど前方の気配を捉えた!どこだっ? 3メートル前に魔物なんて見えねぇぞ!


突然の事に焦り飛び退きそうになるが隠れ身が解けてしまうので必死に堪え、前方に目を凝らすが何も居ない。


なら上か下か! バッと音を立てない程度に急いでしゃがみ、上を見て確認する。そして居ないと判断した後、ゆっくりと横に移動し前方の地面付近を確認する。


……いた!……草が生えていて見難いが全長が1メートル程で胴の直径が4センチ位の深緑色の蛇が1体此方を窺っていた。


ばれてる……! 隠れ身が効かなかったのか!?


そう考えて急いで戦闘体勢を取る。右手で刃渡りが30センチほどの短剣を抜き放ち、左手を投げナイフに沿えておく。短剣は防御向けと聞いたことのある逆手構えだ。


そして目を凝らすと蛇の頭上に名前とHPゲージが現れた。蛇の名前はフラージュスネークと言うらしい。このフラージュはカモフラージュの事だろうか?


サーシァとケイルの話から鑑みるにこいつは毒を持ってる可能性が高い。攻撃、特に噛みつきには注意しておこう。


先手必勝。


投げナイフをベルトから抜き取りフラージュスネークに投げる!

利き手じゃなくて不安だったが予想以上に確りした勢いで蛇の胴体に向かって飛んでいった。


しかし投げナイフは警戒されていたのか体をうねらせて避けられた。


だがそれで出来た隙を衝いて一気に駆け出し、逆手に構えた短剣を振り下ろす!


短剣は投げナイフに気を取られていたフラージュスネークの胴をうまく切り裂く。


キシャアアァァ!


と悲鳴のような鳴き声を上げ、フラージュスネークのHPゲージを2割ほど減少させる。


切り裂いたのに千切れたりしないのは不思議な感じだな。まぁグロテスクな表現に対して日本は過剰だから仕方がないか。


お返しとばかりに打ち付けられる尻尾を短剣で打ち払っていく。


短剣の刃によるカウンターダメージがフラージュスネークのHPをじわじわと削るがノックバックダメージにより俺のHPゲージも少しずつ削られていく。


「らぁっ!」


我慢できず気合いと共にフラージュスネークに突きを放ってしまった。


「のわっ」


そして案の定避けられて、体勢を崩してしまい胴に尻尾の強烈な打撃を食らってしまう。


「ぐ……っ! くそっ、離れやがれ!」


更に腕を噛みかれた。

ラージュスネークの頭を殴り付け、掴んで腕から離し距離を取る。


だが突然めまいがして倒れかける……

くっ! 毒か!


視界の右上のHPゲージの下のドクロマークを見てそう判断し、アイテムボックスから出した毒ポーションを急いで煽る!


「はあっはあっ! っと、あぶねぇ!」


飲んでいる間に近づいてきていたフラージュスネークの突進を躱す。


「ふっ!」


一層注意してフラージュスネークに斬りかかる!

俺の一閃を躱したフラージュスネークが噛み付いてくるがこれは予測済み! 前転して避け、地面に刺さった投げナイフを抜き取りフラージュスネークに投げ付ける!


投げナイフは予想外の攻撃に反応が遅れたフラージュスネークに当たる。だが尻尾に当たったそれは木製のため弾かれてしまう。


「これで、ラストぉ!」


だが一瞬こちらから意識が外れた所でフラージュスネークの頭に短剣を突き立てる!


フラージュスネークが断末魔の叫びも上げず、ポリゴン片を撒き散らし消えていった。


視界の右上に『critical hit!!』の文字が出てその下にダメージが2倍になりました。

と出ている。


「はぁっ、はぁっ……あー、疲れたな」


予想以上に冷静に戦えた自分に驚きながら呼吸を落ち着かせるために地面に膝をついて休憩を取る。


「え? 毒ポーションて使ってから3分間弱毒無効、強毒抵抗50%

ってのがつくの? いや、確かにドクロにバツが打たれたマーク有るけど初めてじゃ気付かないだろ……」


次から気を付けようと誓おう。


ステータスを見ると短剣の熟練度が1上がっていた。レベルはまだ上がっていない。もうあと1体くらい倒さないと上がらないだろうな。

経験値バーを見る限りでは半分弱くらい埋まっている。


因みにさっきのフラージュスネークからは討伐部位兼素材のフラージュスネークの牙[N]、素材の毒袋[N]、フラージュスネークの皮[N]を手に入れた。


そしてふと今休憩している場所から少し離れたところを見ると菱形の8面体が中に浮いているのを見つけた。


あれは採取ポイントの印だな。クエストを進められるな! とニヤニヤしながら採取ポイントに行き、傷つけないように注意してシンメ草を引き抜きアイテムボックスに入れていく。


