period 2
「いやー、同郷の奴らが迷惑かけます……」
「あー、気にしなくていいよ!」
「おう! 気にすんな! お陰でお前みたいなまともな奴もいるって分かったしな」
頭をかき、苦笑して頭を下げながら露店通りを歩いていく。
NPCの皆はとてもプログラムによって作成されているとは思えないほど受け答えがすんなりしていて驚かされる。
苦笑いしながらも気さくに返してくれる露店の商人たちに気分を良くしながらお目当ての武器商人の露店に向かう。
「今日は!」
「おう、いらっしゃい! ん? 兄ちゃん見ない顔だな。俺はガザン武具工房の見習いやってるケイルってんだ。よろしくな! 今日は何しに来たんだ?」
「あぁ、今日この街に来たからな。俺はオウヤプレイヤーだ。よろしくなケイル。
今日は外でモンスターを狩ろうと思うんだけどそのための武具やアイテムを買いに来たんだけど……初心者セットみたいなものを見繕って貰えるか?」
「プレイヤー? あぁ救世者達のことか。 おう、いいぞ! じゃあ先にアイテムの方を……」
何か興味が引かれることをケイルが呟いたのを俺は聞き逃さなかった。救世者? この世界での設定があるのか?
そういった話は聞いてないけど……そのうち調べてみるのも言いかもしれないな。
「そうだ、ポーションはHPが3個、毒ポーションは1個持ってる。武具は初心者装備一式に初心者の短剣だ。」
深い思考に落ちかけたところでそう言えば、と俺が今持っているアイテムを言うと、それならと1つ呟いて
「HPポーションは2つ、毒ポーションは4つ西の永環の森に入るなら最低でも5つは常備した方が良いだろうからな。その内行くだろ?後はMPポーションは3つ、まだ必要ないだろうけどスキルでMPを消費する事もあるからな。特にアクティブスキル系はそれが多いからな!」
と言われた。
これでHPポーションが1つ100F、毒ポーションが1つ100F、MPポーションが1つ150Fで計1050Fになった。
「次は武具だがオウヤのバトルスタイルはどんな感じだ?」
そう聞かれて俺はこれからするだろうバトルを想像しケイルに伝える。
「予定では隠れ身で隠れながら察知で先に見つけて短剣で奇襲。って感じのスタイルだな。できれば遠距離攻撃の手段を手に入れたいんだがな」
「そうか……新人ならこれだな。タックルラビットのレザーアーマー、レザーパンツ、靴だ。あとはそのスタイルで遠距離攻撃の手段がほしいならこれだな。木で出来た投げナイフだ。
タックルラビットの装備一式の方は合計で1500F、投げナイフは一本50Fだ」
「そうか、投擲武器があったか! ケイル、それ買った! 投げナイフは五本くれ!」
「あいよ! アイテムの方と合計で2800Fだ。あぁ、救世者なら知らないだろうな態々現金化しなくてもステータスカードを合わせれば一瞬で支払いが終わるんだ。ほれ、だせ」
とても便利な情報に驚きながらケイルの言葉に頷くと目の前にステータスガードを出してケイルの物と合わせる。
「はい。毎度あり! あ、そうだ、街の外に行く前に冒険者ギルドってとこ行って見ろ。ちょっとだが得するぞ!」
「ん? それも聞いたことないな。そんなもんがあるのか……
ありがとな。またくるは! それじゃいってみる! 」
「おう、気にすんな。お前の事気に入ったからな。此くらいなんでもねえさ」
お礼を言った後、教えられた道を歩いていくと大通りに出た。更に少しいくとどでかい4階建ての建物が見えた。
「あれが冒険者ギルド……ちょっと緊張してきた」
いつもより強く打つ鼓動を抑えて俺はギルドの扉に手をかける。
『ギルドへの侵入を確認しました。フィスタの街所属先住民[ケイル]の紹介を確認、ギルドの敷地へ入る為の条件《フィスタ所属先住民と一定以上の信頼関係、友好関係を築く》のクリアを確認。
対象の排除の実行を中止。
開扉』
扉に手をかけた瞬間アナウンスが聞こえた。
ギルドに入るのにも条件があったのか……俺はクリアしてたみたいだけどしてなかった時の排除ってどんなの何だろうか。
すこし気になるがそれよりも早く登録だな!
