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仮想なЯEAL  作者: 路傍の翁
12/16

period 12

「よしじゃあ揃いましたし出発しましょうか。護衛よろしくお願いしますね」


「あぁ、任せてくれ」


「頑張ろー!」


護衛対象のダンさんと待ち合わせの東門へ行くと既にダンさんは馬車の前で待っていた。


昨日1日、今日からの護衛依頼のためにレベル上げをして俺は30、アンナとハルカは27までレベルが上がり、安全マージンは取れた。

ダンさんの隣町までの旅路の安全性は上がった。


昨日の打ち合わせで報酬が決まり、報酬は[HN]か[R]スキルの何れかをランダムで1人に1つずつ、そして90000F、そして使うと武器の性能が上がる強化石頑張ってくれたので各人1つずつとなったこの依頼、失敗する訳には行かない。


「それでは御者さん、出してください」


野宿の準備も整え準備万端、俺達は馬車に乗り東門を出発する。


「御者って何か楽しそうですね~。ずっとやり続けるのは大変そうですけど……」


「そうですね、御者は楽しいですよ。自分は馬が好きなので馬術スキルを生かした仕事につけて嬉しくて……大変さなんて吹き飛んでしまいますよ!」


馬術スキルが御者に影響するのか……勉強になるな。


「そうなんだ。ってきり御者ってスキルがないと駄目なのかと思ったてよ」


「御者スキルもありますよ。ただそれだと馬車を引くだけで終わってしまいますからね。私は馬に乗って走ることも好きなので。それに馬術があると御者スキルだけの人より正確に馬を操れますしね」


なるほど……スキルの相乗効果が発生するのか。言われてみれば俺も軽業と徒手空拳でトリッキーすぎる動きで戦ったり、察知と隠れ身を一緒に使うと自分の周りの様子がよくわかるようになったりすることがある。

それと似たような感じなのだろう。


「そうなんですか! あの~よろしかったら御者を教えてもらっても? 私動物が大好きで! いつか魔物で馬車を引くのも良いなぁと思ってまして!」


「そうなんですか。それは壮大な夢でございますね! では、未熟者ながら教えさせていただきます」


なんとアンナが御者台に座り御者さんに教わり始めた。俺もハルカも旅するときに雇わなくて良いなら楽だし問題ないだろ。とないも言わない。


御者がアンナに変わって馬車が蛇行し始めた。


「…………」

「…………」

「…………」

「……落ち着かないな」

「歩行者がいないのが救いだね……」


街道の端から端へ行ったり来たりしながら進んでいくので向かいから馬車が来ないことを祈りながら俺達は街道を進んでいく。



今更ながらこの街道、まだプレイヤーには解放されていない。特別クエストで俺達は特別に通行を許されている。

東門は俺達がダンさんを隣街、セストまでを繋ぐ街道のフィールドで、これは約1週間後のセスト解放と同時に解放されるみたいだ。

ただ街道から外に出ることはできず、来た敵を倒すだけなので狩り場には適さない。本当に街から街に移動するときだけに使う事になりそうだ。


少しづつアンナの馬車の操りが上達したのか、蛇行の幅が小さくなってきた頃、このフィールドで初めてのエンカウントをした。


さぁ、戦闘準備だ!