〈シンメ草[N]×3を手に入れました〉


とメッセージが聞こえ、クエスト欄のシンメ草採取が0/10から3/10に変化した。


少し感動しながら休憩を終えた俺は再び探索を始める。

次に見付けるのはゴブリンが良い。そう思いながら。


休憩中、さっきのフラージュスネークになぜ見つかったのか考えて気付いたんだ。

蛇にはピット器官と呼ばれる熱を感知する場所があることを忘れていた。此方も気付いているが向こうも気づいている。こっちが気づいていないよりはまだましだが堪ったもんじゃない。


ゴブリンならそこら辺は大丈夫だろうからな……

もしかしたら察知系のスキルを持ってるかもしれないがゲーム的に考えてここのフィールドじゃそこまで上位の魔物は出てこないだろ。


「おっと、察知に引っ掛かったな。今度は見つけた。ゴブリンが4体か……」


2時の方向に剣持ちが2体に棍棒が2体だ。

隠れ身で近付いて投げナイフで不意打ちして削れるだけ削るか。

投げナイフは5本うまくいけば2体は倒せるはずだ。最悪一体倒したら逃げながら残りは各個撃破だな。


そうと決まったので早速行動に移す。ゴブリンの群れに気付かれないよう背後6メートル位に忍び寄り投げナイフを抜き取る。


「当たってくれよっ!」


祈りながら投げたナイフは直線的な軌道を描き、狙いから少し外れた頭部に命中した。


首を狙ったんだけどなぁ。

でも頭に当たったなら上出来! 気付かれないように即退避!


いきなり頭にナイフが刺さったゴブリンが崩れ落ち、他のゴブリンが慌て出す。回りをしきりに警戒するゴブリンたちにばれないように木の後ろにしゃがんで隠れる。


次は剣持ちだ!


「しっ!」


ひゅう


という音がして先程と同じ軌道を描き今度は肩に刺さる。


「ちぇっ」


投げたと同時に移動して草影に隠れながら舌を打つ。肩か……スキルがないとやっぱり命中率も悪いんだろうな。


心のなかで愚痴を吐きながら両手で投げナイフを抜き取り、アンダースローで相変わらずキョロキョロしているゴブリンどもの首筋を狙う!


ひゅん、ひゅん


真後ろに回り込み右手ではなったナイフは狙い通り首に当たりゴブリンは一気にHPを削られ砕け散った。

左手で投げたナイフは無傷の棍棒持ちの方へ飛んでいったが外れてしまった。


砕け散ったコブリンを視認しつつ、最後の投げナイフで倒れているコブリンにナイフを投げる。気絶しているゴブリンはなにもすることなくナイフに顔面を貫かれHPは残りは1割ほどだ。


「はぁっ!」


詰め寄って倒れているゴブリンの首を掻き切り、更に飛び出してきた俺に斬りかかってきたゴブリンの剣を避け、胸を一突きした後振り下ろされた棍棒を避けるために離脱する。


既に2体が砕け散り、もう2体も片方は胸、もう片方は肩を怪我している。


「しっ!」


さっきよりも鈍いゴブリンの剣を避け、懐に入り斬りつける!

と見せかけて棍棒持ちを釣り、放たれた棍棒を掠るのも構わず詰め寄り首に短剣を突き刺す!


グギャッ!


『instant death!!』のマーカーが出てゴブリンが砕け散る。


「ぬおぉ!」


残り1体!

と振り返った目の前に振り上げられようとする剣が映り必死に避ける!


マトリックス避けを敢行した俺はそのまま後ろに倒れ込む。

だが追撃の振り下ろしを食らってしまう……


「くっ!」


グギャックギャギャ!


と叫びながら剣を振り回すゴブリンを剣を往なしながら反撃の隙を窺う。


「だらあっ!」


大振りの逆袈裟気味に振り上げられた剣を持つゴブリンの腕を蹴り飛ばす!

腕を蹴られたゴブリンは思わず剣を放し丸腰になる。


「あばよ!」


ある程度HPを減らしたところで短剣を首に一閃する!


戦闘が終わりステータスを確認するとレベルが上がり熟練度も上がっていた。上がった分のステータスポイントはSTRとAGI、DEXに振っておく。


ゴブリンは棍棒[N]と錆びた片手剣(ワンハンドソード)[N]を一振りずつ、そして討伐部位兼素材のゴブリンの右手[N]を4つ落とした。


ゴブリンの右手は何に使うのか気になるな! 後でサーシァに質問しよう。


その後も2時間狩りを続け、ゴブリンを15体、フラージュスネークを3体狩り、シンメ草[N]を13本、疾禍草[N]を4本、シンメル草[HN]を3本採取した。


毒ポーションの残りが1になったので町に戻ることにしよう。


レベルも熟練土も上がってドロップアイテムも中々、薬草採取も上々、効果の分からない草もあるが冒険者ギルドで聞けば良いだろ!


意気揚々と俺は街に戻った。

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