美人な受付嬢が座っている受け付け窓へ歩いていき腰を掛ける。
「ようこそ冒険者ギルドフィスタ支部へ。本日のご用件は新規ご登録で宜しいでしょうか?」
営業スマイルで耳障りの良い声が響く、まだ俺しかいないのでギルドのカフェ? や広間によく声が響いた。
「はい、そうです。まだ戦闘未経験ですがよろしくお願いします」
「これはご丁寧に。それではこちらの紙に記入をお願い致します。記入必須のところ以外は任意で結構ですので」
そう言って差し出された紙に視線を落とし、受け取った羽ペンで記入していく。
「……はい、オウヤ様ですね。年齢は18歳種族はヒューマン。スキルは短剣、察知。これでお間違いありませんか?」
「はい、ありません。あと受付嬢さん。もっとフランクな口調でお願いしても言いかな? 今までのしゃべり方するのも聞くのも疲れるから……」
そう言うと受付嬢はポカンとした表情をして
「ふふ、分かったわ。それと私の名前はミーシァよ。
それじゃぁギルドカードを発行している間にギルドの説明をするわね。
まず始めに冒険者はギルドに所属するために上納金を納めなくてはいけないわ。でも冒険者はがさつだから忘れることも多いの。だから依頼の達成報酬から10%を上納金として納めてもらうの。
因みにクエストボードに張ってあるクエストの報酬は既にそれが引かれた金額が書かれてるわ。
ギルドでは冒険者はギルドランクによって最低のFからE、D、C、B、Aと上がっていき更にその上のSランク、Xランクの全8段階で分けられるの。
ギルドが試験をしたりそのランクに見あった功績を残すことでランクを上げる事ができる。ランク分けをする理由は簡単で無理をして自分の実力に合わない以来を受け、死亡する。ということを少なくするためよ。
そして冒険者はこの世界で冒険者ギルドがある街や村なら必ず特典を受けられるわ。Fランクなら魔物の素材の買い取り金額が小上昇とノーマルランクの宿代10%引きよ。これはランクが上がれば上がるほど特典も豪華になっていくの。だから頑張ってね。」
成る程そうやって以来をたくさん受けさせる為の餌を与えてギルドを運営しやすくしてるのか。
でも買い取り金額が10%上がるのは嬉しいな!
「あぁ、問題ない。続きを頼むよ」
「了解。といっても後は私闘に関することなんだけどね。冒険者ギルドに所属する者は特別に決闘と言うものが使えるの。所属してないとただの乱闘で憲兵に捕らえられて強制労働させられちゃうから気を付けてね!
それで決闘ではお互い賭けるものを提示して負けたら賭けたものは相手のものになり勝てば相手のものを全てとれる。要はオールオアナッシングよ! それと決闘で相手を殺しちゃうのはいいけど決闘以外で殺すと殺人者だと他人から直ぐに分かるようになるの。そうするとギルドから永久追放されちゃうからしないでね。
さぁ重要なのはこれくらいね。あと二回の資料室は自由に使っていいわ。この街じゃ図書館の次に情報が多くある場所だから。クエストは同時に1人二つまでなら受けられるわ。」
そうなのか! それはいいこと聞いたな。狩りを終えたら一旦そこで情報収集をするか。
「はい。これがギルドカードよ。最低のFランクから、頑張ってね。裏に自分の表示したい情報が載せれるようになってるからパーティーとかの時ステータスを見せるのに便利よ!」
「あぁ、ありがとう。それじゃあこの永環の森で薬草採取とゴブリン討伐を受ける」
「分かったわ……はい。受諾したわ。……永環の森は初めていくとフラージュスネークの毒だとか数で囲まれるとかで死んじゃうことから付いてる名前なのだから気をつけて。」
「おう、気を付ける。まぁプレイヤー、救世者だから死んでもフィスタ広場で復活するんだけどな」
「そういえばそうね。まぁ頑張りなさい!」
そう言って俺はギルドを出て西門を出た先の森、永環の森を目指した。