「あっぶねー!」


「あっ! オウヤ、1匹抜かれた!」


「うおい! こっちも余裕ないぞ!?」


とりあえず落ち着こう……


自分が相手をしているゴブリンに加えハルカをすり抜けてきたゴブリンも相手をしながら解決策を考える。


「ガウッ! グルゥ!」


召還(サモン)したシューガが懸命にフォローしてくれるがそれでも2体が限界のようで俺が3体、ハルカとアンナとネルで5体を相手していたがこのままでは厳しい。


「アンナ、ハルカ!とりあえず一旦下がれ! お前ら出過ぎ! これは護衛任務だ、俺達が生き残るだけじゃ意味がない!」


出すぎている2人に指示を出して一旦下がらせる。


出てくる数が倍になるのがこれほどきついとはな……

シュンガには悪いが前方で敵を引き付けてもらい俺達は確実にゴブリンを減らしていく。




「ふぅ~、やっと終わったよー」


「危なかったですね……護衛がこんなに難しいとは思いませんでした」


「あれだな。今の戦闘は連携が無さすぎただろ。ハルカなんて一応後衛だぞ? それが俺より前に出てる時点でおかしいことにすぐに気づくべきだったな」


「そうだね……ボス相手に連携して戦ってたのに今のは完全に個々で戦ってたもんね……」


「これからは雑魚相手でも連携ですね! それにシューガやネルが思った以上に頑張ってくれたので良かったですが今後もこのままだと厳しいですね……


今まで森では3~5体の群れしか出てこなかったから連携をする必要がなかった……一人で対処できたからな。だがそれでは先に進むほど辛くなると学んだ。


「そうですね。それが良いと思いますよ。今の戦闘を見ていましたがここの戦闘力がとても高いですから連携をすればもっと上の魔物も倒せるのは間違いないですね」


ダンさんがフォローしてくれているが連携の確認しないとな。また襲ってきたときに少しでも連携がうまくいくように考えよう。


「よし、馬車の中で連携の確認をしよう。アンナも御者は任せてなかに入ってくれ」


「そうですね。そうします!」


全員が馬車に乗り混み、御者さんが馬車の発車させる。


「やっぱり魔法使いのハルカは一番後ろだな」


「うーん、そうだねぇ移動詠唱できるからって出過ぎると危ないのは理解したしね」


「ハルカには敵が来たら馬車の上に乗って貰って魔法砲台になってもらいましょう」


「そうだな。MPがつきたら下に降りてダンさんに魔物が近づく魔物がいたら近接で戦ってもらえばいいしな」


「そうすると後は私たち二人の動きですね」


「2人は一応投擲武器もあるし少し距離を開けて応戦したら?」


「なるほどそれは良いかもしれませんよ。お互いの現状を把握しながら戦って遠距離で相互に援護する戦い方のパーティーもありますしね。」


そうなると縦一直線の陣形で戦うより3角形の陣形の方が良いな。


「なら俺を右、アンナを左に配置して3角形の陣形にしよう。その方が俺達の動きとハルカの魔法の射線も被り難いだろうし」


「そうですね! フレンドリーファイアでHPを削られるほど馬鹿らしい事はないですし」


「じゃあ魔法で2人が退避するタイミングは魔法名を唱える時でいいかな?」


「そうだな……俺は察知で飛翔系の攻撃魔法なら発動後でも退避できるがアンナは無理だし座標発動系に至ってはまだ発動直前まで察知できないしな。それでいい」


「そうですね。オウヤ、私達は基本は足止めにしておくの?」


「初めはそれでいいんじゃないか? ハルカの魔法を主軸にしよう。だけどそれだけだとハルカが大変だし俺達もいつまでもは無理だから、隙は確実について着実に敵を減らせばいいんじゃないか?」


「あとシュンガは俺と連携、ネルはアンナと連携させて置けば戦いも楽になるだろ。シューガのスピードもネルの」


ダンさんにどうだろうか、と聞くと護衛対象に危害が加えられなければいいんじゃないでしょうか。と返ってきた。


「じゃあ後は追々決めていこう。これ以上は次魔物や盗賊が来たときにやってみてからだな」


作戦会議を終えたので各自自由に過ごすことにする。

アンナは再び御者さんの横に座り御者を教えてもらっている。

俺は取り敢えず察知で街道脇の気配を探っておこう。




チラリと視界に入るパーティーメンバーのHPゲージを確認し、アンナの動きを見て危なそうなときにナイフを投げ、しかし意識の本命は目の前の戦闘に置いておく。


頭が処理落ちしそうになるが連携がうまくいったときの快感がたまらない! シューガも俺の戦いを学習しているのか戦い方が似てきている。


俺は正面のゴブリンと戦いながらシューガに引き付けられたゴブリンの後ろを取りバックアタックもしながら戦っていたのだが、次第にシューガも同じことをし始めた。


俺とシューガで互いの敵の後ろをとって互いの援護をする。

ダメージ量は劇的に上がっていった。


まだハルカの魔法との連携や俺とアンナの連携に隙があったりミスが出たりしてフレンドリーファイアが起きたり魔物の攻撃を無駄に食らうこともあるが前回の戦闘よりは順調にいっている。


「其火の矢を象り、其敵を貫く。アンナ! ファイアーアロー!」


途中から魔法の前に飛ばす方の名前を呼ぶようになり、アンナがそのタイミングで後ろに跳び、数本の火の矢がコボルトを焼き貫く。


「しっ!」


こっちのコボルトの最後の一体を倒し、周囲に他の魔物が居ないか探った後、アンナの援護に向かう、


そこからは一瞬で片がついた。


「今のは結構よかったんじゃないか?」


「そうですね。皆さん先程に比べて見違える動きになってましたよ! 流石はメシアントップのパーティー、と言ったでしょうか」


「うんうん、もっと誉めてくれてもいいんだよ?」


「ハルカは調子に乗らないっ」


ペシッ、と豊満な胸をつき出すハルカをアンナが叩き、ため息をく。


「はぁ。でも魔法を撃つ前に名前を読んでくれるのは有り難かったですね。最初はどちらに撃つのか分からずガタガタしてましたけど呼ばれるようになってからスムーズになった気がします。ネルとの連携もうまくいってましたし何より毒による行動阻害が助かりました!」


「そうだな! 単体の敵の時は必要ないが俺とアンナが離れて戦うときは名前を呼んでもらえると助かるな。


それとアンナには同感だ。シューガとの共闘は俺もすごい戦いやすかった。それにテイムした魔物は主人の戦い方を学習する傾向があるっぽいな」


「そうなんですか……私は気が付きませんでした! 今度注意してネルのこと見てみます!」


ハルカとの連携、その内なにも言わなくても分かるようにまでなりたいものだ。


馬車に揺られながら俺達は騒がしく揺れる木々に挟まれながら街道を進んでいく。


「もうそろそろ日も暮れて来ますし今日はこの辺で野宿にしましょうか。御者さん、ここら辺で馬車を止めるのに丁度良いところまでお願いします」


「はい! 了解しました! それにしても今回は頼もしい冒険者さんが乗っているので道中安全ですなぁ。何時もはもっと攻撃に晒されるものなんですけどねぇ」


そう言って御者さんが笑顔で話ながら近場の開けた場所に馬車を止める。


さてテントを張って食事をとったら今日はログアウトする(寝る)事にしよう。

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